Mrs. GREEN APPLE、藤井 風、Official髭男dism、五十嵐ハル……季節の変わり目、沈んだ気持ちを救うポジティブソング

藤井 風「燃えよ」は2022年のアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』の収録曲で、2021年の日産スタジアム無観客ライブで初披露され、その年の『第72回NHK紅白歌合戦』でも歌唱されるなどキャリアにおいて重要な役割を担ってきた。軽妙洒脱な楽曲を持ち味とする藤井 風だが、この楽曲はストレートに自分を鼓舞し、瞬間を懸命に生きる昂りを込めたエネルギッシュなアップチューンだ。〈燃えよ〉と〈もうええよ〉を掛け合わせた言葉遊びも、現状を打破するパワフルさがある。小躍りしてる内にいつしか心も軽くなる、そんな効果が期待できるだろう。
SUPER BEAVER「主人公」は『めざましテレビ』(フジテレビ系)のテーマソングとしてリリースされた最新シングル。煌びやかなホーンと爽やかなストリングスを交えた新鮮な楽曲に仕上がっている。力強いメッセージソングが特徴的なビーバーだが、この楽曲は〈心がふと笑えるような 救いのある日々を願った歌〉だ。誰もが等しく迎える朝を舞台に、始まりゆく1日に向けてポジティブなイメージを付与する言葉が綴られている。張り切りすぎず、あるがままに景色を見つめることで滞った気分は変わる。そのためのヒントがこの曲にはある。
元警察官という経歴を持つシンガーソングライター・五十嵐ハルが8月6日にリリースしたばかりの新曲「ノーネーム」はここまで挙げてきた楽曲たちとは少し違う角度から凹んだ心を支えてくれる。軽快で華やかなトラックに乗せ、跳ねるように歌うのは自分へのネガティブな感情である。うまくやれている周囲と自分を比較してしまったり、やりたいことも疲れてできなかったりと、普遍的なやるせなさをあっけらかんとした曲調で歌い飛ばすのだ。
誰もが共感し得るような後ろ向きな感情。五十嵐はそれをあくまでポップソングとして昇華する。〈どうせ大体クソみたいな時間に追われて〉という虚無感に満ちた歌詞でさえ、とびきりキャッチーなメロディとともに歌い上げるのだ。ふとそれを口ずさめばネガティブな感情も意味を越えて異化され、我々の行き詰まった心に風が吹き始めるだろう。応援や鼓舞とは違う形で自分のままならなさを愛そうとする、そんな楽曲に思えてくる。
五十嵐には「めんどくさいのうた」という楽曲もある。こちらもカラッとしたトーンのポップソングだが、何もかもを投げ出してしまいたくなる感情を書きつけてある。ユーモラスなテンションながら、その疲弊感は切実だ。だからこそこの曲にはリアルな感触が伴っている。インタビュー(※1)で「その時その時で、歌詞と似たような体験してる人に届いたらいいなって思います。」と語っており、自分自身とリスナーの感情を重ね合わせることを持ち味としているアーティストなのだ。
ここに挙げてきた楽曲たちはどれも巡り続ける思考を切り替え、一歩だけでも足を進めるきっかけになり得る。沈んだ気持ちを少しだけ浮かせ、やり過ごす優しさもくれたりする。自分の気持ちを整えるお守りとして、音楽は重要な役割を果たしてくれるはずだ。
(※1) https://realsound.jp/2025/06/post-2053444.html

■リリース情報
「ノーネーム」
8月6日(水)配信リリース
配信リンク:https://HaruIgarashi.lnk.to/NoName
■関連リンク
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