SB19、Lola Amour、Maki……どこか懐かしい、今注目のフィリピンポップ=P-POPの世界

 近年、アジアの音楽が盛り上がりを見せている。今年5月に初開催された国内最大級の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』は、アジア8つの国と地域の音楽賞と連携し、関連賞を設けた。『FUJI ROCK FESTIVAL』も韓国やタイのバンドなどアジア勢が増えてきており、2年目となる『SUMMER SONIC BANGKOK 2025』も盛況のうちに終演したばかりだ。

 そんな中、9月にはフィリピンの国民的ボーイズグループであるSB19が来日するなど、フィリピンの音楽も注目を集めている。フィリピン発のポップスを感じさせる音楽を「P-POP」とした上で、日本とフィリピンのクオーターである筆者が、まずは押さえておくべきP-POPのアーティストを紹介する。

SB19

 P-POPの立役者的グループでもあるSB19は、名実ともにフィリピンを代表する5人組ボーイズグループだ。フィリピンの母国語であるタガログ語で低音から高音まで自在に聴かせるボーカル、思索的でアグレッシブなラップ、キレキレのダンスで魅せるのが強みだ。力強いダンスナンバーのみならず、メロウなバラード、ロックやHIPHOPなど多彩な楽曲で楽しませてくれる。

SB19 X GLOC-9 'KALAKAL' Music Video

 フィリピンの大御所ラッパー・Gloc-9とのコラボ楽曲「KALAKAL」、ShehyeeやSmugglazら人気ラッパーがMVにカメオ出演している「DUNGKA!」、アメリカのHIPHOPグループ・Black Eyed Peasのメンバーでフィリピンにルーツを持つApl.de.apと共演した「Ready」など、母国をレペゼンしているのも彼らの特徴だ。

SB19 - GENTO / THE FIRST TAKE

 国内外で大ヒットした「GENTO」は、日本でもYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』でパフォーマンスされ、2023年には『2023 Asia Artist Awards』で&TEAMとコラボパフォーマンスを披露。今年1月にはメンバーのKenがソロ名義・FELIPとしてSKY-HIの楽曲「ID」に客演したりするなど、日本にゆかりのあるアーティストとの交流も増えている。

 今年3月には、彼らの軌跡を追ったドキュメンタリー映画『PAGTATAG!』が『第20回大阪アジアン映画祭』で日本初上映。監督とA'TIN(SB19ファンの呼称)の交流も和やかに行われたようだ。そしてこの9月、最新EP『Simula At Wakas』を携えたワールドツアーで、SB19が日本にやって来る。どんなステージを見せてくれるのか楽しみに待ちたい。

SHOWBREAK 6 EPISODE 2 | Simula at Wakas Experience Giveaway + SB19 cooking Kare-Kare

 ちなみに彼らのYouTubeチャンネルでは、フィリピンの家庭料理であるカレカレを作る動画も。音楽のみならず、フィリピンのグルメやカルチャーも知るきっかけになっている。

Lola Amour

 フィリピンの名門私学出身で、ロック、ファンク、ポップ、ジャズを織り交ぜたサウンドで聴かせる7人組バンド、Lola Amour。

Lola Amour - Raining in Manila (Official Lyric Video)

 2022年に「Fallen」が国内でスマッシュヒット、2023年には日本のシティポップの影響を色濃く受けた「Raining in Manila」をリリースし、表層だけではないその切なさも相まって国内外でバイラルヒットした。同曲は2024年にフィリピンのグラミー賞とも言える『36th AWIT AWARDS』で「ソング・オブ・ザ・イヤー」など4部門を受賞し、先述の『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』でも「フィリピン・ポピュラー音楽特別賞」を受賞した。

Lola Amour - The Moment (WITH KOKORO) Official Lyric Video

 最新アルバム『Love On Loop』収録の「The Moment」では、LDH所属のPSYCHIC FEVERの小波津志をフィーチャー。ソウルフルでスムースな楽曲に仕上がっている。昨年フィリピンで開催されたColdplayのコンサートではクリス・マーティンと共演して話題となった。彼らの初来日が待ち遠しい。

Maki

“Dilaw” - Maki (Official Music Video)

 フィリピンの新世代シンガーソングライター、Maki。インディーロック/ポップを基調としたメロディアスな楽曲と親しみやすい歌詞で人気を集めている。2021年にデビューし、昨年は「Dilaw」「Namumula」「Bughaw」の“色の三部作”を立て続けに発表。「Dilaw」は『MUSIC AWARDS JAPAN 2025』の「ベスト・オブ・リスナーズ・チョイス:海外楽曲」にノミネートされた。セブの『Fusion Music Festival』、『Hydro Music Festival』、『Billboard Mainstage』、『Myx Music Awards』、『Wish Music Awards 2024』など、数々の国内外のステージに出演。最近では初の北米ツアーも行ったばかり。これからのさらなる飛躍に期待したい。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる