SB19、Lola Amour、Maki……どこか懐かしい、今注目のフィリピンポップ=P-POPの世界
BINI
フィリピンの国民的ガールズグループといえばBINIだろう。タガログ語で“若い女性”を意味する“binibini”に由来している。フィリピン最大の民放局ABS-CBNによるオーディションをきっかけに結成されたグループだ。
2021年にアルバム『Born to Win』でデビューすると、2024年にはポップでカラフルなナンバー「Pantropiko」を始め、軒並みヒット。「夢を諦めない」と鼓舞するようなダンスポップナンバーから甘酸っぱいラブバラード、人生の困難に立ち向かうガールクラッシュな楽曲、凛とした生き方を歌ったメッセージ性のあるナンバーまで、ときにかわいく、ときにかっこよく、リスナーをエンパワーメントしてきた。
昨年にはヨーロッパ最大級の音楽賞『2024 MTV Europe Music Awards』で「ベスト・アジア・アクト賞」を受賞。今年に入ると世界15都市をまわるワールドツアーを行い、Makiがゲスト出演した5万人が入るフィリピンアリーナ公演も開催している。『Forbes』の「30 UNDER 30 アジア:エンターテイメント&スポーツ部門」にランクインされるなど、BINIの快進撃は続きそうだ。
Ben&Ben
Ben&Benは双子のボーカル、ベンジャミン兄弟を中心に結成された9人組バンド。ボーカル、ギター、ベース、ドラムのほかにキーボード、パーカッション、バイオリンを含む編成で、フォーキーでじんわり心を温かくする楽曲が魅力だ。先述のSB19とは「Kapangyarihan」や「MAPA」のバンドバージョンで共演。コロナ禍で制作された「Doors」は、コロナと闘う人々やステイホームの中での心情を歌った一曲。ガラス張りのバスの中でパフォーマンスするというフィリピンのラジオ局による企画「Wish 107.5 Bus」で披露された「Paninindigan Kita」も、演奏を心から楽しんでいる様子が伝わってきて胸に迫るものがある。
P-POPの動向は音楽チャート『Billboard Philippines』をチェックするといいかもしれない。チャート運営のほかにイベントも多く主催しており、昨年開催されたイベント『Mainstage』には人気アーティストが勢揃いしたり、最近も『P-pop Rising Class Party』にBGYO、ALAMAT、G22、VXON、KAIA、GATとフレッシュなグループが出演したりと賑やかだ。
ちなみにフィリピンでは、15年以上続くフリースタイルのラップバトル『FlipTop Battle League』をはじめ、HIOPHOPも人気のジャンルだ。「Panalo」で頭角を現したラッパー エズ・ミルは、エミネムによるShady Recordsとドクター・ドレーによるAftermath Entertainmentとそれぞれレーベル契約を結び、エミネムとは「Head Honcho」で共演も果たした。
フィリピンは大小7500以上の島々から成り立っているので、言語も地域性も音楽性も様々。陽気で大らかでどこか懐かしくもあるそれぞれのルーツを辿って、ぜひジャンルをまたいで聴いてみてほしい。

























