Aぇ! group『Chameleon』に見たグループの真価 “ボーカリスト”としてのリズム感が際立つ快作を聴いて
CD Chart Focus
参考:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2025-06-30/
この連載「CD Chart Focus」が終了するとのことで、今回の私の担当分をもって最終回となります。オリコン週間シングルランキングについて4週に1回執筆する連載でしたが、この記事で130本目だったので、10年ほどのランキングを見続けてきたことになります。
この10年、音楽をめぐる状況は激変しました。サブスクの浸透により、CDランキングはその価値のあり方が変化し始めており、これまでのランキングのデータを次世代へ継承していくフェーズになるのでしょう。
私が物心ついた1980年代、音楽のチャートとはレコードのランキングでした。あるいは有線放送へのリクエストのチャート。音楽の流通はレコード、カセットテープ、MD、CD、ダウンロード音源、さらにはハイレゾ音源などさまざまに変化し、そして現在はサブスクが最大の流通形態になっています。つまり、マテリアルもデータも所有しないスタイルになったわけです。それはYouTubeなどでも同じです。
その一方で、フェスを含めライブエンターテインメントが多くの音楽ファンのライフスタイルに密着するものになってきました。チケット代が値上がりしても、夏の野外ライブで熱中症リスクにさらされるとしても、その価値は失われていません。
さて、私にとっての最終回となる「CD Chart Focus」、2025年6月30日付(6月24日発表)のオリコン週間シングルランキングで1位を獲得したのはAぇ! groupの『Chameleon』でした。時代は変われど、STARTO ENTERTAINMENTはなお強いのです。初週売上は、2024年の前作『Gotta Be』の39.1万枚を上回る45.5万枚なのですから。
Aぇ! groupの人気は肌で感じていました。私にはフランスのパリで暮らす友人がおり、2024年初頭に帰国した際に約8年ぶりに会ったのですが、彼女はパリに戻った後、2024年にもう一度帰国したのです。Aぇ! groupのライブを観るために。
地球の裏側にいる私の友人まで魅了するAぇ! groupとはどんなグループなのでしょうか。私は『Chameleon』を聴くことにしました。
皆さんは音楽を聴く時に、どこに意識を向けるでしょうか? 私の場合はリズムセクション、特にベースの動きです。タイトルナンバーである「Chameleon」は、イントロの段階でエレキギターとドラムにすでにスウィング感が生まれていますが、ホーンセクションが鳴り出してからは、完全にソウルナンバーであることをベースラインが伝えてきます。現行シティポップとして海外に輸出可能なサウンドです。






















