Ayumu Imazuが今リアルで強い理由 日比谷野音に響いた時代の始まり――『ERA』ツアーファイナルを振り返る

ニューヨークと日本を拠点にし、作詞作曲、ダンスの振り付けまで手掛け、グローバルに躍進を続けるAyumu Imazuが、5月11日に日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『Ayumu Imazu LIVE 2025 “ERA-FINAL”』を行った。
この日開催されたワンマンライブは、自身初となる全国ホールツアー『Ayumu Imazu HALL TOUR 2025 “ERA”』のファイナル公演。ギター、ベース、キーボード、ドラム、ダンサーズチーム“AI‘M Creative”、そしてAyumuという計12名が登場したステージは、本人がMCで何度も「念願が叶った」と言っていた初のバンド編成でのライブとなった。
年齢層も幅広く、海外からの観客も目立ったこの日の野音のライブは「Stranger」で幕を上げた。続けてアップチューン「BANDAGE」を放ったのち、「この12人でこの空間をパラダイスにしたいと思います!」と「PARADISE」へ。エレクトリックブギーの軽快なリズムが観客を揺らす。

この日最初のMCでは、念願のバンド編成でのライブとなったことに触れ、「リハで『これが今のAyumu Imazuの100%だ!』と思えました。全力でライブをしていきます!」と宣言。6曲目「HONEYCOMB」では、ギターとベースが上体を折りながらヘッドバンキングする振り付けをダンスに取り入れ、ギター、ベース、ダンサーが同じ動きになる場面も。バンドスタイルでなければ出てこなかったかもしれない振り付けに、Ayumuのバンド編成に対する思いが見られた。

バンドをバックに歌うと「もっと楽曲に気持ちがのっかる」と幸せそうな笑顔を見せたAyumu。ツアータイトルの『ERA』は時代という意味で、ここまでまわってきたホールツアーはバックトラックとダンサーというスタイルだった。「そこから次のステップを目指したいと思った」と前置きをしたうえで、「時代の終わりで『ERA』。(この)ファイナルが時代の始まり。念願の(バンドサウンドで)真骨頂、Ayumu Imazuをお届けしようと思います」と結んだ。Furui Rihoを呼び込み、最新曲「LIVE IT UP! (feat. Furui Riho)」を初披露し、続く「Don't Mind Me」では〈うまくすり抜けた先に掴んだ快感〉という歌詞に合わせ、ステージの横幅いっぱいを使い、向かって左手からAyumu、右手からダンサーたちがそれぞれ反対側に向かいながら、Ayumuが次々とダンサーの腕の下をくぐり抜けるというパフォーマンスも。先述のバンド然とした振り付けも含め、パフォーマンスを表現の一部ととらえているAyumuの手腕が光るシーンだった。

この日の演出のひとつの肝になったステージ背面のLEDスクリーン。これをどう活用するかと考えたといい、そのアイデアとは、ホールツアーで使用した演出映像の舞台裏を投影することだった。グリーンバックで踊るAI‘M Creativeたちの姿が映し出されると、観客と一緒に「シュールやなあ」と笑っている。そして、影の濃さやディテールをどこまで出すかでリアリティが出るからこそ、毎回そこをこだわったのだと、ストイックな一面も垣間見える。「次は横のリズムで……」と紹介されたのは「THRIFTED」。たったひとりステージに立ち、ソウルフルな歌声を聴かせる。特に母音のトーンでの喉のコントロールで、多彩なニュアンスを表現したあたりには、アーティスト・Ayumu Imazuのルーツが見えたような気がした。


「みんなで一緒に歌いましょう!」と「Obsessed」へ。薄闇に沈みかけていた日比谷野外大音楽堂のステージが、色とりどりの照明で染まっていく。最後には、会場全体にシンガロングが響いた。続いて「めったにやらないバラード曲。次にやる時はバンドでやろうと決めていた」と活動初期に作ったバラード「雨跡」をパフォーマンス。イントロが鳴ると会場のあちこちから歓喜の声があがった。ステージ背面のバックスクリーンには、歌うAyumuと重なるように雨が映る。ニューヨークと日本を行き来しながら活動してきたAyumu。往復のエアー代だけでも高額で本当にお金がなかったと吐露したのち、その時にお世話になった親友が最近結婚したと、客席にいる親友の名前を呼ぶ。目視で彼らを確認したAyumuは、「あなたたちに届けたくて、曲を完成させてきた」とこれまでSNSのみで発表されていた楽曲「あなたといたい」を披露した。続く「Strawberry kiss」では、英国ロックを想起させるような楽曲で、Ayumuがエレキギターを弾きながら歌ったのだった。






















