Ayumu Imazuが今リアルで強い理由 日比谷野音に響いた時代の始まり――『ERA』ツアーファイナルを振り返る

ライブは後半へ向けてギアを上げていく。7人のAI'M Creativeとともにステージを彩るAyumuのパフォーマンスに、観客からは大歓声が飛ぶ。Ayumuを観ていて驚いたのは、上半身がまったくブレないこと。たとえば、ハンドマイクを持って踊っても、歌い出す時にはいつも同じ場所に同じ角度で持ってくるのだ。歌いながら横を向く時も、身体に対するマイクの位置を変えず、マイクも一緒に横を向ける。ものすごい体幹だ。序盤から後半まで寸分違わずマイクの位置をキープできているのは、Ayumuがこれまでライブを積み重ねてきた証だと思う。パフォーマンスと歌。この異なるファクターに対して、最適なマイクの位置が身体に染み込んでいるのだろう。さらに、Ayumuの楽曲は最初の歌い出しから難しい音程、ニュアンスが必要な曲が多い。それをズレなく安定して繰り出してくるあたりには、天賦の才を感じずにいられなかった。

Ayumu念願のバンドサウンドは、序盤は低音をわざとブーストさせたようなサウンドバランスだったが、本編ラストの5曲はところどころにソウルマナーを感じさせるファンクやR&Bの王道といったサウンド感になっていった。SNSを発信源にヒットを飛ばしたシンガーソングライターがバンドサウンドでライブをする場合、打ち込みの音源をどうバンドアレンジにするか。これは昨今の音楽シーンのひとつの課題だと思うが、Ayumuの場合は、ルーツがR&Bやソウルミュージックであることが功を奏したのだと筆者は思う。既存曲をバンドアレンジにするにも変な無理はなかったし、生音で聴かせることで彼のオーセンティックなルーツがより浮き彫りになったのだ。もちろん音源との違いはあれど、“あるべき音をバンドが鳴らしている”という印象だった。そのクオリティは、もしかすると曲を作っている時からAyumuのなかではバンドサウンドが鳴っていたのではないか、とさえ思うほどだった。

この日、アンコールも含め披露されたのは全21曲。最後のMCでAyumuは「本当に人に恵まれていると思います」と言い、「これからもみんなと上を目指して。すごい景色を見たいと思ってます。皆さん、ついてきてくれますか?」と観客に問いかけた。大歓声のレスポンス。そして最後の曲「Colors」のクラップとスルーハンズで観客はAyumuの問いに答えた。
最後に、この日のAyumuのMCで最も一生に残ったひとことを記しておきたい。アンコールに応えステージに再び現れた時のことだ。「(本編最後の)『Superstar』で鳥肌立って。ヤバかった。音楽の力をあらためて強く感じました」――。音楽の力を信じ、そして体現し続けている。これからもきっとそうだ。だからAyumu Imazuはリアルで強い。

























