『タイプロ』に流れる『SHOCK』の流儀 佐藤勝利の指導力と寺西拓人・原嘉孝が持つ緊張感

 堂本光一が主演・脚本・演出・音楽を手掛けてきた『SHOCK』シリーズは、本番中にたとえ命を落とすことになってもSHOWを続けるという究極のエンターテイナーの魂をテーマにした作品。そこには座長である堂本の美学が刻まれている。佐藤は2022年から2024年にかけて、この憧れの舞台に立った。堂本自身、ラジオ『KinKi Kids どんなもんヤ!』(文化放送/2024年11月8日放送回)で「(『SHOCK』よりきつい作品って)ないよね? 身体的、フィジカル的に」と話していたほどストイックな作品として知られている。しかし、だからこそ「なんかワクワクするんだよね」とも。

 堂本は、著書『エンターテイナーの条件』(日経BPマーケティング)にて「個人的には“怒鳴る人”は現場に必要ない」と語っていた。そして「怒鳴って直るものなら怒鳴りますけど、個人の技量なんだから仕方ないところがありますよね」と続け、「その代わり、僕は一人ひとりをよく観察してるつもりです」「むしろこっちのほうが怖いかもしれませんね」と。

 
 
 
 
 
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 このスタンスは佐藤にも受け継がれているように感じた。佐藤はジッと候補生たちを見つめる。その静かな眼差しの中で、候補生たちの可能性を見極めていく。注意するときも、感情的にはならない。その雰囲気は、思わず「むしろこっちのほうが怖い」とも言いたくなるほどだ。

 そしてteam SATOに、途中でヘッドマイクからハンドマイクへ変更したり、ターンの数を増やす追加課題を提示し、難易度を上げていったのも特徴的だった。より良いSHOWにするためなら容赦なく変更を加えていくことも。そして目立つメンバーにより見せ場の多いパートを担当させることで、それがSHOWの世界の厳しい伝統であると言わんばかりに突きつける。

 
 
 
 
 
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 ちなみに、現在は俳優部として活動している最終候補生の寺西と原もまた、そんな佐藤と同じく『SHOCK』の世界に触れてきたメンバーだ。どの場面を切り取っても気を抜いている素振りが彼らから見えないのも、もしかしたらいつだって“見られている”ということが体に染み付いているからかもしれない。それも大所帯のカンパニーを率いる役所を担う舞台の座長・堂本光一の眼差しで……そう考えると、どれほどの緊張感か容易に想像できる。

 「ショーの世界だからいえることかもしれませんが、一見マイナスな緊張感がいい結果を生むこともあります」とも著書で語っていた堂本。「だから一概に、仲良しこよしがいいとは限らないんですよね、この世界は」――。きっとこの言葉が、佐藤の審査基準の軸のひとつとなっているのではないだろうか。“友情”や“愛情”を抱きながらも、どこか緊張感を保ち続けられるという特別な関係。すべては“ショー”SHOW」のために集まった仲間。そんな“熱く”、“やさしく”、“厳しい”意識が、きっと新生timeleszには見えてくるような予感がする。

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