The BONEZ×Dragon Ash、喪失も反発も乗り越えたアツい団結 最強のライバルが1つになったツアー『Straight Up』

The BONEZ×Dragon Ash初対バンツアーレポ

「最高のバンドには最高のオーディエンスがついてる」(Kj)

 そんなパリピな空気感をぶち破るように「Majestic」のSEが鳴り響き、この日の後攻、Dragon Ashが登場。1曲目は初期の人気曲であり、トリビュートアルバム『25 – A Tribute To Dragon Ash –』でThe BONEZがカバーした「天使ノロック」だ。

 続けて最強のライブチューン「Mix it Up」を響かせた後、「おあつらえ向きで!」というKjの声を合図に、KjとJESSEを引き合わせたIKÜZÖNEが敬愛するhide(with Spread Beaver)の「ROCKET DIVE」のカバーを披露。初日からガラリとセットリストを変え、熱量の高いライブチューンを立て続けに撃ち放つDragon Ash。もちろん観客も心得たものだ。熱狂必至のパンクチューン「Iceman」では1番までは歌=観客、演奏=Dragon Ashの共同作業で披露。歌いながらも、ラウドな展開では思い切り暴れ踊るオーディエンスたちにKjが声を上げる。

「最高のバンドには最高のオーディエンスがついてるって確信したわ。お前らがいてくれたらどこ行っても負ける気しないわ!」

 求めてくれる観客と、同じ痛みを知る仲間。彼らがいてくれたからこそ、大切な仲間を失った時も、絶望の淵にいた時も、不安に押しつぶされそうな時も、どんな時でもDragon Ashは前を向くことができたのだと思う。

 決意の曲「The Show Must Go On」の途中、Kjが思いの丈を振り絞るように叫ぶ。

「神様、今日だけは俺たちをロックの神様にしてくれ!」

「Fantasista」ではThe BONEZメンバーが勢揃い

 「変な格好して変な空気感にしたヤツ呼んでいいか?」というKjの紹介で登場したのはZAXだ。ZAX×櫻井のツインドラムによるオーディエンス讃歌「For divers area」の強靭なグルーヴに、笑顔で飛び跳ねる観客たち。すると、ギターを抱えたKjが「遅れをとりませぬように! 俺とT$UYO$HIを見て一緒に!」と観客を促し、T$UYO$HIと共にステージを左に右にと、軽やかに移動。2人の動きに合わせて観客も横向きに移動すると、なんともピースフルな「横モッシュ」がフロアに誕生していく。デビューから27年を経て生まれた、演者と観客が共に楽しめる新たなムーブ。Dragon Ashにとってこのツアーがいかに充実したものだったかが想像できる。

「Kも馬場さんも死んじまったけど、俺はまだ生きてるぜ。T$UYO$HIも生きてる。声を枯らしてJESSEも歌ってんだろ? 嫌なことあったらライブハウスに来てくれ。俺らがでっかい音で全部忘れさせてやっから」

 そう言って、一人ひとりに語りかけるように歌い始めた「ダイアログ」では、Kjのリクエストに応え、観客がスマホのライトをステージに向けて照らす。

 「百合の咲く場所で」で場内の熱気を最高潮にぶち上げた後は、hirokiと揃いのDragon Ash Tシャツを着たKOKIが登場。お立ち台の上で「Bring It」のリフをヘヴィに響かせる彼のシルエットは、若き日のGuns N' Rosesのギタリスト、スラッシュのようだ。T$UYO$HIとKOKIが向かい合い演奏し合う中、Kjがフロアにダイブする。

 そして「Fantasista」では、T$UYO$HIがベースソロを演奏するタイミングで、ツアーフラッグを抱えたJESSE、ZAX、KOKIも登場。T$UYO$HIが繋いだ「TEAM Straight Up」がステージに居並ぶ。

最強のライバルは無二の盟友に “大切な日”には追加公演も

「T$UYO$HIさん、ありがとう!」ーー観客の声が響く中、Kjが話し始める。

「みんなの好きなものって何? 俺たちにとってはロック、ロックバンド。俺もそれを離したくない。何が何でも離さない!」

 長い間、MCで多くを語ることのなかったKjが、自らに言い聞かせるように宣言し、「New Era」を披露する。そして、「まさかこんな曲ができると思わなかった。相棒!」とKjが呼び込んだJESSEと共に、Dragon Ash側の「Straight Up feat. JESSE」がフロアに鳴り響く。Dragon Ashメンバーと共に、ZAXもドラムを、KOKIもギターを演奏。誰もがずっと待ち望んできたDragon AshとThe BONEZが完全にフュージョンした姿に、オーディエンスたちは歓喜の声を上げる。

「このツアーはアンコールをやらないで来てるんだけど、やってない曲あるからやっていいかな?」

 そう言って披露されたのは、今回のツアー会場限定発売CD『Straight Up e. p.』に収録された書き下ろし曲「Never Mind feat. Kj」(JESSE)。赤裸々な思いが綴られたリリックを歌い合うKjとJESSE。感極まったKjに続き、JESSEも目元を拭う。かつて反目し合っていた両者は、今や唯一無二の盟友となった。

 終演後のバックヤードで、「建志(Kj)が泣くから俺もダメだった(笑)」と、照れながら話していたJESSE。そして、「建志があんなにMCすること、なかったでしょ?」と誇らしげに言う。2人のフロントマンたちの絆は、我々が想像する以上にずっと深いものなのだと思う。

 この日、両バンド全員で肩を組んでステージに立ち、最後のお辞儀をした後、今回のツアーを企画したT$UYO$HIが、観客に嬉しいサプライズを投下。

「俺はこのツアーをみんなの倍、楽しませてもらいました。ありがとう。もう1回やるか! 12月30日にここ、Zepp Hanedaで追加公演をやります」

 12月30日は、KjとJESSEの間に唯一立てたはずだったP.T.PのKの命日。間違いなく伝説の1日になるだろう。

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◾️追加公演情報
The BONEZ × Dragon Ash『Straight Up Tour』
2024年12月30日(日)Open 18:00 / Start 19:00
Zepp Haneda (Tokyo)

<チケット代金>
1Fスタンディング ¥7,500(税込・D別)
2F指定席 ¥8,000(税込・D別)
学割:1Fスタンディング ¥4,900(税込・D別)
学割:2F指定席 ¥5,400(税込・D別)

詳細:https://www.straightup.jp/

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