SixTONES、田中樹のいないANNで見える新しい面白さ ジェシー・松村北斗メインMC回を振り返って

 毎週土曜よる11時30分から放送しているSixTONESのラジオ番組『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』(ニッポン放送)では、これまで固定でメインパーソナリティを務めてきた田中樹に代わり、SixTONESのメンバーがパーソナリティを担当する2カ月間限定のイレギュラー企画が進行中。そのトップバッターとして、ジェシーが10月12日の放送回から4週にわたってMCを務めた。

 MCを担当する前週、10月5日の放送回に週替わりメンバーとして出演したジェシー。番組の終盤で、田中はリスナーから「いつかまた戻ってきて」というメールを受け、「すぐ帰ってくるから」とコメント。ジェシーには「頼んだよ!」と伝えていた。田中が「自信ある?」と聞くと、「ジェシーだけに“ジェシン”(自信)あります」とジェシーならではのギャグを交えながら意気込みを語っていた。

 そして迎えた10月12日の放送回では、週替わりメンバーとして森本慎太郎が登場。メンバーの中では年齢が下であることから、ファンの間では“末ズ”と呼ばれる2人が生放送に挑んだ。ジェシーは「いつもと違う席なので、非常にドキドキドキンちゃんです!」とギャグを飛ばすと、森本は「ありがとう、そうなんだ」と冷静に返答するなど、冒頭から笑いに包まれていた。森本が「緊張はするものなの?」と聞くと、「緊張はするものだけど、どっか行っちゃったり来たり」と再びギャグを放つジェシー。森本は「今日、ツッコミ不在だぜ? ヤバいぞ、今日。俺ですらドキドキしてるんだよ」と、楽し気な雰囲気と同時に、2人の緊張感が伝わってきた。

 ジェシーは改めて「前回、聞き逃してしまった方は死ぬほどびっくりしてると思うんですけども、期間限定なのでご安心ください!」と田中不在の状況を説明し、「お忙しい中ありがとうございます」とMCモードに切り替えて森本を迎えた。

 森本が自身のトークについて「はずれが多い」と切り出し、「髙地(優吾)で、すごく安定(的)に、ちゃんと面白く、スベったりとか変な間が生まれなかったり、きれいな流れで1回目の放送をちゃんと成功で終わらせる。で、ジェシーの中でも『MCってこういう感じなのかな』ってなんとなくの流れを掴んでから、一番喋れない俺が来るはずなのよ……」と自虐的に語ると、ジェシーはさりげなく「喋れるから大丈夫だよ」「ハズレはアタリ!」と励ましていた。

 また2人はツッコミ不在である状況を気にしてか、「ツッコミの練習をしようか」と、ボケにボケを重ねていく“ボケ不在漫才”のようなトークで笑いを誘ったほか、ジェシーと森本の組み合わせを初めて聴くリスナーに向けて、ジュニア時代からの関係性を回顧。先に入所したジェシーと、当時9才の“森本少年”との出会いから、デビュー前の森本の“首領”時代の話など、思い出話に花を咲かせた。

 続く10月19日の放送回には松村北斗が登場。前週の初MCについて、ジェシーが「反省点は、時間を見ないでずっと喋ってて……」と回顧。のちに“ノールックタイマーズ”、“時間見ない界隈”なる言葉も飛び出した。

 松村はジェシーとのトークを交わすうちに、かつて出演していた『らじらー!サタデー』(NHKラジオ第1)を思い出した様子で、当時のジェシーとのやりとりに、京本大我と手をつないだまま放送を終えたエピソードを明かすなど、メンバーとの思い出もたっぷり。また、リスナーからのメールを受けてジェシーが「北斗、ポップ打ってるよ!」と言えば、松村も「聞こえるか〜2013年の北斗〜! おーい! お前、ポップ打っちゃってるってよ〜」と俳優らしい即興劇のような一幕も。

 10月26日のスペシャルウィークでは、ジェシーの親友として知られる霜降り明星のせいやがゲスト出演。普段毎週金曜放送『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)でパーソナリティを勤めているだけに、テンポ感があるトークを展開し、ジェシーは緊張よりも“楽しい”が勝った様子だった。

 そして、ジェシーのMCのラストとなった11月2日の放送回には、髙地が登場。この日の放送でも、メンバーをゲストのように迎えたジェシー。「今週で西郷(最後)隆盛ということで」とギャグを飛ばすと、髙地は「いいですね、絶好調」と相槌を打つ。そしてジェシーのMCについて、髙地は「冒頭から、この1カ月やってたと思うとよく頑張ったな。伝わるよ、よく頑張ったよ」と労っていた。

 “ゆごじぇ”として親しまれ、プライベートでも2人で旅に出かけるほどの間柄だが、ジェシーは“髙地さん”と呼んでゲスト扱いすると、髙地は「仲良く喋ればいいじゃん! 遠くなってるよ、いつものジェシーと楽しくフランクに(喋りたい)」とツッコミ。同じパーソナリティというスタンスのはずが、ゲスト扱いを譲らないジェシーに、それならばと髙地も応戦。ジェシーが「今日一番ヤバいかもしれないですね。ゲスト様によってツッコめるか、ツッコめないかで、どうラジオの展開が生まれるか」と話すと、髙地は「こっち次第なんですか? こっちの負担が大きいですね」と返答。しばしの間「ラジオ」と題したコントを聞いているかのようだった。

 週替わりで登場するメンバーをゲストとしてしっかりと迎えるのがジェシーのMCスタイル。(森本、髙地、松村たちは一様に驚いていたが)時折、敬語を交え、それがツッコミどころにもなっていた。リスナーからのメールには“アチアチ”と声色を変えて興味を誘うなど、エンターテイナーらしい一面も。一方、メールを読み上げるときには落ち着き、聞き取りやすいように、言い間違えないようにと、やや慎重に読み上げていたのも印象的だ。

 ジェシーは2023年に放送された単発番組『オンナの出口調査』(フジテレビ系)でナレーションを担当。視聴者の興味をそそる語り口と、ポップなテンションで番組を盛り上げるなど、声の仕事でもインパクトを残してきた。ラジオでも同様に、陽気なテンションと声色を変えながら進行し、相手の個性や雰囲気、テンションに“合わせる”というよりは、“馴染む”という言葉がしっくりくる。表情こそ見えないものの、トークを交わす2人の口角の上がり具合が伝わってきた。笑いに、真面目さと緊張感が入り混じるジェシーだからこその番組を届けた。

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