結束バンド×石原慎也、04 Limited Sazabys、大木伸夫、佐藤千亜妃……キャラと楽曲提供者によるシナジー

「夢を束ねて」Vo.:後藤ひとり
作詞・作曲:佐藤千亜妃 編曲:三井律郎

 EPラストナンバーはひとりの制作イメージ曲「夢を束ねて」。サウンド面以上に、本アニメ関連曲すべての根底に通ずる“後藤ひとりが書く歌詞”を、この楽曲を手がけた佐藤千亜妃がどう解釈したか。それが「夢を束ねて」の最大のポイントと言っても過言ではない。

 彼女が手掛ける曲の魅力は、儚く退廃的でありながらもしなやかで鋭い表現世界にある。ネガティブさと卑屈さにせめぎ合う承認欲求。その狭間でもがく後藤ひとりという鬱屈した孤独な表現者が、大切なバンド仲間を得た先に見た景色。それが佐藤の持つ刹那的でやわらかな視線で、色彩豊かに描かれる点が非常に印象的だ。

 特に〈深夜のファミレス/深爪した左手/埋まらないノートと/落書き〉という歌詞は、ぼっちのキャラクター性を内外面含め極限まで繊細かつ写実的に切り取った、あまりにも秀逸な一節だろう。不器用で、だからこそ愛おしい。そんな物語の主人公である彼女への愛着を、本作はよりかき立てるような慈愛に満ちた曲にもなっている。

 アニメ放送後もなお、個性豊かな4人による結束バンドの歩みが確かに続いていることを感じさせる本EP。先行配信後の9月8日からは、音源と同タイトルを冠したツアー『結束バンド ZEPP TOUR 2024 “We will”』も開幕した。

 本公演ではボーカル・喜多役の長谷川だけでなく、各キャラの声優4人全員がステージに立つ。次元を超えた結束バンドの活動は、まだまだこれからも続いていく。

結束バンド、ファンと分かち合った『ぼっち・ざ・ろっく!』愛 キャスト4人の成長も見えたライブイベント

テレビアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の劇中バンド・結束バンドが5月21日、Zepp Haneda (TOKYO)にてライブイベン…

『ぼっち・ざ・ろっく!』結束バンドが持つ楽曲の魅力は? アニメ&ロックファンを惹きつける邦楽バンド特有の“青臭いエモさ”

ロックは、本当に死んだのか? たしかにグローバルではヒップホップの音楽売上が、ロックのそれを上回って久しい昨今、日本においてもD…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる