Rockon Social Clubの6人にしかないエネルギーとは何か 成田昭次・岡本健一・寺岡呼人、新作&ツアーを大いに語る

成田・岡本・寺岡が語るRockon Social Club

 Rockon Social Clubが、9月6日にミニアルバム『SUMMER OF LOVE』をリリースする。昨年夏に活動終了した男闘呼組の4人に、寺岡呼人と青山英樹を加えた6人編成のバンドは、寺岡呼人のプロデュースのもと、わずか1年半の間にシングル11曲と2枚のフルアルバムをリリースし、現在は合計30本に及ぶ全国ツアー『KURE 5-56 Presents Rockon Social Club Reloaded Tour 2024』の真っ最中だ。

 ミニアルバムに先行する2曲のシングル、「ポイントちょーだい」は歌謡曲+ファンクロックの濃厚なサウンドに社会風刺の歌詞を乗せ、「Summer of Love」は80年代洋楽ポップスの香り高い、きらめく音色の爽やかなラブソング。他の楽曲も、寺岡の作品を中心に、成田昭次の作詞作曲、高橋和也の作詞など、メンバーの個性が鮮やかに花開く6曲入りだ。

 ツアー、新曲、大きな話題となった『音楽の日』(TBS系)出演エピソード、そしてツアーファイナルの日本武道館2days。猛スピードで前進し続けるRockon Social Clubの現在について、成田昭次、岡本健一、寺岡呼人の3人に話を聞いてみよう。(宮本英夫)

「うっかりしていると振り落とされる」Rockon Social Clubのエネルギー

Rockon Social Club

――現在進行中の、真夏の全国ツアー。調子はどうですか。

岡本健一(以下、岡本):「Reloaded」には、もう一回新しく構築していくというような意味があって、ライブをやりながら、その意味をお客さんと一緒に感じていますね。新しい曲もありますし、昔の自分たちと、これからの自分たちと、今はちょうど分岐点にいると思います。お客さんも若い子から年配の方までいたり、男の人たちも多かったりして、去年のツアーとはまた違う雰囲気ですごく楽しいですね。盛り上がります。

寺岡呼人(以下、寺岡):9月に出すミニアルバムの新曲が結構あるんですよ。それをちょっとずつ、日替わりでやろうという話だったんですけど、結局全曲やっているという(笑)。ある意味冒険かなと思いつつ、そういう新しい面を見せていくことも、今後のツアーに大事なことなのかなと思いながらやっていますね。お客さんも、新しい曲を受け入れてくれたり、聴き込んだりしながら、昔の曲を楽しんでくれているみたいな、そんな感じになっています。

――呼人さんから見て、ツアーを重ねるごとに、バンドとして成長や変化を感じる部分はありますか。

寺岡:バンドとしての圧が違ってきたというか、この6人のエネルギーって独特なんです。あと、みんな仲がいいんですよね。今日たまたま、(男闘呼組が出演していた)『ロックよ、静かに流れよ』の映画を観ていたんですけど、ブランクはあったにせよ、あの頃の友情の感じと変わってないなという、うらやましさを感じながらツアーを回っています。

成田昭次(以下、成田):Rockon Social Clubの単体ツアーとしては、今回が2度目なんですね。去年行けなかったところも回ることができていて、僕の地元の名古屋も、去年はスケジュールの関係で行けなかったんですけど、今回は3日間もあって、そこで去年より成長している自分たちを感じてもらえたんじゃないかなと思います。呼人さんが言ってくれたように、6人のエネルギーがすごいので、うっかりしていると振り落とされちゃったりするんですよ。僕が一番体力的にもろいので、いつも「最後まで振り落とされないように」と思いながらやっています(笑)。それぐらい勢いがあるんですよね、6人集まると。ライブだから予期しないことも起きるし、「今日はこういうスタイルでやっていこう」とどんなに思っても、ステージに上がって、お客さんの反応があって、思いもよらない自分が見れたりとか、普段と違うメンバーの姿が見れたりとか、それが一番面白いです。

Rockon Social Club
成田昭次
Rockon Social Club
高橋和也
Rockon Social Club
岡本健一
Rockon Social Club
前田耕陽
Rockon Social Club
青山英樹
Rockon Social Club
寺岡呼人

――ステージ上での、普段と違うメンバーの姿というのは、たとえば?

成田:並びが横一列なので、(高橋)和也が歌っているところ、(岡本)健一が歌っているところを真横から見れるので、意外と面白いんですよ。顔はシャウトしてるけど、足はちゃんと倒れないようにしっかり踏ん張っているんだなということがわかったりとか。

岡本:(笑)。

成田:それぞれの癖があって、「これは昔、35年前にも見た光景だな」と思うことも結構あります。後ろを向けば(前田)耕陽がいて、いい意味で耕陽らしいちゃらけた姿があって、というものを毎回見せてくれるので、面白いですよ。呼人さんもそうだし、(青山)英樹くんもそうなんですけど、この6人じゃないと絶対にならない動きがあるんじゃないかなと思います。

――呼人さんは、音源制作に関してはメインのソングライターであり、プロデューサーですけど、ステージ上ではどんな役割を意識していますか。

寺岡:どんな役割、か……。

岡本:というか、男闘呼組の4人だけだと、何にもまとまらないんですよ(笑)。

成田:わかりやすく言えば、呼人さんは「鵜飼い」ですね(笑)。「さぁ、魚取ってこい」と。

岡本:そうそう(笑)。「自由にやっていい」と言いながら、実はちゃんと牛耳って、周りを見てくれている。

成田:司令塔になってくれている。呼人さん、耳がめちゃくちゃいいんですよ。コードを間違えると、すぐにみつかっちゃう。そういう監督力もすごいです。

岡本:頼もしいですよね。呼人さんがいるから、こっちが自由にできるみたいなところは、かなりあります。(寺岡に)そう思いません? 俺がいないとダメなんだって思いません?

寺岡:僕がいなくても全然大丈夫ですよ。ただ、本当に個性派集団なので。

岡本:でもカーリングシトーンズ(寺岡呼人、奥田民生、斉藤和義、浜崎貴司、YO-KING、トータス松本)も、俺ら以上に個性的なバンドじゃないですか。あれとはまた違うんですか。

寺岡:全然違う。あっちの方がおとなしいですよ、体力的にも(笑)。でもね、(Rockon Social Clubは)ほとんどが50代中盤で、これだけの本数のツアーを全力でやっている姿というのは、たとえばミック・ジャガーが80歳になってもやるように、ロックには年齢は関係ないんだということを、証明してくれているような感じがします。

『音楽の日』hopeバンド参加で得たこと

――すごくいいバランスだと思います。そして新作の話に行く前に、一つ聞かせてください。先日出演された音楽特番『音楽の日』(7月13日)のパフォーマンスが非常に評判が良くて、Rockon Social Clubとしてはもちろん、呼人さん、岡本さん、成田さんは、特別編成の「hopeバンド」のメンバーとしても大活躍でした。あの日のエピソードを、あらためて聞かせてほしいんですが。

岡本:『音楽の日』は、まずRockon Social Clubの「Summer of Love」をお届けして、それに関しては本当に楽しかったです。そしてhopeバンドというのは、呼人さんが中心になったプロジェクトで、僕らはそこに混ぜてもらった感じなんですけど、披露した曲をそれまでちゃんと聴いたことがなかったんですよね。でも演奏するにあたっていろんなことを学んでみると、「やっぱりいい曲だな」と思う曲ばっかりだったんです。ボーカリストも、はじめましての方々がほとんどだったんですけど、一緒にバンドで音を出す楽しさがありましたし、生放送だったので、ライブならではの何が起こるかわからないところもあって、それこそ、中居(正広)が途中で来たのもまさにそうなんですけど、ライブならではのサプライズと、音楽というものがどれだけ人の心を動かすか、みたいなことをあらためて実感しました。

成田:hopeバンドは結構大変でした。はじめてのことばかりで精神的にかなり追い込まれたんですけど、練習していくことによって、あらためていろんな驚きと発見があって、曲の裏側を垣間見ることができたんですよね。それと、たくさんのゲストボーカリストの人たちの背中がすごくいろんなことを物語っていて、これはなかなか見れない貴重な場面だなと思いました。hopeバンドのメンバーとして加われたことは、今後、自分が音楽をやっていく上ですごく勉強になったし、これからもっとやっていこうという意欲を湧かせてくれましたね。

――素晴らしい。この二人を選んで良かったですね、呼人さん。

寺岡:実は、本番では健一くんは途中から参加する予定だったんですけど、2日前にリハーサルをやった時に、「全部出なよ」ということになったんですね。今から曲を覚えるのは大変だから無理ですって、僕だったら絶対思うのに、「あ、そう?」とか言いながら参加している、その姿がめちゃくちゃかっこよかった。オンエアを観ても、バックバンド側にいつつも、パフォーマーとして画面に映っている感じが華を添えてくれたなと思いますね。しかも番組の司会が後輩の中居くんだったので、その流れがなかったら「TRAIN-TRAIN」での乱入もなかったと思うし、そういう歴史的な繋がりというか、奇跡というか偶然というか、それもこの二人がいなかったら起きていないと思うので。その次の曲が「夜空ノムコウ」だったというのも、ね。

岡本:良かったですね。

寺岡:結局、それで全部持っていかれたという(笑)。

岡本:男闘呼組自体も、(2022年の)『音楽の日』で復活したということもありますし、去年はRockon Social Clubで出させてもらって、今年はhopeバンドで希望を伝えるみたいな、なかなか思い入れのある番組になっていますよね。

「怒られるのを覚悟で作っている」寺岡呼人からの提案が導く新しい世界

――新しいミニアルバムの話をしていこうと思います。まず先行シングルの「ポイントちょーだい」と「Summer of Love」が、これまでになかったタイプの楽曲で、アルバム用の新曲にも新しい要素がたくさん詰まっていて、ミニアルバムなのにこんなにバラエティに富んでいて、1曲1曲が濃厚なのはすごいなと、シンプルに思いました。いい作品だと思います。

岡本:「Summer of Love」は、どういうふうに思いついたんですか?

寺岡:曲を書く時に、キーワードになる言葉があったらメモすることにしているんですよ。たぶん去年のツアー中だと思うんですけど、来年の夏にツアーをやるんだったら夏の曲が欲しいなと思った時に、「Summer of Love」っていいなと思ったんですね。60年代のヒッピー文化の言葉でありつつ、なおかつラブソングでもあるというのはいいなと思って、タイトルだけメモっていたんですよね。「ポイントちょーだい」もそうで、メモっていた言葉でした。曲を書く時は、まずライブを想定するんですけど、「Summer of Love」はお客さんが手拍子するような曲にして、「ポイントちょーだい」は(左右に)手を振る曲にしたいとか、お客さんのノリのバリエーションなんですよね。

岡本:じゃあ、形も何もなく、イメージで。

寺岡:そうそう。「サビは絶対(お客さんに)こうさせたい」っていう。

岡本:でも、そのサビのメロディはまだ生まれていないわけですよね。

寺岡:そう(笑)。でも「そうさせたい」と思うんだよね。実際、今もライブで、ちゃんとそうやって乗ってくれているから。

岡本:盛り上がっていますよね。

成田:全然タイプが違いますよね。この2曲は。

――元々あれですか、呼人さんの中では、ロックバンドではあるけど、色々やれるし、やっていいバンドだという思いがあるんですか。

寺岡:毎回、怒られるのを覚悟で作っています(笑)。「これはやりすぎだ」と言われたら、「わかりました。そうですよね」と言おうと思ったんですけど、今のところ全部受け入れてもらっている(笑)。

岡本:やっぱり、否定しちゃダメですよね。

成田:そう。否定しちゃダメ。

岡本:俺にもあるんだけど、自分のこだわりがいかにちっちゃいものか、ということを感じているんですよ。だから、人から何か言われたことに対して、まずは受け入れてみようというのがベースにあります。みんなもそうなのかもしれないけど、自分たちのことを思って作ってくれているということに、まず乗っかってみる。そうすると、まったく自分では得たことのない気持ちが生まれるんですよね。新しい世界に導いてくれるみたいな感じですよね、曲によって。

成田:本当にそうだね。

Rockon Social Club「Summer of Love」Music Video
Rockon Social Club「ポイントちょーだい」Music Video

――成田さん、「ポイントちょーだい」を最初に聴いた時は、どんなふうに感じました?

成田:僕は、いいなと思いました。でも、やるからには、中途半端にやったりとか、照れながらやったりするのはかっこ悪いと思うので、堂々と「ポイントちょーだい」と言おうと。「Summer of Love」もそうで、「こういう曲、やったことないや」と思ったんですけど、そこで「やったことないから」と言ったらそれまでじゃないですか。正直、僕が聴いてきた音楽のルーツの中では、あんまり馴染みがある感じではないんですけど、やると決めたら真剣にやるのが一番かっこいいと思うんですよね。そうじゃないと他の人にも伝わらないし、初めて聴く人にも届かないと思うので。

――呼人さん、してやったりじゃないですか。

寺岡:そうやって受け入れてもらっていること自体が、僕にとってはありがたいです。

――「Summer of Love」には80年代の洋楽ポップスっぽい、キラキラした音色を感じますけど、そのへんはメンバーの共通した年代や世代感がベースにあるんですかね。

寺岡:年代やジャンルというよりも、この6人ですごく大きい会場でライブをやっているイメージがあるんですよ。そういうところで大勢のお客さんで盛り上がる曲、みたいなことは常に意識しています。「ポイントちょーだい」もそうですけど。

岡本:でも「Breaking News」みたいに、世の中に対して毒を吐く曲もありますよね。あれは?

寺岡:健一くんがこういう曲が好きだろうなと思って、健一くんに歌わせたいという気持ちがちょっとあったの。少しダークな感じの、ミクスチャーっぽい感じが似合うなと思って。

岡本:でも〈「ただいま入ったニュースです」〉とか、AIボイスを使うところって、全然俺っぽくないですよね。

寺岡:あそこはね。だから、耕陽くんになったんだけど。

岡本:そういう発想が面白いんですよね。すごく。

――そういう、メンバーへの当て書きとか、曲が演奏されるイメージとか、1曲ごとにあるんですね。

寺岡:そうじゃないものもあるんですけど、「ポイントちょーだい」「Summer of Love」「Breaking News」は、そういうイメージで作りました。全部タイトルが先です。

岡本:今までの曲もそうですか。

寺岡:ほぼ、そうです。じゃないと、どんなにいいトラックを作っても、歌詞が出なかったらいい曲じゃなくなるから、もったいないじゃないですか。いい曲でいいトラックができたのに、歌詞もタイトルも出てこなかったらね。だったら最初にタイトルを作りたいなというタイプです。

岡本:なるほどね。

寺岡:木崎(賢治)さんという、沢田研二さんたちを手掛けたプロデューサーの方の本を読むと、あの頃の時代はみんなタイトルから作っていたと言うんです。「TOKIO」というタイトルで書いてくださいと、糸井重里さんにお願いしたりとか。だからタイトルを先に決めるのは、やっぱりいいなと思ったんですね。

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