米津玄師、Mrs. GREEN APPLE、BE:FIRST、木村拓哉、iri、結束バンド……注目新譜6作をレビュー

木村拓哉「No Night, No Starlight」

木村拓哉ー「TAKUYA KIMURA Live Tour 2022 Next Destination」トレイラーVol.1

 最新アルバム『SEE YOU THERE』からの一曲。本作にはAI、堂本剛、SUPER BEAVER・柳沢亮太など豪華メンバーが楽曲提供しているが、こちらは久保田利伸が作曲。ファンキーでソウルフル、オールドスクール寄りのダンスミュージックである。作詞を手がけるのは30代の前田甘露だが、ここはあえてバブリーなムードに寄せた印象。〈ロンリーな Planet〉〈その瞳(め)に呼びかけりゃ〉みたいな歌詞がやけに平成初期っぽく、見方によってはネタになりかねない。ただ、これを本気でやれるのが“キムタク”の凄み。歌詞にはないセリフ部分なども含めて、ばっちり華やかな世界観を作り上げる。これができる人、他にいないでしょう。(石井)

iri「Swamp」

iri「Swamp」

 今年3月に初の日本武道館ライブを成功させるなど、確実にステップアップを続けているiri。新曲「Swamp」は、彼女にとって初めての地上波ドラマ(テレビ朝日系『スカイキャッスル』)の主題歌だ。ダークな雰囲気の弦楽器、鋭利に響くギター、タイトに研ぎ澄まされたビートが一つになったトラック(編曲はESME MORI)のなかでiriは、憂い、気だるさ、凛とした強さを同時に感じさせるボーカルを鳴らしてみせる。特に、厚みのある中音域は彼女の大きな武器だと思う。欲望や愛情に翻弄され、葛藤や苦悩を抱えながらも、大切な人を守り、自分の人生を掴み取ろうとする姿を描いたリリックも絶品。奥深く刺激的な感情、そして、日本語の響きを活かしたフロウの気持ちよさが絶妙に絡み合う。(森)

結束バンド「ドッペルゲンガー」

結束バンド「ドッペルゲンガー」

 映画『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』オープニングテーマ。なおエンディングテーマは同バンドによる「Re:Re:」で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのカバーである。後者は結束バンドの曲として聴くと妙におおらかというか、起伏が乏しいようにも感じられる。つまり、ギターがテクニカルなフレーズを多用してダイナミックに駆け上がり、ベースが半端ない歌心を発揮、単調な繰り返しを避けて突き進む「ドッペルゲンガー」のスリリングな構成こそが、今の結束バンドの個性なのだろう。作詞担当は樋口愛(ヒグチアイ)。〈どん底で静寂を聴いてた〉主人公たちが〈君が第一声鳴らして/始めたストーリーだろう〉と今を確認し合っていく内容は、作品をさらに輝かせるものになっている。(石井)

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