Crab 蟹 Club、“初のライブ活動”で変化した楽曲との向き合い方 新曲2作で見せるバンドの成長
“夏×哀愁”をテーマに1年かけて制作した「ジュライ」
ーーすごい一致ですね! そして新曲「ジュライ」は、J-POPのリスナーにも届きそうなポピュラリティを備えた楽曲だと思います。切ない夏をテーマにした曲を制作したのは、どういう理由だったんですか?
KumoHana:切ない夏が大好きなんです。そもそも夏という季節も好きだし、ノスタルジーというか、郷愁、懐かしい感情にも惹かれているというか。放っておくとそういう曲ばっかり書いちゃう気がして、「“夏×哀愁”をテーマにした曲はこれきりにしよう」と気合いを入れて作ったのが「ジュライ」だったんですよ。それこそ去年のジュライ(7月)くらいに作り始めて、四季を巡るくらいの時間をかけて。「自分は夏に対して、こんなに思い入れがあったんだな」て再発見できたし、こだわりを持って作り込んでいます。
ーー夏の切なさに意識が向いてしまうのは、何でだと思いますか?
KumoHana:どうしてでしょうね? 夏の始まりって、めっちゃ明るいじゃないですか。 楽しさやキラキラした感じがあり過ぎて、それがなくなってしまうことに切なさを覚えるのかも。
房治郎:デモの段階から、KumoHanaが伝えたい情景がはっきりしている感じがあって。バンド全体としてできるだけ音を少なくして、歌のきれいさを際立たせてようと思っていました。普段より重ねるギターの本数も少ないので、一つひとつの音色だったり、ピッキングのニュアンスを感じてもらえるんじゃないかなと。自分の強みを出せる曲だと思うし、こだわって丁寧に作っているので、細かい部分まで聴いてもらえたらうれしいですね。
ナガオカ:夏の明るい部分だけではなくて、ジメッとした部分、影になる部分も含まれている曲なので、そこを意識しながらフレーズを作りました。たとえばグリス(弦を押さえたままフレットを移動する奏法)も引きずる感じを強めに出したり、ポップに盛り上がり過ぎないようにしたり。そのうえで曲全体が重たくなり過ぎないように意識していましたね。
ーーギターソロ、ベースソロがつながる部分もありますね。
KumoHana:はい。2番のサビまでは日差しの強い夏を描いていて、その後、少しずつ陰ってくるんですよ。それを踏まえて、ギターソロあたりで日が落ちてきて、ベースソロで日が暮れるという時間の移り変わりを表現したくて。
龍登:この曲をKumoHanaから送ってもらったときに、「海の夏ではなくて、山の夏だな」というイメージがあって。僕の実家もすごく山奥にあるので、子供の頃の思い出とかが浮かんできて……ただ、夏はあんまり好きじゃないんですよ(笑)。
KumoHana:(笑)。
龍登:夏って好きか嫌いかによって人間が二極化されるというか。そういう意味でも特殊な季節だし、嫌いな人にも好きな人にも共感してもらえる曲にしたかったんですよね。ドラムの演奏的には、後ろ髪を引かれつつ、少しずつ日々が進んでしまう雰囲気を出せたらなと思っていました。
ーーみなさん、楽曲のテーマや世界観をしっかり汲み取って演奏しているんですね。KumoHanaさんからも「こういうアレンジにしてほしい」という話をしてるんですか?
KumoHana:鬱屈とした夏というか、明るい夏じゃないよ、というのは伝えましたけど、それぞれの楽器について「こうやってほしい」みたいなことはまったく言っていなくて。リズム隊の2人のこだわりを聞いて、「そうだったんだ!」ってなりました(笑)。個人的にもビックリというか、そこまで汲み取ってもらえてうれしいですね。
ーーメンバー自身の意思が反映されているのもバンドの醍醐味ですよね。「ジュライ」の核はやはり歌だと思うのですが、ライブを経て、ボーカルに対する意識にも変化があったのでは?
KumoHana:今までは逆に(歌に対する意識が)なさすぎたというか、歌も楽器の一つくらいの気持ちだったんですよ。楽器の合間を縫うように言葉を入れたり、リズムを意識して、早口でテンポよく歌ったり。ライブを経験してからは、しっかり歌い上げたり、メロディを大切にした表現になってるかもしれないですね。
ーー「ジュライ」、ぜひ野外ライブで聴いてみたいです。音楽性の広がり、ライブの経験を踏まえ、今後の活動ビジョンについて教えてもらえますか?
KumoHana:ライブも精力的にやっていきたいですけど、いちばんは楽曲ですね。自分たちが作れる楽曲の幅も広がっているし、この状態でさらにたくさんの曲を作りたいと思っていて。それが今後のライブにもつながってくるんじゃないかなと。
房治郎:ライブもそうだし、アニメ作品の楽曲だったり、ラジオ(ZIP-FM『NIGHT GLOW』内の日替わりアーティストプログラム「Voices」の月曜日を担当)だったり、いろいろと初めてのことを経験させてもらって。すごく充実しているんですけど、バンドとしてはまだまだ満足できる段階ではないと思っているんですよね。今後どんな曲を作っていけるかが大事だし、ネットだけに発表していた時期に立ち返って、いい曲を重ねていきたいですね。古参のファンのみなさんが誇れるようなバンドになりたいし、よりビッグになっていきたいです。
ナガオカ:「吹替版」「ジュライ」は自分たちにとってかなり新しい曲だし、これまでのCrab 蟹 Clubを飛び出した感触があって。もっともっと新しい景色を見たいし、バンドの表現をさらに開拓したいですね。
龍登:みんなが言った通り、今年は怒涛の新体験ばかりで。いろんなバンドとのつながりだったり、「自分たちの企画に出てくれない?」と誘ってもらえるのもうれしいし、期待にお応えできるようにもっともっとバンドとしてデカくなりたいと思ってます。すごく前向きだし、自分たちも楽しみですね。
■リリース情報
Crab 蟹 Club
・「吹替版」
配信中
https://big-up.style/Vv3PWJ4E8h
・「ジュライ」
配信日:2024年7月24日(水)
https://big-up.style/R1q7Ojwlfm
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