DEAN FUJIOKA「誰かのためになる音楽活動をしなければ意味がない」 再構築と初心、2カ国語で歌う新曲を語る

DEAN FUJIOKA、再構築と初心

 DEAN FUJIOKAが新曲「In Truth」を配信リリースした。同曲は約一年ぶりとなるリリースで、自身が出演する台湾ドラマ『次の被害者』シーズン2(Netflix)のエンディングテーマ。台湾のレーベル・B'in Musicから日本語バージョンと中国語バージョンが展開され、ドラマをより一層盛り上げていくことになる。本人が「この楽曲を通して、『次の被害者』シーズン2をより深く理解していただければ幸いです。同時に周りの人との関係性、そして自分と自分の関係性を、見つめ直すきっかけになればと思います」と語る同曲は、どう作り上げられたのだろうか。グローバルな活躍を見せる彼の考え方を紐解きつつ、話を聞いた。(高橋梓)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

再構築が必要だった一年「誰かのためになるような音楽活動をしなければ意味がない」

DEAN FUJIOKA/ディーン・フジオカ(撮影=林将平)

ーー昨年、日本での音楽活動10周年を迎えられましたが、現在の心境はいかがでしょうか。

DEAN FUJIOKA(以下、DEAN):新しいスタートを切ったな、と感じています。数字で区切る必要はないと思っていますが、去年はベストアルバムを出して、武道館公演を行って、そこから海外の仕事が続いて、新しい体制に移行して……「In Truth」のリリースまでの一年は激動でした。こういった進化を遂げていくことで新しい学びもありますし、初心に返る機会になっていると思います。

ーー音楽活動をする体制が変わったりも?

DEAN:一緒に制作する方々はあまり変わらないのですが、オペレーションが少し変わったかもしれません。2008年くらいに台湾からジャカルタに移って1stアルバム(『Cycle』)を作り始めたのですが、最近もちょくちょくジャカルタには帰っていて。制作を一緒にやっていた仲間たちと合流して、「次は何をやろうか?」という話をするんです。初心に返りながらも、それぞれが培ってきた経験を活かして刺激的な関係性を続けています。なので、ライブ制作やグッズ周りなどの変化の方が大きいといいますか。今まで自分がやってきたことを一度分解して、再構築するのに時間がかかった。ゆえに楽曲リリースまでに一年間の時間が必要だったんです。

ーー積み上げてきたものを再構築し直そうと、そう判断された勇気がすごいですね。

DEAN:この先も音楽活動をし続ける理由を考えた時に、さまざまな疑問が自分のなかに生まれてきたんです。それを紐解いていった結果が今ですね。幸か不幸か、僕は既存のシステムに乗りにくい人生を歩んできてしまったので(笑)、自分自身でシステムを作り上げるしかないんですよ。仕事って、誰かのためになっていないと成立しないじゃないですか。そうであるなら、誰かのためになるような音楽活動をしなければ意味がないな、と。そのためにはどうしたらいいかと考えると、再構築する必要がありました。

DEAN FUJIOKA/ディーン・フジオカ(撮影=林将平)

ーーなるほど。新曲「In Truth」は、ご自身が出演されているドラマ『次の被害者』シーズン2のエンディングテーマです。どのような過程で誕生したのでしょうか。

DEAN:この曲は、ドラマに起用されることを前提に書いたわけではなかったんです。台湾に2カ月くらい滞在しながらドラマ撮影をしていたんですけど、その期間は必然的にホテルにいる時間が増えるんですよ。ホテルって、必要最低限のものしか置いてないじゃないですか。そのせいなのか、鏡に映っている自分を見る機会も増えませんか?

ーーああ、たしかに。増えますね。

DEAN:そうそう。そういう環境で過ごして、そのなかで僕は時間ができると曲を作るんです。音楽は、ラップトップとスマホがあれば作れちゃうので。それで、鏡に映っている自分との対話をテーマにした曲を作りました。当時、『次の被害者』の撮影中でしたし、台本を毎日読んでいたので、世界観が自然とシンクロしたんでしょうね。プロデューサーと監督にデモを聴かせたら、世界観がすごくマッチするんじゃないかという話になって。そこからアレンジを詰めて、Recして完成した曲です。

ーードラマサイドからはどんなオーダーがあったのでしょうか。

DEAN:まず、「サントラはこういう感じの曲にしようと思っているから、なるべく世界観をキープしつつ、楽曲として単体の存在感を放ってほしい」というオーダーをもらいました。それにプラスしてリファレンスがきて、それらを聴き込んで僕がライブパフォーマンスをするとなった時に折り合いがつくバランスを探って、アレンジをしていきました。

ーーこのテイストのサウンドにしたのは、そのリファレンスを鑑みてだったのですか?

DEAN:そうですね。オーダーもなく自由にやっていたら、もしかするとこういうベースミュージックにはしていなかったかもしれないです。

ーーでは、デモの時点では違っていた?

DEAN:はい。デモはもう少し軽快というか、音数も少なかったですし、音の壁のようなものを組み立てる構成ではなかったと思います。ホテルの部屋で鏡に映った自分との対話がコンセプトだったので、気軽に聴けるパーソナルな感じでした。ただ、ドラマサイドからのリファレンスが“THE シアターサウンド”のような空間を支配するようなタイプの音楽が多かったので、ゴリゴリに仕上げましたね。

DEAN FUJIOKA/ディーン・フジオカ(撮影=林将平)

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