DEAN FUJIOKA「誰かのためになる音楽活動をしなければ意味がない」 再構築と初心、2カ国語で歌う新曲を語る

DEAN FUJIOKA、再構築と初心

海外に複数拠点を構えるDEAN FUJIOKAが感じる世界の動き

DEAN FUJIOKA/ディーン・フジオカ(撮影=林将平)

ーーそういった考え方ができるDEANさんだからこそ、これだけ多くのジャンルで活躍されているのかもしれません。ご自身では、多ジャンルで活躍できている理由はどこにあると分析されますか?

DEAN:まだまだですよ。でも、僕が提案しているクリエイティブを受け取ってくださっている方がいることは大きいですね。もう感謝しかありません。受け取ってくださる方がいるから続けているわけですし、その方々のためにも結果を出し続けなければなりません。だからこそ常に厳しく自己評価しますし、必要であればいろいろなものを再構築しなければならないと思っています。

 あともうひとつは、仕組み作りかなあ。マルチファセットで活動していると、それらすべてを繋ぐことが必要になるんですよ。ひとつのことに注力して、次に別のことに取りかかろうとした時に、ブランクができないようにする仕組みを作らなければいけないというか。チームとしてその仕組みを作れていることも、多ジャンルで活動できている理由なのかも。

ーーブランクができない仕組みがあるのは強いですね。

DEAN:いちいち切り替えるのが面倒だからというのもあります(笑)。僕は、物事をひとつの球体と捉えて、どこから光を当てるかによって見える面が違ってくるというやり方のほうが楽なんです。たとえば、役者としてどうして長台詞が覚えられるのかというと、脳みそで覚えていないんですよ。肺や口腔内の共鳴、唇や顔面の動きなどをきっかけにして運動として覚えているんです。それで言うと、(台詞が)複雑なほど目印となるポイントが多いので覚えやすいんです。それは歌も一緒ですよね。そうやってすべてを繋ぐ仕組みを作っているんです。

ーーもともと、仕組み作りはお好きだったり?

DEAN:というよりも、「作らないと生きていけないから」が正しいかな。僕は香港でこの業界に入りましたが、当時は芸能事務所に所属していたわけではないんです。本当にサバイバルでした。音楽も自分でお金を出して作っていましたし、フォーマットがあったわけでもありませんでした。自分で作るしかなかったんです。生きるうえで必要なかったら、きっとやっていないですね(笑)。

ーー今でも海外に複数拠点をお持ちですよね。各拠点における、音楽性の違いを感じることもありそうです。

DEAN:そうですね。中華圏だと人口も多いし、移民も多いので、世界のマーケットに近しい感じがします。東南アジアだと、西洋諸国との差があまりない感じ。ドメスティックな音楽マーケットはありますが、十分に構築される前にグローバライゼーションされてしまったといいますか。もちろん特殊な伝統芸能があって、それを求めてヨーロッパやアメリカ、他のアジア圏からやってくる人も多いです。ただ、トレンドという視点で見るといわゆるJ-POPのようなものはないと思います。自分たちで構築する前に、外からいいものを取り入れたような感じで。

ーーそういった違いが感じられるのは面白いですね。多拠点を持っていること然り、DEANさんは行動力がありますよね。物事を決定して行動に移す際、どんな軸のもと判断しているのでしょうか。

DEAN:やっぱりパッションですね。胸がたぎるかどうか。自分のなかに込み上げてくる思いを表現や活動に転換して、エネルギーにできそうな選択肢を選ぶようにしています。やると決めたら必要な変化を遂げるし、継続するべきものは継続する。そう動けるようにハートが共鳴するか、震えているかをいちばん重要視しています。僕はSNSなどで「東京ドーム公演をする」と言い切っているのですが、それを言っている理由は自分のなかに込み上げてくるものがあるからなんです。今はそれを達成するために、日々試行錯誤しています。ぜひ行く末に注目していてほしいです。

DEAN FUJIOKA/ディーン・フジオカ(撮影=林将平)

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