TOMOO、隅々まで届けた“近さ”と真摯な歌声 ホールツアーを経て、確信とともに次なる舞台・アリーナへ

昨年11月にリリースされたメジャー2ndアルバム『DEAR MYSTERIES』を冠する全国ツアー『TOMOO HALL TOUR 2025-2026 “DEAR MYSTERIES”』。そのファイナル公演が2月27日・28日、東京国際フォーラム ホールAで開催された。
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冬の旅を経て深まった絆、国際フォーラムで見せた圧巻のパフォーマンス
筆者が観たのは2日目の公演。ステージ後方にはブーケを飾ったスタンドが4台。中央にはグランドピアノが据えられ、背中合わせにアップライトピアノも置かれている。その周囲を取り囲むようにギターやキーボード、アンプが並び、向かって右手にドラムとパーカッション、左手にキーボードという配置だ。
定刻になると客電が点いたままバンドメンバーが登場し、静かにセッティングを進めていく。今回は、バンドマスターに大月文太(Gt)を迎え、伊吹文裕(Dr)、Taikimenこと山﨑大輝(Per)、吉澤達彦(Tp)、石井裕太(Sax)、勝矢匠(Ba)、林田順平(Vc)、幡宮航太(Key)という8人編成だ。

やがて暗転し、TOMOOが姿を現すとホールいっぱいに大きな拍手が鳴り響く。真っ直ぐグランドピアノへ向かい、アルバム『DEAR MYSTERIES』のラストを飾る「高台」を奏で始めた。軽やかなハイトーンのピアノフレーズが広がり、伸びやかな歌声を重ねる。さらにトランペットの柔らかな音色が隙間を埋め、楽器が少しずつ折り重なっていく。転調を繰り返しながらドラマティックに進む展開が、会場の空気をじわじわとあたためる。

続く「What’s Up?」は2017年のEP『Blink』収録曲。TOMOOはアップライトピアノへ移動し、立ったまま軽快なリフを刻む。タイトな8ビートのバンドアンサンブルがそれを支え、麗らかなメロディが真っ直ぐに客席へ届いていく。ときおり客席に視線を投げかけながら歌う姿が印象的だ。
「こんばんは、TOMOOです! ツアーファイナル。いい1日にしましょう」
笑顔でそう挨拶し「あわいに」へ。1階席はもちろん、2階席の観客も一斉に立ち上がる。シンコペーションの効いたピアノリフを軸に、メリハリのあるダイナミックなアンサンブル。自然発生的なハンドクラップが広がり、地声とファルセットを巧みに行き来しながらソウルフルに歌い切ると、大きな拍手が会場に響きわたった。
「酔ひもせす」はキャロル・キングを想起させる、春を待つ今の気分にぴったりのシングル曲。ハンドクラップは鳴り止まず、TOMOOは軽やかにステップを踏みながらステージを端から端まで練り歩いて歌う。サビでは客席へ呼びかけ、場内にはハンドウェーブが巻き起こった。

「ツアーファイナルを無事に迎えられて、みんなの顔が見られてすごく嬉しいです」と挨拶したTOMOOは、会場となった東京国際フォーラムについて「めちゃくちゃ“かっこいい系”のホールで、初日は少し緊張してたんですけど……一夜明けて同じ場所に立つと、なんだかここに泊まったみたいな気持ちになって。ピシッとしてるのに、ホームみたい」とコメント。さらに、「願わくば、アルバム『DEAR MYSTERIES』と、その仲間たちみたいな曲たちで、みんなの心の宝箱が開いて光るような時間にしたい」と語った。
「夢はさめても」は、ジョン・バリー作曲「ジェームズ・ボンドのテーマ」を彷彿とさせるスリリングなイントロから一気に引き込む。歯切れのいいホーンセクションが高らかに鳴り響き、縦横無尽に躍動するドラムの上を、勝矢のベースが時にメロディックに、時にスラップを交えながらファンキーに駆け抜けた。

再びグランドピアノに戻って披露したのは「コントラスト」。TVアニメ『アオのハコ』(TBS系)第2クールのエンディングテーマで、抑揚を抑えつつも郷愁をかき立てるメロディが、サビで力強く跳躍する。ファルセットを交えながら伸びやかに、そしてエモーショナルに歌い上げる歌声が、聴き手の心のひだを揺らしていく。
セピア色のスポットライトが彼女を照らし、まるで月明かりの下で歌っているかのような「Grapefruit Moon」へ。抑制の効いたバラードでありながら、リフレインするメロディに乗せ〈這って 這って 這って ずって/払って 立って 頬はたいて〉と歌い込む場面では、抑えきれなくなった感情を身体ごと解き放つような迫力があった。さらにグランドピアノの弾き語りで「雨粒をつけたまま」を情感たっぷりに届け、ホールの空気をしっとりと染めていく。

「このツアー、割と久しぶりにがっつり回れて、ゆっくりじっくりいろんな場所へ行けたのが良かった」と振り返るTOMOO。「バンドメンバーとも、ライブの前後にご飯に行けたりして。がっつりツアーって冬になることが多くて『次は暖かい季節にしよう』って言いながら、つい忘れちゃうんですよね(笑)。でも寒いと、みんなでおしくらまんじゅうしてるみたいに距離が近くなる。肌の温かみも際立つ気がして、そういう意味では“あったかいツアー”だったと思います。今から歌うのも、そんな冬に作った曲です」ーー。そう言って披露したのは「ベーコンエピ」。跳ねるミドルテンポのソウルチューンで、音の隙間を活かしたアンサンブルが心地いい。アップライトピアノのバッキングに大月のエレキが絡み、サックスソロ、オルガンソロが立体的に差し込まれる。レイドバックしたリズムの上でグルーヴがゆっくりと増幅していった。
さらに食べ物の歌が続く。このツアーでは各地で“餃子食べ比べミニツアー”をしていたというエピソードも明かされ、東京公演初日は9種類、この日は6種類の餃子が用意されていたと笑う。演奏されたのはもちろん「餃子」。背後のスクリーンには同曲のMVが映し出され、エフェクトのかかったファンキーなベースが牽引するトリッキーでスリリングな曲調と、歌詞のミスマッチがクセになる。曲の終盤、ステージ中央に据えられた大きなドラをTOMOOが思い切り打ち鳴らすと、客席からは大きな拍手と歓声が湧き上がった。




















