手越祐也、ツアー中にセットリストを大幅に変える理由 反省と挑戦を繰り返して作り上げるライブ

手越祐也、ライブで繰り返す反省と挑戦

 手越祐也が6月19日にライブBlu-ray&DVD『手越祐也LIVE TOUR 2024「絆 -KIZUNA-」』をリリースする。本作は、今年1月にリリースした2nd EP『絆 -KIZUNA-』を提げて行われた5度目のツアー『手越祐也 LIVE TOUR 2024 絆 -KIZUNA-』から、ツアーファイナルを飾った2月29日のZepp Haneda公演の模様を収録したもの。

 今年2月からスタートしたツアーは、全国5都市・全10公演を回り、バンドメンバーと共に歌唱にダンスパフォーマンスにと手越ならではのステージで魅了した。さらに各地域で2公演を行った中で、Day1、Day2それぞれでセットリストを変えるという大胆な取り組みにもチャレンジ。アーティストとして音楽活動を充実させていく手越に話を聞いた。(柚月裕実)

目には見えないけれどすごく大きなものを得たツアー

――いよいよライブ映像『手越祐也LIVE TOUR 2024「絆 -KIZUNA-」』が19日に発売されます。今回のツアーを振り返ってみて、手越さんにとってどんなツアーでしたか?

手越祐也(以下、手越):ツアー前に様々なアーティストから楽曲提供をしていただいて発売したアルバム『絆 -KIZUNA-』が参加していただいた周りのアーティストの方の愛も含めて、すごく充実したレコーディングになって、自分の中でアルバムに対しての手応えがあったので、その楽曲をどう味付けするかっていうのがツアーの課題でした。ステージ上でどう表現して、観に来てくださった方もそう、楽曲提供してくださったアーティストからも「すごくいい形で見せてくれた」と思ってもらえるか、ここからは俺の勝負だと思って、気合いを入れて作りました。今回Day1、Day2の内容が全く違うところも含めて、やっぱりチャレンジする時って大変だけど、チャレンジした人にしかわからない達成感がある。ツアーが終わった時の充実感と、目に見えないですがすごく大きなものを得たツアーでした。

――ツアーを振り返って、一言で表現すると?

手越:“挑戦”ですね。ライブって挑戦の連続だと思うので。

――今回は2日間でそれぞれセットリストを変えるという斬新な取り組みに挑戦されましたが、実際にやってみていかがでしたか?

手越:楽しいですよ! その分、1つのツアーでやれる回数が減っちゃうので。本来だったら、今回は10公演なので1つ考えて、それを10回繰り返せるわけじゃないですか。それが今回は5回しかできてないので、よりあっという間に感じました。ツアー日程が短かったのもあるけど、本当にあっという間。もう終わっちゃうんだ……みたいな。 あともう1、2カ月はやっていたかったです。

納得いくまで試行錯誤しながらライブを作り上げる

――今回もライブの本編に加えて、マネージャーさんがステージ裏を撮影した「Behind The Scenes」もたっぷりと収録されています。その中で、ツアー中でもセットリストを変える場面がありました。細部へのこだわりを惜しまない、手越さんを突き動かす原動力はどんなものなんでしょう。

手越:セットリストとか照明の使い方って一切正解がないんですよ。セットリストを考えるその日の、打ち合わせをする日の自分の感覚のみでやってるので。例えば、 次の日にセットリストを考えたとしても、絶対同じものは組めないんですよ。

――そうなんですね。

手越:その日の感覚で作ったものを、俺は必ずライブの夜にチェックするんです。チェックして、その中でちょっとわからないことや、小さな違和感とか、あとは照明もそう。自分のライブを自分では客席から肉眼で見ることはできないので、映像に撮ってもらってiPadで見るんですけど、そこで、ここでこの色の照明とかが入ってきた方がカッコいいなとか、 ここではあえて照明はやめた方がいいとか。一応、ステージはもう20年以上作り続けてはきてるし、昔からセルフプロデュースをやってきているので、その中で自分が培ってきた感覚を表現したいっていうだけで、もしかしたら前の方が良かったって思われることはあるとは思うんですけど。自分的にこれじゃ納得いかないなっていう感覚ですかね。

――納得感を大事にしていると。

手越:そうですね。独立してから2021年に「シナモン」をリリースするまでに1年かけたのもそうなんですけど。やっぱりプロなので、中途半端なものとか、自分が納得できないものだったらもう出さない方がいいと思ってるんです。やはりお金をいただいてるのだし、地方から来てくださる方は、そこに旅費や宿泊費がかかる。みんなが一生懸命、毎日働いてくださったものをいただいてるわけだから倍以上のものを返したい。なんでもそうじゃないですか。ゲームを買う時だって、ご飯を食べに行く時もそう。プロなら「こんなにお金を払ったのにあんまり美味しくなかったな……」って思われてはいけないと思います。 せっかく時間とお金をかけるならやっぱり「この味なに!?」って思って欲しい。1年に2回とかツアーをやると、やっぱりファンのみなさんは前回のツアーの余韻が残ってるからそれを超えなきゃいけないと思います。それはそれで毎回チャレンジなので楽しいですけどね。

――生バンド演奏に美しい照明とリッチなステージでした。それもスタッフさんの協力は必要不可欠ですが、今回のツアーではスタッフのみなさんからはどんな声が聞こえてきましたか?

手越:全国を回る中で、1、2回はみんなで集まって打ち上げをするんです。やっぱりスタッフとは心の距離が近い方が好きなので。ただ俺がステージ上の先頭の真ん中に立って、スタッフみんなの思いを表現してるだけなので、セクションが違うだけで全員が主役だと思ってる。スタッフのみんなは、「やっぱ手越さんのツアーは抜群に楽しい!」って言ってくれるんです。ここまで距離が近くてアーティストと直接話せる現場ってあんまりないと思います。俺は他の現場を知らないからなんとも言えないけど、 みんなそう言ってくれるし、あと必ず俺はみんなに「なんかあったら言ってね」って言ってるんです。やっぱり音響チームは音響のスペシャリストだし、照明チームは照明のスペシャリスト。振り付けチームもそうじゃないですか。俺がこうやって毎晩、映像を観て、ここの方がいいんじゃないか、変えたいっていうことに対して、照明チームの意見も提案してほしいと思います。

――ご自身でこだわりを持ちながら、スタッフの意見も柔軟に取り入れているんですね。

手越:材料はいっぱいあった方がその中でチョイスしやすいので。例えばアメリカだとゾンビ役のエキストラも、「この方がいいんじゃないか?」と意見を言うんですよ。それだけみんなが1つの作品を良くしたいと思ってるんです。俺は、この1つの作品を作るんだったら全員が考えてくれた方が、俺の頭脳1つで考えるよりも絶対に強い。よりいいものができるから、っていうのも含めて必ず意見を求めるんです。今回は照明チームに若いスタッフがいるんですけど、打ち上げで号泣してたんです。「私たちは手越さんをカッコよくしなきゃいけないのに、今日の私のパフォーマンスは100%できなかったから本当に申し訳ないです」ってワンワン泣いて。そういう気概でライブを作ってくれてるんだと俺は嬉しくなるわけです。別にいいじゃないですか、ミスしても。でもそのぐらい一人ひとりのスタッフがプライドを持ってしっかりやってくれてるっていうのは、アーティストとしてはやっぱり誇りだし、めちゃくちゃ嬉しいです。スケジュールの都合でスタッフが変わることはあるけれど、基本は一緒のチームがずっと手がけてくれるので。俺の癖とかも理解してくれてるし、バンドメンバーもそうですけど、こう表現したいっていうものをお願いしたらバンって作ってきてくれるし、すごくいいチームです。

――まさにステージの上に掲げた“絆”そのものですね。

手越:そうですね。みんなアツいんです、すごく。

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