Da-iCE、『CDTV』メンバー考案の“時止め”演出に大反響 「I wonder」で示す進化したJ-POP

Da-iCE、「I wonder」の求心力

 男性5人組アーティスト・Da-iCEが4月29日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)に出演。4月17日にリリースした最新曲「I wonder」を披露したのだが、「生放送中に“音が止まった”!?」と思わせるパフォーマンス演出がXで大きな話題を呼んでいる。

CDTVの特別演出が話題

 放送当日、メンバーが現れたのは、レトロな街並みを特徴とする埼玉県の西武園ゆうえんち。なんと今回のパフォーマンスでは、「こんなライブができたら」と念入りに準備した演出を行うというのだ。

 事前に行われたメンバー会議では、「〈音が止まった〉とか“決め”の所は遊べる」(工藤大輝)、「いっそのこと〈音が止まった〉で本当に音を止めちゃうっていう(のはどう?)」(花村想太)と意見が交わされた様子も放送され、今回の演出はメンバー発案であることが明らかに。リーダーの工藤はこの決定を受け、「生放送だから終わった後の事後処理は俺らにかかってるわけ」と少々緊張を滲ませていたが、前代未聞の演出に挑戦しようとするメンバーの顔に浮かんでいたのは、「一体どうなるのか」という不安ではなく、「楽しみ」とでもいうような笑顔だ。

 そして始まった『CDTVライブ!ライブ!』。工藤がボタンを押して流れ始めた音楽に身を委ね、メンバーは西武園ゆうえんち内の売店などを散策していく。花村が手に持った風車を工藤が吹いたかと思えば、その隣でけん玉に挑戦するも全く成功しない岩岡徹に思わず二人がいたずらに笑ったり、お面で遊びながら登場した大野雄大を和田颯が怪訝な顔で見つめてみたり……。初めて彼らを見た人にもDa-iCEの仲の良さが伝わるだろうと感じられるほど、終始5人の素の表情が溢れていた。

 4オクターブの伸びやかなボーカルが商店街に響き渡る中、突然、ラストサビで音が止まる。周りを取り囲んでいた商店街の住人たちも急に動きを止め、メンバー5人は動揺したように辺りを見回した。それも束の間、大野と花村が〈I wonder〉と最後の1フレーズをアカペラで歌い出したのを合図に人々は再び動き出し、華やかな紙吹雪に祝福されるようにして幕を閉じた。ーーかと思いきや、工藤が最後に押したボタンで、今度は全員が時が止まったように静止。灯りも消えて紙吹雪だけが落ちていくまるで非日常の光景は、斬新でサプライズに満ちたDa-iCEのエンターテイメントが、また次のステージへとレベルアップしたことを感じさせてくれた。即興と思われる大野のダジャレにメンバーが呆れたように笑みをこぼす姿も、ファンには非常に微笑ましかったのではないだろうか。

 〈音が止まった〉という象徴的なフレーズを見事に反映し、西武園ゆうえんちの雰囲気ともマッチしたミュージカルのような演出に、放送後SNSでは「Da-iCEらしくて最高!」「歌もダンスも、演出でも楽しませてくれる」と大満足の感想が後をたたなかった。

Da-iCE流の進化したJ-POP「I wonder」

Da-iCE /「I wonder」Performance Video

 ラブコメミステリードラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系)の主題歌として書き下ろされた「I wonder」は、ボーカルの花村想太が作詞・作曲・振付に、パフォーマーの工藤大輝が作詞に参加し、メジャーコードをベースにした春にぴったりのポップソングだ。

 記憶を失った主人公が、本当の“恋の相手”を探すというドラマのストーリーに基づき、本楽曲も“恋愛”と“本来の自分探し”という2つのテーマを色彩に喩えて、カラフルから白黒、そしてそこに再び色が重ねられていくという表現で描かれている。

 Da-iCEはデビュー以降、J-POP×R&Bを掲げるグループとして音楽性を磨き続けてきた。日本を含むアジア全体で新人グループが次々にデビューを飾っている近年では、世界のトレンドに寄せたエッセンスを感じるサウンドも少なくない。しかし、そういった時代においても、日本語のもつ言葉のあたたかさや力強さを前面に出して楽曲制作を続けながら、常に技術と感性、そして意識を磨き上げることを怠らないDa-iCEの一貫した音楽性は、彼らが安定してリスナーを集めて支持され、多方面からオファーを受けている理由の一つと言えるだろう。実際にDa-iCEは、『ONE PIECE』、『仮面ライダーリバイス』といった国民的な作品をはじめ、ここ数年はドラマやCMなど年間5本以上のタイアップソングを手がけており、コンスタントにお茶の間へと彼らの歌声を届ける状況が続いている。

 花村は、4月20日放送の『アナザースカイ』(日本テレビ系)に出演した際、シンガーとしての葛藤と現状の気持ちを赤裸々に語っていた。花村はボーイズⅡメンやブライアン・マックナイト、スティーヴィー・ワンダーといったUSのR&Bシンガーにも影響を受け、自らもR&Bシンガーを目指して海外を飛び回りながら歌を学ぶ中で、「いい意味でも悪い意味でも僕はJ-POPのアーティストにしかなれない」と挫折を語った。しかし、その経験を経て日本の音楽の良さに気づき、「言葉の比喩の多さ、その能力を秘めている『歌謡曲』が大好き」と思えるようになったという。さらに、Da-iCEの音楽はK-POPや最新のダンスミュージックとは全く違うものを表現していると前置きし、「歌謡曲の進化系を目指していて」「踊れる歌謡曲をテーマに、それが自分たちの良さだし、オリジナリティでもあると思うで」と真摯に語っていた。

 ちなみにリーダー/パフォーマーで、グループの楽曲制作にも数多く携わる工藤も、影響を受けたアーティストの一人が宇多田ヒカルであると話しており、「海外のR&Bを盛り込んだJ-POPがいちばん好きだった」と今につながる音楽性を過去のインタビューで明かしていた。(※1)

 まさに「I wonder」は老若男女が楽しめる“踊れる歌謡曲”であり、J-POPの王道をいく普遍的なポップソングだ。そんな楽曲が持つパワーを最大限に引き出し届けられるのが、彼らの隙のないボーカルであり、ダンスなのだ。それらに加えて、前述したテレビパフォーマンスのようなメンバーのサービス精神も相まって、いかに聴いている人を、見ている人を楽しませるのかに重きを置いた、Da-iCEならではのエンターテイメントを体感できる楽曲になっているのではないか。

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