連載「lit!」第79回:BE:FIRST、JO1……秋以降のボーイズグループシーン、個性豊かな楽曲群

 季節は師走。今年も数々のニューリリースが音楽シーンを彩る中、ボーイズグループからも個性豊かな楽曲が多く集う1年となった。年を越す前にここで一度、今秋から冬にかけてリリースされたボーイズグループの新譜を振り返っていきたい。

BE:FIRST「Glorious」

BE:FIRST / Glorious -Special Movie-

 BE:FIRSTが11月6日に配信リリースした「Glorious」は、『第102回全国高校サッカー選手権』の応援歌だ。BE:FIRSTはこれまでもメンバーが作詞作曲に加わることがあったが、「Moment」なども手がけるHYBE LABELS JAPAN所属のUTAをプロデューサーに迎えた本楽曲には、作詞にLEO、作曲にJUNONとMANATOが参加し、選手と年齢の近い彼らだからこそ伝えられる想いを凝縮した。LEOは作詞を担当した背景として、「MANATOとJUNONが作ったメロディーを聴いた時に、自分が書くべきだと直感で思った。優勝するのは1校だけど、試合に負けて敗退しても決して君たちの人生が負けたわけではない、誰がなんと言おうと君の人生は素晴らしいものだと伝えたかった」(※1)と明かしている。MANATOも「自分たちの過去も応援できるような曲が作れた」(※2)と語っているように、〈これ以外なかった〉夢を追いかけて、富士山麓の合宿所で人生の大切な時間を精一杯過ごした彼ら自身の過去を肯定しつつ、聴く人の背中を優しく押してくれる、そんな人生の応援歌と言えるだろう。

JO1「HIDEOUT」

JO1|'HIDEOUT' × 映画『OUT』Collaboration Movie

 11月8日に配信リリースされたJO1の新曲「HIDEOUT」は、メンバーの與那城奨、大平祥生、金城碧海が暴走族「斬人(キリヒト)」の一員として出演する品川ヒロシ監督映画『OUT』の主題歌。本映画は、『ヤングチャンピオン』(秋田書店)にて連載され、累計発行部数650万部を突破した、井口達也/みずたまこと原作の大ヒット漫画『OUT』の実写版であり、爽快なアクションとリズミカルなコメディ要素を楽しみつつ、仲間を大切に思う不良たちの人間味を感じることができる作品だ。ギターのあたたかな音色にJO1メンバーの柔らかい歌声が重なった本楽曲は、今を生きるすべての人たちに明日への活力や希望を与える応援ソングでもある。それぞれが信念を持ちながら懸命に今を生きる登場人物たちの姿を醸し出すと同時に、マルチに活躍の幅を広げ、グループとしての成長も止まることを知らないJO1の新境地も感じさせているのではないだろうか。品川は11月8日放送のラジオ『JO1のオールナイトニッポンX』(ニッポン放送)で、BGMと「HIDEOUT」の前奏を繋げて徐々に「HIDEOUT」にスライドさせてエンディングを作ったとコメントしている。これから劇場に足を運ぶ人は、本楽曲が流れるタイミングにも注目して鑑賞すると、より楽しめるに違いない。

Da-iCE「ナイモノネダリ」

Da-iCE / 「ナイモノネダリ」Performance Video

 Da-iCEからも新曲が登場だ。10月20日に配信された「ナイモノネダリ」は、篠原涼子・山崎育三郎W主演のドラマ『ハイエナ』(テレビ東京系)の主題歌として書き下ろされたR&Bテイストのダンスナンバー。どこか90年代のファンキーなビートを感じさせるこの楽曲は、メンバーの花村想太と、これまでもDa-iCEの楽曲を数多くコライトしてきたMEG.MEが作詞作曲を担当している。キレがある花村の歌声と伸びやかさが特徴の大野雄大の歌声が織りなすメロディの聴き心地の良さはもちろんのこと、巧みでありながら現代に生きる人々の共感を誘うワードセンスと、耳から離れない〈ナイナイナイナ〉のキャッチーなフレーズも魅力的だ。10月27日に公開されたダンスプラクティス動画ではメンバー5人がラフに踊る様子が収録されているが、シーンごとに衣装チェンジを行ったり、KAZtheFIRE(Rht.)、Miyu、KENZO(DA PUMP)という、SWAG・ハウス・ロックというバラバラなジャンルを得意とする3人のダンサー・振付師が共作したコレオグラフをじっくり堪能することができたりと、見どころ満載の映像となっている。

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