The Birthday、野田洋次郎、imase、J-HOPE、Aimer、INI……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

　毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はThe Birthday「サイダー」、野田洋次郎「EVERGREEN feat.kZm」、imase「Happy Order?」、J-HOPE「NEURON (with 개코, 윤미래)」、Aimer「遥か」、INI「Whatever Happens」の6作品をピックアップした。（編集部）

The Birthday「サイダー」

　チバユウスケ（Vo/Gt）が生前制作した楽曲をメンバー3人が最終作業を経て完成させた3曲入りEPより。淡々と進行する隙間の多い楽曲。こんなに穏やかな曲も近年は多数書いていたバンドだった。メインはチバの歌、特に歌詞世界。まるで今朝見た夢の内容でも話すように、あのしゃがれ声が不思議な物語を紡ぎだす。〈黄色い空のみこんで リンチのほらあの場面〉〈キリン花咲く六本木 親子連れで歩いてた〉というようなイマジネーションは彼特有のものだったと改めて思う。決して派手な曲ではない。ただ、もうひとりのギタリスト、フジイケンジ（Gt）がどのように広がりをもたらし、ヒライハルキ（Ba）のベースがどんな歌心を加え、クハラカズユキ（Dr）のビートがどうやって曲を走らせていたのか、4人の阿吽の呼吸を感じ取りながら聴きたい。（石井）

野田洋次郎「EVERGREEN feat.kZm」

　RADWIMPS 野田洋次郎のラッパーkZmをフィーチャリングに迎えた最新曲。2人の共演は2020年発表のkZmのアルバム『DISTORTION』収録曲「追憶 feat. Yojiro Noda」以来となる。もともとkZmは好戦的なラップからメロディアスな歌唱までスキルの幅が広い人だが、前回は「ラッパー的なフロウのkZm」と「メロディ担当の野田」という役割分担があり、音像もトラップの流れに与するものであった。ただ、今回の曲に関しては2人ともはっきりと「歌の人」。より泣ける、より叙情的なメロディを両者が選択しており、バックに流れているのはエレキギターのリフであったりする。エモ／ポップパンク化するUSラップシーンの流れにいち早く乗るこの一曲が、野田名義で発表されることも興味深い。この流れは加速しそうだ。（石井）

imase「Happy Order?」

　キャリア初の全国ツアー『imase Tour 2024 “Shiki”』開催中のimaseから届けられた新曲「Happy Order?」は、いまや音楽シーンのど真ん中で活躍している彼の絶好調ぶりをダイレクトに反映した楽曲。歌詞に〈ポテト〉〈スマイル〉〈バンズ〉といった言葉を使うことでマクドナルドとのタイアップソングとしての機能をしっかりと果たす一方、“仕事の前はめんどくさいけど、気づいたらけっこう楽しくやってる”というシチュエーションを軽やかに描くことによって、日々の仕事をがんばっている人たちの気持ちをスッと明るくしてくれるエンパワーソングへと昇華している。管楽器、ピアノ、ギターの音が絡み合うトラックメイク、気分上昇感を体現するボーカルなど、音楽的な魅力もたっぷり。（森）