The Birthday、野田洋次郎、imase、J-HOPE、Aimer、INI……注目新譜6作をレビュー

J-HOPE「NEURON (with 개코, 윤미래)」

　現在社会服務要員として兵役履行中であるBTSのJ-HOPE。こういう作品が届くのはファンにとってたまらないギフトだろう。自身のルーツであるストリートダンスを素材とした6曲入りの『HOPE ON THE STREET VOL.1』。00年代のHIPHOPやソウルを意識した曲が多いが、中でもオールドスクールの香りが強く漂う一曲がこちら。韓国HIPHOP界のベテランDynamic DuoのGaeko（ゲコ）と、シンガーでありラッパーのユン・ミレを迎えたもので、ビートの使い方、三者三様で役割がきっぱり分かれた構成、互いの得意技を掛け合わせてひとつのパワーを生み出そうとする明るいムードが、まさに2000年代クラシック風。パフ・ダディあたりの名前が蘇る。（石井）

Aimer「遥か」

　リフレインするピアノのフレーズとともに〈海岸線の雨に　ちらばった君の影〉という言葉が聴こえてきた瞬間、そこに描かれた情景と心情が鮮やかに浮かび上がる。Aimerの新曲「遥か」は、ドラマ・映画『からかい上手の高木さん』（TBS系）主題歌。生楽器の響きを活かした有機的なサウンドの中で、素朴な温かさ、切ないエモーションを内包したボーカルが広がるミディアムバラードだ。物語の主人公“高木さん”と“西方”のじれったくて尊い関係性を色濃く投影しつつ、リスナーそれぞれの大切な存在を思い起こさせるような歌詞も秀逸だ。作詞・作曲には、音楽プロデューサーの田中ユウスケが初参加。Aimerの新たな歌の表現を引き出すことに成功している。（森）

INI「Whatever Happens」

　アニメ『刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-』（TOKYO MX）OPテーマの新曲「Whatever Happens」。同曲はINIにとって初めてのアニメ主題歌となる。曲名は、“何があっても”の意味。いつ何が起きるかわからない時代を見据えながら、運命に抗えないもどかしさ、愛情と後悔といったテーマを交えつつ、〈時を超えて　変わらない僕らのHeart〉とまっすぐに歌う普遍的なバラードナンバーに仕上がっている。アニメの世界観や歴史をイメージさせる言葉も散りばめられているが、トラックメイクやビートは現在の洋楽とリンク。さらにドラマティックなサビのメロディを加えることで和洋折衷なケミストリーを生み出している。日本語に心地よいグルーヴを与えると同時に、深い意味を表現するボーカルもさらに向上。（森）