超ときめき♡宣伝部はなぜバズる? 「最上級にかわいいの!」2度目の特大ヒットを生んだ要因

超とき宣はなぜバズる?

 〈君に振られて最上級に可愛いの〉〈これが乙女の逆襲だ〉ーーTikTokを中心に広がりを見せているこのフレーズを、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。歌っているのは、辻野かなみ、杏ジュリア、坂井仁香、小泉遥香、菅田愛貴、吉川ひよりの6名からなるスターダストプロモーション所属のアイドルユニット 超ときめき♡宣伝部。彼女たちが1月24日にリリースし、2月5日付オリコン週間アルバムランキングで1位を獲得した最新アルバム『ときめく恋と青春』収録の楽曲「最上級にかわいいの!」が、TikTok総再生回数4億回を突破し、国境を超えてバズっている。そこで本稿では、チャートに基づいてバズの要因を分析するとともに、“バズるアイドル”こと「とき宣」の魅力、そして本楽曲の人気の理由を掘り下げていく。

超ときめき♡宣伝部 / 「最上級にかわいいの!」Live at 横浜アリーナ(2024.01.27)

 超ときめき♡宣伝部といえば、2018年に旧体制の「ときめき♡宣伝部」としてリリースした「すきっ!」を現メンバーで再録した「すきっ!~超ver~」が、2021年に大流行。インドネシアにおけるSpotifyのデイリーチャート「バイラルトップ50」で首位を獲得したことからも分かるように、海を超えてリスナーを集め、一躍その名を周知させた。

 今回、「最上級にかわいいの!」が流行し始めた背景にあるのは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の増加だ。発端となったのは、グループの公式SNSアカウントによる動画投稿である。公式TikTokアカウント(@tokisen_official)から2月2日に投稿されたメンバーの私服のダンス動画は、4月1日時点で162.7万回再生を突破。2月14日に公式YouTubeとTikTokに投稿されたパフォーマンス初披露時のライブ映像(1月27日横浜アリーナ公演)は、4月1日時点でそれぞれ130万回再生(YouTube)と257.8万回再生(TikTok)を記録している。

 このライブ映像が楽曲の人気を後押しする着火剤となったことは、UGCの推移からも読み取ることができる。リリース直後は、グループ公式アカウントとメンバー・菅田愛貴の個人アカウント(@akisudaofficial)に加え、FRUITSZIPPERの櫻井優衣や松本かれんなど同世代の女性アイドルも関連動画を投稿。二人の投稿には菅田や同じくメンバーの小泉遥香もコメントを寄せ、交流する様子が窺えた。アルバムリリースの1月24日からライブ映像が公開された2月14日頃までの期間には約4,000件の関連動画が投稿され、UGCは比較的緩やかに増加していたと言える。

 こうして楽曲が徐々に浸透していくタイミングで、バレンタインデーとなる2月14日にライブ映像が公開されてTikTokで本格的な“バズ”を生むと、同月後半からはジュニアのメンバーや森香澄、Z世代に人気のインフルエンサーなどが次々にダンス動画を投稿。国内での流行に後押しされてTikTok「Top50」で2位に、同じくTikTok「Viral50」では4位にランクインする傍ら、3月にはTWSやRIIZE、さらには2400万人以上のフォロワーを持つTOMORROW X TOGETHERといった人気K-POPグループが、TikTok、InstagramにUGCを投稿し始めた。上記グループが楽曲を使用したことで、「とき宣」とは異なるファン層の元にも本楽曲が届き始めることとなった。

 こういった動きに裏打ちされた楽曲の認知度は数字にも表れており、3月27日に公開されたBillboard JAPAN「TikTok Weekly Top20」では3位にランクイン。加えて、Spotifyが独自に指標化した「今SNSで最も話題になっている曲」を表す「バイラルトップ50」でも16位に位置付けた。リリースから2カ月が経過した現在もUGC投稿数は右肩上がりで、ライブ映像を公開した2月14日に約4,000件ほどだった関連動画の投稿件数は4月1日までに約55,400件へ増加。なんと約1カ月強で10倍以上に跳ね上がる結果となった。

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