2023年の国内音楽チャートを読み解く 長期的ヒット、タイアップの重要性……今年の傾向も予想

 年間チャートで存在感を示したのは、2023年にリリースされた楽曲だけではない。ロングヒットする楽曲が増えたのは、バイラルチャートの特徴でもある。たとえば、2022年末の『紅白歌合戦』でも話題を呼んだVaundy「怪獣の花唄」は、Spotifyで2位、Apple Music、Billboard、LINE MUSICで3位という結果となり、実質2023年を代表する楽曲のひとつと言える。

怪獣の花唄 / Vaundy : MUSIC VIDEO

 2022年に再始動したMrs. GREEN APPLEの「ダンスホール」が前年を上回る好成績を残し、2022年の急上昇曲であったTani Yuuki「W/X/Y」も引き続き再生回数と順位を維持している。強固なファンダムを持つアーティストによるヒット曲が席巻していた2019年、コロナ禍以前の傾向と異なり、楽曲そのものの求心力による長期的な広がりが顕在化している昨今。Vaundy「怪獣の花唄」、Mrs. GREEN APPLE「ダンスホール」、Tani Yuuki「W/X/Y」のような根強いヒット曲が生まれることは、今年も予測される。特に、昨年末の音楽特番でも多く披露されていたキタニタツヤ「青のすみか」、マカロニえんぴつ「リンジュー・ラヴ」、ano「ちゅ、多様性。」などは、その可能性を秘めていると思う。

Mrs. GREEN APPLE「ダンスホール」Official Music Video
W/X/Y - Tani Yuuki (Official Lyric Video)

 また、YouTubeの年間ランキングは他のチャートとは異なる傾向が見られるのもポイントだ。YOASOBI「アイドル」に次ぐ年間第2位は、ボカロP・ゆこぴの「強風オールバック (feat.歌愛ユキ)」である。ゆるいテイストで仕上げられたこの楽曲のMVは、“歌ってみた”をはじめとした二次創作動画が多く作られ、CMソングにも起用されるなどして広く拡散された。音楽のみならず映像の可愛らしさも注目された結果と言える。そのほかSTARTO ENTERTAINMENT所属グループなど、ダンスやパフォーマンス、ビジュアル訴求力の高いアーティストがYouTubeでは好成績を残している。サブスクとは異なる経路でヒット曲が生まれる可能性もまだまだあるのだ。

Yukopi - 強風オールバック (feat.歌愛ユキ)

 以上、2023年のヒットチャートを振り返ってみた。これを踏まえて今年の予測を考えてみたとて、予測外のヒットが生まれるのが現在のシーンの面白さだ。今年出会える新たな衝撃を楽しみにしたい。

<参考>
https://realsound.jp/2023/11/post-1503410.html
https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100_year&year=2023
https://music.line.me/lp-studio/2023ranking
https://realsound.jp/2023/12/post-1516923.html
https://realsound.jp/2023/11/post-1502108.html

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