『プロセカ』Vivid BAD SQUAD楽曲はなぜ胸を熱くする? ダンスミュージック×ハングリー精神の求心力

Ready Steady / Vivid BAD SQUAD × 初音ミク【3DMV】

 そんな彼ら4人のスタート地点の座標となったのは「Ready Steady」。現在まで続くシーンのEDMトレンド火付け役と呼んでも過言ないGigaのダンサブルなサウンドもさることながら、やはり注目したいのはq*Leftによる歌詞だ。唯一ストリートカルチャーや音楽にこれまで一切触れていないこはねが、仲間との交流を経て勇気を出し新たな世界の扉を開く。ユニットメインストーリーの主題のひとつとなる、こはね始めメンバーの“変化を恐れない”マインドが、歌詞の主成分を占める曲となっている。

RAD DOGS / Vivid BAD SQUAD × 初音ミク

 同様にq*Leftが作詞を担当した「RAD DOGS」もビビバスには欠かせない1曲となる。上記作に負けず劣らずの詞の熱量に加え、作曲担当は彼女の実兄であり、こちらも長年シーンでテクノポップサウンドの名手として支持を集める八王子P。クラシックをルーツに持つ冬弥のエピソードを描いたイベントへの提供という背景を踏まえ、物語の要素を反映した大胆なオーケストラサウンドも印象的な楽曲だ。

Awake Now / Vivid BAD SQUAD × 初音ミク
リアライズ / Vivid BAD SQUAD × 初音ミク【3DMV】

 2作を手がけたボカロPからも推察できる通り、ビビバス楽曲は特にシーンの中でもダンス・エレクトロサウンドに長けたクリエイターが多く招集される傾向にある。今やユニット定番曲のひとつともなる「Awake Now」を制作した雄之助。また2023年10月時点でのユニット最新曲「リアライズ」を手がけた柊マグネタイト。極めつけはやはり、書き下ろし曲「シネマ」担当のAyaseの存在だ。

シネマ / Vivid BAD SQUAD × KAITO

 メンバー4人とバーチャル・シンガーKAITOによる「シネマ」のPVは、YouTube1900万回超というユニット内ダントツの再生数を誇る。楽曲が提供されたのは、ユニット内でも比較的経験豊富なメンバー・彰人にフォーカスの当たったイベント。物怖じせず確かな自信と実力を兼ね備えるように見えた彼が初めてあらわにした焦燥や葛藤、苦悩という負の感情も鮮やかに描いた歌詞に、大きな反響が集まったのは言うまでもない。

 今回のピックアップ曲以外にもユニット書き下ろし曲のほか、「フラジール」「ECHO」「Just be Friends」といった往年のボカロ人気曲のユニットカバーバージョンもコンテンツ内には揃う。トレンド感ある軽やかなダンスサウンドに内包された、沸々と滾る野心が大きな魅力を放つVivid BAD SQUAD。未だ道半ばである彼らの行く末を見届けるべく、街のオーディエンスに加わるのは今からでもきっと遅くないことだろう。

7th Single『ひつじがいっぴき/下剋上』
7th Single『ひつじがいっぴき/下剋上』 Art by あるてら

■リリース情報
Vivid BAD SQUAD 7th Single『ひつじがいっぴき/下剋上』
2023年10月25日(水)発売
価格:¥1,540 (税込)

<収録内容>
1.ひつじがいっぴき
2.下剋上
3.ひつじがいっぴき -instrumental-
4.下剋上 -instrumental-

詳細はこちら
https://bushiroad-music.com/musics/brmm-10694

『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』公式サイト
https://pjsekai.sega.jp/

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