ORANGE RANGE、夏ソング・夏フェスとの向き合い方 HIROKI&NAOTOが明かす、40代を迎えて高まる制作意欲

ORANGE RANGE、高まる制作意欲

 ORANGE RANGEの新曲「解放カーニバル」はバーボンウイスキー・ジムビームとコラボして制作された楽曲。爽快感、解放感、シックな雰囲気を併せ持った、夏にぴったりのダンスチューンに仕上がっている。リアルサウンドでは、HIROKI(Vo)、NAOTO(Gt)にインタビュー。「解放カーニバル」の制作プロセスに加えて、ライブや楽曲制作における現在のORANGE RANGEのモードについても聞いた。(森朋之)

ツアー形式の『縁舞』で得られた“対バンの醍醐味”

——まずは2022年以降の活動を振り返ってみたいと思います。昨年9月に4年ぶりのアルバム『Double Circle』をリリースし、その直後から今年4月にかけて全36公演の全国ツアー『ORANGE RANGE LIVE TOUR 022-023 〜Double Circle〜』を開催しましたが、手応えはどうでした?

HIROKI:あれだけの規模のツアーは久しぶりだったので、いろんな場所に行って、直に音楽を届けられたのがまずは良かったのかなと。途中から声出しがOKになったんですよ。ここ数年、色々あるなかで頑張ってきたんですけど、徐々に戻りつつあるのを実感できたツアーでしたね。

——当然ですが、観客との一体感が上がりますよね。

HIROKI:そうですね。お客さんの声がなくてもライブとして成立する状態ではあったんですけど、やっぱり声があるとないとでは全く違うというか。それも含めてライブの音楽なんだなって改めて感じました。

NAOTO:うん。コロナで1年半くらいライブができない時期を経ての大規模なツアーだったので、ライブができる大切さ、ありがたさをずっと感じながら回ってましたね。「当たり前だと思っていたことが、実はすごくいいものだった」と気づかされたという意味では、いつもとは違うツアーだったと思います。

HIROKI

——『Double Circle』の楽曲もライブで披露することでさらに変化したのでは?

HIROKI:(アルバムに先がけて)配信シングルで出していた曲も結構あったので、初披露の曲は意外と少なかったんですよ。そういう意味では、この数年間の集大成みたいな感じもありました。

NAOTO:『Double Circle』はコロナ禍で作った曲が多かったので、ちょっと実験的なところもあって。以前から「音源とライブは別」という感じでやっているんですけど、『Double Circle』はそれがわかりやすく出ていると思うんですよ。そういう意味ではライブでやる難しさもありましたけど、新鮮でしたね。その感じがお客さんにどれだけ伝わっているのかはわからないですけど(笑)。

HIROKI:制作時はまったくライブのことを考えてないですからね。たまにライブを想定した曲もありますけど、基本的にはアルバムの世界観だったり、そのときにイメージしたものを形にしているので。いざライブになって「あれ? どうしよう」ってなるんですけど(笑)、それも含めて楽しめているのかなと。

——そして6月には対バン企画『縁舞 -vol.16- 〜クアトロ肆戦〜』を開催。16回目となる今回は、大阪、広島、東京、名古屋で行われ、ゲストはchelmico、BRAHMAN、神はサイコロを振らない、Creepy Nuts。世代もジャンルも違う、すごく面白いラインナップですね。

NAOTO

HIROKI:『縁舞』は10年以上前から開催しているんですけど、今回は2度目のツアー形式だったんですよ。やるたびに自分たちにはないものや刺激を得られるんですけど、今回は日程が詰まっていたこともあって、その醍醐味を濃く感じられましたね。世代もジャンルも違うけど、ステージに立てば同じというか、素晴らしいアーティストばかりなのでリスペクトしています。

NAOTO:久しぶりの『縁舞』だったんですけど、やっぱり他のアーティストのリハを観られるのは面白いですね。「BRAHMANはリハから真剣に突き詰めるのかな」と思ってたら、意外と楽しそうにリハをやってたり。ライブとのギャップがいいんですよね。

HIROKI:リハってお金払っても観られないですからね。もちろん本番を観させてもらうのも楽しみで。バンドやアーティストによって違いがあって面白いんですよ。

——ちなみに対バン相手はどうやって決めているんですか?

HIROKI:スタッフも含めて話してますね。もちろん自分たちから「このバンドとやりたい」というパターンもあれば、スタッフからのおすすめもあって。なので初対面の人たちと一緒にやることもあるんですけど、今回は前から何かしら繋がりがあるアーティストばかりでした。

「解放カーニバル」は今のORANGE RANGEがやりたい夏ソング

ORANGE RANGE – 解放カーニバル (Music Video)

——では新曲「解放カーニバル」について。バーボンウイスキー・ジムビームとのコラボによる楽曲ですが、制作のプロセスを教えてもらえますか?

NAOTO:もともと「こういう曲を作りたい」というイメージはあったんです。「Pantyna feat.ソイソース」の兄弟じゃないけど、 今の自分たちがやりたい夏曲というか。そのタイミングでジムビームさんからお話をいただいて。過去の「ジムビーム」のCMを観させてもらって、結構クールでスタイリッシュな雰囲気だったから、ちょうど自分たちがやりたいことにも合うなと。

——なるほど。そもそも、このタイミングで夏の曲に改めて向き合おうと思ったのはどうしてなんですか?

NAOTO:コロナの時期、やることもないから一人で海に行くことが増えて。夏っぽい曲、海に合うダンスっぽい曲ってやっぱりいいなと思って。ただのマイブームというか、単純な理由ですね。ただ、ORANGE RANGEには夏の曲がたくさんあるじゃないですか。代表的なのは「上海ハニー」や「ロコローション」ですけど、それとは違う感じというのかな。実験とかいろんなアイデアを試しながら、「こういう感じはどうですか?」と提案している感じもありましたね。

——HIROKIさんは「解放カーニバル」のデモ音源を聴いたときはどう感じました?

HIROKI:僕が聴いたタイミングではサビの歌詞とかも入っていて、だいぶ形になってたんですよ。あとはそれぞれのヴァースを作詞するという段階だったんですけど、シンプルに自分の好みだったので、楽しく制作できましたね。音楽的な説明はできないですけど、今までの夏曲ともちょっと違っていて。

——ラテンの雰囲気もありますけど、いろんな要素が混ざった独創的なトラックですよね。

NAOTO:そのあたりも試行錯誤しながら作りました。歌詞を書いてもらうときにHIROKIにも言ったんですけど、どちらかというとクールな感じを意識していて。野外やビーチパーティだけではなくて、ディスコやクラブにも似合う方向性というのかな。

——大人っぽいダンスチューンというイメージ?

HIROKI:そうですね。ジムビームさんと一緒にやるということもあるし、そっちのほうがいいかなと。僕自身は全然大人じゃないんで(笑)、難しいところもありましたけど。

NAOTO:(笑)。「解放カーニバル」はもうライブでもやっていて。今年の『京都大作戦』が初披露だったんですけど、ガンガン盛り上がるというより、横ノリの楽しみ方というのかな。手を挙げたり、コール&レスポンスする感じではなくて、ゆらゆらと自由に楽しめるダンスミュージックにしたかったんですよね。僕らも結構年を取ってきたので(笑)、アゲアゲでイエイ! もいいんだけど、年齢を重ねた今はリズムに身を任せて踊る楽しみ方も提案したかったので。

HIROKI:自分的にはそこが難しかったですね。今までの夏曲はアッパーに盛り上がる感じが多いから、「解放カーニバル」をやるときは1回クールダウンというか、ちょっと落とす作業が必要なんですよ。

——HIROKIさん的には、がっつりアガる夏ソングの方が好き?

HIROKI:いや、別に好きでも嫌いでもないです(笑)。まあ、アガる曲が渋滞しているので、「これ以上増えてもな」というのもありつつ。

——なるほど。“ORANGE RANGEといえば夏ソング”というイメージも強いと思いますが、それはもう受け入れている感じですか?

NAOTO:うん、いいと思います。僕個人もプライべートでも夏が好きですし。

HIROKI:フェスやイベントも夏が多いし、夏の曲で盛り上がれるのはすごく助かってます。

NAOTO:夏以外でも、何かと理由をつけて歌ってるからね(笑)。

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