藤井隆「ナンダカンダ」が時代を超えて愛され続ける理由 20年以上を経た〈やりたいことやるべきです〉に寄せられる感動の声

藤井隆

 2023年6月30日、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に藤井隆が出演し、歌手デビュー曲「ナンダカンダ」を披露。7月13日の時点で550万回を越える再生回数を記録するなど、大きな話題を集めている。

藤井隆 - ナンダカンダ / THE FIRST TAKE

 2000年にリリースされた「ナンダカンダ」は、作曲・編曲・プロデュースを浅倉大介、作詞をGAKU-MCが担当。同年の『第51回NHK紅白歌合戦』にも出場するなど大ヒットした。

藤井隆「ナンダカンダ」ミュージックビデオ

 現在は『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)、『土曜はダメよ!』(日本テレビ系)の番組MCや『おげんさんといっしょ』といったバラエティ番組の出演、連続テレビ小説『わろてんか』(以上、NHK総合)や『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)などの俳優業、主宰するレーベル SLENDERIE RECORDにおける音楽活動など、マルチに活躍する藤井の原点とも言える楽曲だ。

先入観を振り払った藤井隆のパフォーマンスと楽曲の良質さ

 「ナンダカンダ」発売当時は芸人によるCDリリースが流行になっており、そのため藤井の歌手デビューもその流れのひとつだと思われていた。しかし、藤井のパフォーマンスの素晴らしさと「ナンダカンダ」という楽曲の良質さが高く評価され、今もなお愛される楽曲となった。

 藤井隆は、歌詞について自身のInstagramにて以下のように語っている。

「歌詞にある「やりたいことやるべきです」はいつからか自分の仕事や暮らしのテーマになりました。迷った時の指針になるような歌詞をくださったGAKU-MCのお兄さんに本当に感謝してます」(※1)

 〈なんだかんだ叫んだって やりたいことやるべきです〉というサビの歌詞では、「歌手・藤井隆」として自分がやりたいことをやり、なにをどう思われても「楽しんだ者勝ち」ということをポジティブに宣言。藤井と同様に、GAKU-MCによる前向きな歌詞に背中を押されたリスナーは世代関係なく多くいるだろう。もちろん、浅倉大介によるメロディはとびっきり明るく、いつ聴いてもリスナーを深刻にさせることがない。今回の「THE FIRST TAKE」では令和版として浅倉がリアレンジしているが、23年の時を経ても進化し続ける、そんな普遍的なメロディと歌詞の魅力も「ナンダカンダ」が名曲として聴かれ続けている理由だ。

藤井の「THE FIRST TAKE」に「自然と涙が出ました」

 Instagramの本人コメントによると、スタッフからのリクエストに応える形でダンスは取り入れられたという。そこで見せた藤井の身のこなしは素晴らしく、腕を振り上げて下す印象的なサビの振付に加えて、曲間のダンスパートもマイクの前でクルッと回転するなど軽快に踊ってみせた。yoshi2による振り付けとその身のこなしが、同曲が持つポジティブさ、メッセージの力強さ、体も心も踊らせるメロディも際立たせた。また、歌い終わってからの笑みも藤井の人柄を表している。優しくて、柔らかくて、飾らない藤井の魅力があの笑顔にすべて詰まっているように思えた。あれこそ「一発撮り」でしかとらえることができない「表情」だったのではないか。

 コメント欄には「藤井さん見てるとこっちも自然と笑顔になっちゃうね」、「この曲は、なんか理不尽なこととか、気持ち切り替えたい時に、今でもつい口づさんでいる曲です!」、「仕事で落ち込んでこの動画を恐る恐る開いたら、歌い出す前からなぜか安心感で涙が出てきた」など、前向きな想いや感想がたくさん投稿されている。なかでも「いま手術後の体が以前のように動かせない辛いときに藤井さんの歌声と笑顔を見たら自然と涙が出ました。頑張って元気にならないと!藤井さんありがとう」というコメントは、同曲のメッセージ、そして「THE FIRST TAKE」の藤井のパフォーマンスの本質に触れたものだと感じた。

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