tonun、今後の飛躍を予感させる圧巻のステージ 熱量溢れるパフォーマンスで示したライブアーティストとしての一面

tonun、飛躍を予感させるステージ

 6月24日、シンガーソングライターのtonunのワンマンライブがZepp Shinjukuにて開催された。この公演は、6月14日に発表された1stアルバム『Intro』のリリースを記念して行われたもの。同作のリリースタイミングでtonunは、「これこそThis is tonun、彩り豊かな楽曲が揃っています」とコメントしており、今回のライブは、彼の真髄が凝縮された多彩なアルバム曲の数々をライブパフォーマンスを通して体験することができる貴重な機会となった。まだ決してライブのステージに立った回数は多くないアーティストということもあり、フロアには開演前からただならぬ熱気が満ちていた。

tonun
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 「よろしくお願いします。」という簡単な挨拶を経て、「rendez-vous」からライブがスタートする。ジャジーでアグレッシブなバンドサウンドを受けフロアから裏打ちの手拍子が巻き起こり、そこにtonunの吐息交じりのセクシーな歌声が重なっていく。力強くしなやかなフェイクも圧巻で、何より彼の堂々たるポップシンガーとしての佇まいに痺れた。続く「東京cruisin'」では、自ら右手をバウンスさせながらフロアを煽り、「バージンヘア」では、パワフルなファンクサウンドに乗ってソウルフルな歌声を届けながら、間奏では渾身のギターソロを炸裂させていく。圧巻のオープニングだった。

 この日初めてのMCパートで、「すごい人の数だ」「盛り上がりも最高です」と感慨を伝えた後、「最高のグルーヴを届けるんで」と力強く宣言。そしてここからアルバム曲を3連続で披露していく。「eyes」では、グッと音数を絞ったR&Bサウンドによって、tonunの歌声の美しさとメロディの上質さが改めて浮き彫りになっていく。言うまでもなく音源よりも彼の存在感がグッと前面に出ていて、これこそがライブの醍醐味だと強く実感する。

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 「真夏の恋は気まぐれ」では、甘くスモーキーな歌声、しなやかなファルセットを活かしたフェイク、気迫に満ちたロングトーンが次々と放たれ、多彩な歌声に強く惹き込まれた。体調不良の観客が出たため一時ライブを中断した後、「皆さん、大丈夫ですか?」とフロアを気遣った上で披露した「君は言うかな」も素晴らしい名演で、丁寧に抑制されたバンドサウンドと相まって、彼のたおやかな響きを放つ優しい歌声が深く心に沁みる。アウトロでは、言葉にならない想いを託した渾身のギターソロを届ける一幕も。シンガーとしての一面はもちろんのこと、そうしたギタリストとしての堂々たる一面も最高だ。

 「けっこう飛ばしちゃったけど、大丈夫でしょうか?」と問いかけつつ、ここで一度バンドメンバーが退場して弾き語りコーナーへ移行する。「思考回路はmellow」は、巧みなアコースティックギターの演奏によってとてもグルーヴィーな響きを放っていて、その一方、「あなたの季節が」では、繊細なニュアンスを伝える丁寧なアルペジオによって、凛とすみわたったtonunの美麗な歌声がいつも以上にダイレクトに胸に響いた。何より、往年のスタンダードナンバーと並べても遜色のないような普遍性を帯びた美しいメロディは絶品だ。彼のシンガーとしての才能、メロディメーカーとしての才能の大きさを改めて伝える2曲であった。

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