tonun、今後の飛躍を予感させる圧巻のステージ 熱量溢れるパフォーマンスで示したライブアーティストとしての一面
再びバンドメンバーをステージに迎え入れ、続々と新旧の楽曲を歌い届けていき、「体動かす準備はできてますか?」という力強い問いかけと共に、ここから怒涛のダンスゾーンへと突入していく。「d.s.m」では、それぞれのバンドメンバーの熾烈なプレイが激しくぶつかり合うカオティックな間奏を経て、会場全体の一体感が極限まで高まりきったところで観客を一斉にジャンプさせる。「Sugar Magic」では、さらに「カモン!」とフロアを煽りながら、すでに熱しきったダンス空間をさらなる熱狂へと導いていく。そして「Friday Night」では、タイトなバンドアンサンブルの中で自らエッジーなカッティングプレイを届けながらさらに高揚感を増幅させていく。総じて、音源よりも鋭く熱くフィジカルに訴えかけてくるライブパフォーマンスで、それぞれの曲が秘めていたフロアアンセムとしてのポテンシャルの高さに驚かされっぱなしだった。
「次で最後の曲です。」という言葉にフロアから感嘆の声が響く中、本編ラストの楽曲「気持ちの糸」へ。フロアを丸ごと包み込むような温かな歌声が美しく、まさに彼の真髄を凝縮したかのようなパフォーマンスに強く心を動かされた。
アンコールでは、まず、「(アルバムリリースの)記念日にぴったりのこの曲やりましょうか」という言葉を添えて披露した「how many times」で晴れやかなフィーリングをフロアに共有していく。続けて、「皆さん、歌う準備はできてますか?」と再びフロアを煽りながら披露した「merry-go-round」では観客にマイクを託し、この日一番大きな歌声を引き出してみせる。そして「〈サマーグルーヴで君とダンス〉で終わっていいですか?」と問いかけ、最後の1曲「琥珀色の素肌」へ。観客による曲中の合いの手の手拍子もばっちり決まっていて、何より、tonunの歌、フェイク、ギターソロからは並々ならぬ熱気が伝わってきた。最高の一体感の中で大団円を迎えた後、彼はオフマイクで「またパーティーしようぜ!」と叫びステージを去っていった。
総じて、tonunのライブアーティストとしての熱さが全編に貫かれた素晴らしいアクトだった。ただ、今回のアルバムとライブは、あくまでも『Intro』に過ぎない。この夏、彼はいくつかのフェスへ進出していく予定で、そうした数々のステージを経て、きっとtonunは、これまで以上に大きな飛躍と進化を重ねていくはずだ。ここから始まる“本編”への期待が高まる。
tonun、“何気ない親密さ”が倍増させる音楽の快楽性 聴き手のスウィートスポットを射抜く『Intro』を聴いて
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