KID PHENOMENON、7人の個性が光った初のホール単独公演 ヒップホップ愛と“ありのまま”の輝きに満ちた特別な一夜

LDH JAPANの若手グループが中心となりSGCホール有明にて11日間連続でライブイベントを開催する『LDH DREAM PARK 2026 ~RISE OF THE CHALLENGERS~ presented by LDH PERFECT YEAR 2026』。2日目に登場したのはまもなくデビュー3周年を迎えるKID PHENOMENONだ。
彼らにとって初のホールでの単独公演となったこの日のタイトルは『KID PHENOMENON LIVE TOUR 2026 "KIDS00’s" Special Edition』。7月からスタートしたライブツアー『KID PHENOMENON LIVE TOUR 2026 “KIDS00's”』の“Special Edition”として、ツアーから一部内容を変えた特別なライブを展開した。
6月リリースの2ndアルバム『KIDS00’s』を携えて行われているこのツアー。アルバムは、1990年〜2000年代のヒップホップカルチャーを全員が2000年代生まれの彼らなりに再解釈したもので、この日のライブではそれらを自分のものとして体に落とし込み、さらにSPINEL KIDS(KID PHENOMENONのファンの呼称)とともに、新たに作り上げていく様が見られた。

グラフィティやフライヤーでいっぱいの壁をモチーフにしたセットと、ラフでありながらもスキルフルなステージングで『KIDS00's』の世界を描き出していく。最年長でリーダーの夫松健介は、高いダンススキルでグループを牽引するのはもちろん、切り込むラップで楽曲を勢いづけていく。自由に動き回る楽曲ではステージの端まで進み、MCではもはやステージギリギリまで前に進んでメンバーから心配されるほど。魅せるためではなく、自身の中にある世界観や思いを届けるために、高いスキルを会得しているのだろう。ひときわステージで目を引く存在だ。
自分の魅力を「超絶スマイル&MIDDLE SCHOOL HIPHOPスタイル」と称する岡尾琥珀は、まさにヒップホップをルーツに持つメンバー。豪快に重心を下げたと思えば、次の瞬間には繊細なステップで切り返す。自由自在に音に乗る、その緩急がたまらない。ダンストラックでは指先まで使った音ハメで魅了した。一方で、終演に近づいたことを思わせる言葉に対しSPINEL KIDSから「えー!」という大きな声が上がると、夫松が体で「A」を作ったのに対し、岡尾がすかさず「B」を作って見せる場面も。笑いのポイントも見逃さない。

川口蒼真は2006年生まれの19歳ながら、たおやかな動きと楽曲ごとに見せる表情でひときわ色気を放つ。ダンストラックでは彼が一人でスポットライトを浴びただけで、会場が色めき立つ。もちろんそのオーラや雰囲気に驕ることなく、しなやかな動きから音に合わせた激しいムーブまで、細部まで血の通ったパフォーマンスで沸かせ、MCでの言葉数は少ないものの、ひとたびマイクを握れば、低音ラップで一気に引き込む。ダンス、ラップともに引力の強さはピカイチだ。
佐藤峻乃介はその明るいキャラクターが、そのままステージングにも表れる。ジャンプをすれば誰よりも高く飛び上がり、ファンのコールの熟練度を確かめるくだりでは一番にセットに登る(なおSPINEL KIDSの見事なコールに、「ちょっと待ってよ、完璧すぎる!」とびっくりしていた)。無邪気に駆け回る一方で、楽曲制作にも興味を持っている彼は今回ステージ上でMPCを操り、ブレイクビーツを生み出す。ヒップホップの四大要素の一つ「DJ」の代わりを果たした。最年少の鈴木瑠偉は、序盤からフロアに背中がつく勢いでそりかえるなど、ブレイキンの要素を随所に織り交ぜ、このライブのヒップホップ要素を強く打ち出していく。ダンストラックのソロでは最後に登場。ゆっくりとステージ中央へ進み、スポットライトの中に入った途端、力強くこまかなクランプで感情を爆発させる。小さな体から放たれる躍動感が、ステージに熱量をもたらし続ける。かと思えばMCでは突然、「完飲しましたー!」と空になったペットボトルを掲げる。そのギャップこそが、末っ子らしい愛くるしさだ。
多くの楽曲でボーカルを務める遠藤翼空と山本光汰の歌心は、今回のライブでも健在。遠藤がパワフルでパンキッシュな歌声を聴かせれば、山本は透き通った高音で酔わせる。ステージに2人だけが立ち、アコースティックアレンジなどを歌唱する場面では、それまで7人が躍動しながら歌い踊っていたステージに、たった2人。まっすぐ前を向いて、あるいは向かい合って、歌い上げる。しんと静まり返った会場に2人の切ない歌声だけが響き渡り、楽曲の物語を鮮やかに描き出した。
ライブの中盤、ジャケットやベスト、シャツにネクタイなど、きれいめなスタイルでありながらもピンクや赤、黄色など、カラフルで個性的な衣装に着替えて始まったブロックでは、紗幕や暗転を駆使して予想のつかない演出が展開された。「Party Over There」では、7人がテーブルを前に着席。和の音色に誘い出されるように重たいビートに乗せて、テーブルの上に飛び乗ったり、椅子の背に腰かけたりと、治安の悪いステージングで沸かせていく。遠藤が歌いながらテーブルの上で大きく反って見せると、そのまま7人でのダンスナンバーから「Black Flame」へとなだれ込む。山本、遠藤による2人だけのボーカルパフォーマンス、夫松、岡尾、川口、佐藤、鈴木によるダンストラック、そして7人全員でのダンストラックと、全員がマイクを持ち歌うからこそ、さまざまな見せ方ができるのも彼らの武器だ。

ヒップホップの四大要素はMC(ラップ)、DJ、ブレイクダンス、グラフィティアート。アンコールでは、ステージセットはメンバー自らがデザインしたものであること、さらにはデザインのみならず、ステージ上方に掲げられた「KIDS00's」の看板は遠藤が、セット内グラフィティは夫松が描いたことが明かされた。夫松は曲名などが書かれたグラフィティのなかに「Be yourself」(自分らしくいること)や「accept yourself」(自分自身を認めてあげて)といったメッセージが入っていることを説明。さらにオーディション時からの育ての親でもあるEXILE NAOTOへの愛も込めて、「NAOTOさん」「LOVE」という思いも、そっと潜ませていることを告白した。

同時に、このライブで彼らが大切にしていたことがある。「僕たちはもちろん、皆さんもありのままの姿で音楽やこの空間を楽しんでもらうこと」。これについて夫松が「今日のライブを経て、皆さんが改めて自分の楽しいものだったり、好きなもの、自分が魅力を感じるものに気づけるような、そして自分自身と新たに向き合えるような、そんなきっかけになればすごく嬉しいと思っています」と語っていた。自分たちがありのままの姿でいることで、見ている人にも、ありのままでいること、自分らしくいることの大切さを伝えたい。NEO EXILEの中でも特に“個性的”や“奇抜”と呼ばれることの多い彼ららしいメッセージだ。そして先述したように、7人それぞれに個性があり、突出しているスキルがある。同じ楽曲、同じ振り付けでもよく見ると、一人ひとり、その表現方法が異なることに気づく。それはそれぞれが楽曲を自分なりに解釈し、表現をしているから。そのうえで、7人が揃うとKID PHENOMENONとしての作品になり、メッセージになる。

また、自由に駆け回っているように見えても、気づけば正しいポジションについていることにも驚かされる。彼らは楽しそうにステージに立っていて、その裏にある確かな努力を、決して自ら見せようとはしない。それはSPINEL KIDSや会場に来てくれた人の「エネルギーや元気の源になれたら」という思いから。アンコールで夫松が代表して話した。「僕もテレビで自由に音楽を楽しんでるアーティストさんを見て夢を持って、今アーティストになって活動させていただいています。だから僕たちも、この会場に来てくださった皆さんに、少しでも夢のかけらを見つけてもらったり、日々のエネルギーや元気の源になれたらいいなって思います。辛いことがあったり、うまくいくこともあるだろうし、でもうまくいかないこともあるし、ときには自分を否定したくなっちゃうときもあると思うんですよ。それは本当に人間誰しもあることですし、それは間違いだと僕たちは本当に思ってません。だからこそ、自分自身を大事にしてほしいし、自分自身を自分が一番受け入れてあげてほしいなと思っています」と。同時にそうやって日々を生きるSPINEL KIDSの存在が、KID PHENOMENONの原動力にもなっている。彼らは何度も「これからもKID PHENOMENONと一緒に歩んでいただけたら嬉しいです」と告げて、特別な一夜を終えた。与えた分だけ返ってくる。受け取った分、放つ。KID PHENOMENONとSPINEL KIDSが交わし合ったエネルギーと、ヒップホップカルチャーへの愛が、ホール会場を埋め尽くした。


























