齋藤飛鳥、乃木坂46最後の1期生として見せた大きな背中 11年8カ月の集大成であり、未来へ想いをつなげた卒業コンサート

齋藤飛鳥 卒業コンサート完全レポ

 このメッセージを受け、後輩たちも齋藤へ感謝の言葉を伝える。齋藤自ら“あすかの子”と呼ぶ遠藤は「飛鳥さんからいただいたものを忘れないように一生懸命抱えて、これからもここで踏ん張って頑張るので、いつか飛鳥さんが言ってくれたように自分で自分を認めてあげられるようになったら、また会いにいきます」、また与田祐希は途中何度も涙で言葉が途切れながら「最後まで頼れる後輩になれなくて、本当にごめんなさい。でも、私は飛鳥さんのことが本当に大好きで尊敬しています。これからもずっと大好きです」とそれぞれ語り、最後に新キャプテンの梅澤が「こうしてみんなで送り出すことができて嬉しいし、みんな本当に楽しんでいたから、これがみんなの思いのすべてだなと思いました。先頭に立っていろいろ大変なこともあったと思うけど、11年と8カ月本当にお疲れ様でした!」と労いの言葉を送る。そして、“乃木坂46の齋藤飛鳥”にとってアイドル人生最後の1曲として「ジコチューで行こう!」を再びパフォーマンス。齋藤と乃木坂46にとってこの先が明るい未来になることを予感させる幸福感いっぱいの歌とダンスで、3時間におよぶステージを終了させた。

 ひとりステージに残った齋藤は翼の生えたゴンドラに乗り、「11年頑張ってよかったというか……最後にこんな景色が見られて、もう人生大満足です。明日からは恋とかもするかもしれませんね(笑)。お前らの誰かの嫁が飛鳥になるかもしれませんね! 俺の嫁ですね!(笑)。じゃあ、さよなら!」といかにも彼女らしいウィットに富んだメッセージとともにステージ上空へと羽ばたいていき、アイドルとしてのラストステージを締め括った。

 本来ならここで綺麗に終わるはずだったものの、客席からは「飛鳥コール」が鳴り止まない。すると、ステージ袖から再び姿を現した齋藤が何度も感謝の言葉を伝えるサプライズが。こうして、2日間におよぶ『齋藤飛鳥 卒業コンサート』は完結した。

 開催タイミングもあり、新生乃木坂46の始動後しばらくしてからの卒業コンサート実現となってしまったが、齋藤自身の「アイドルとしてのけじめ」以上に、残ったメンバーがこの先どう輝いていくか、どう届いていくかを気遣った内容ではなかっただろうか。だからこそ、齋藤飛鳥の功績を振り返るというよりも現在進行形のグループの姿を投影した構成は非常に興味深く、7月からスタートする『真夏の全国ツアー2023』に対しての期待感が高まるライブだったと捉えることもできる。真の意味でひと区切りついたこの2日間を経て、乃木坂46がここからどんな道を開拓していくのか、今は楽しみでならない。

■セットリスト
乃木坂46『齋藤飛鳥 卒業コンサート』DAY1
5月17日(水)東京ドーム
00. Overture
01. ここにはないもの
02. ありがちな恋愛
03. 制服のマネキン
04. ハウス!
05. ダンケシェーン
06. 私、起きる。
07. のような存在
08. 僕のこと、知ってる?
09. 扇風機
10. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
11. Hard to say
12. Another Ghost
13. Threefold choice
14. サヨナラ Stay with me
15. 路面電車の街
16. 他の星から
17. 空扉
18. 全部 夢のまま
19. Wilderness world
20. インフルエンサー
21. 深読み
22. いつかできるから今日できる
23. あらかじめ語られるロマンス
24. ジコチューで行こう!
25. 君に叱られた
26. 裸足でSummer
27. Sing Out!
<アンコール>
28. キャラバンは眠らない
29. 他人のそら似
30. これから
31. 乃木坂の詩

乃木坂46『齋藤飛鳥 卒業コンサート』DAY2
5月18日(木)東京ドーム
00. Overture
01. ジコチューで行こう!
02. インフルエンサー
03. シンクロニシティ
04. ハウス!
05. ダンケシェーン
06. 絶望の一秒前
07.I see…
08. トキトキメキメキ
09. 扇風機
10. Against
11. ファンタスティック3色パン
12. なぞの落書き
13. 他の星から
14. 制服を脱いでサヨナラを…
15. あらかじめ語られるロマンス
16. ロマンティックいか焼き
17. ガールズルール
18. Route 246
19. ありがちな恋愛
20. 地球が丸いなら
21. 人は夢を二度見る
22. 帰り道は遠回りしたくなる
23. サヨナラの意味
24. 裸足でSummer
25. Sing Out!
26. ここにはないもの
<アンコール>
27. 硬い殻のように抱きしめたい
28. 僕だけの光
29. ロマンスのスタート
30. おいでシャンプー
31. ジコチューで行こう!

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