タイラー・ザ・クリエイターから学ぶ成功の秘訣 オリジナリティ溢れるアイデアを実現するために大切にしていること
音楽以外にも自身のフレグランスブランド、Converseとのコラボシューズ、アパレルなども手掛けているタイラーだが、そのようなアイデアも音楽作品の世界観を補強する要素になっている。ビデオのカラーグレーディングや色味、小道具、アクセサリー、車、服装など、細部までこだわる彼は、世界観の作り方について、以下のように語っていた。
「俺は何回も、意味わからないアホなアイデアをマネージャーに相談している。アイデアが急に何個も出てくる感覚がある。10個アイデアがあって、全部やりたいんだけど、どれにフォーカスするべきかわからないこともある。
でも俺がとても恵まれているのが、全てのアイデアが結果的に音楽と繋がっているということだ。『フワフワの帽子を作って夏にずっと被りたい』『バックパックじゃなくてトランクを作りたい』『車のコレクションを全部パステルカラーにしたい』『もっとハードなラップをしたい』『こういう映像を作りたい』など、全てのアイデアが結局1つの作品に集約される。今考えると、非常にラッキーだ。
映像を作ることにもフォーカスできるし、服を作ることにフォーカスしたら、その服は映像で使われる。そしてその服はラップしている内容とマッチしていて、曲のなかでアクセサリーについてラップしているから、アクセサリーも作れる。そのアクセサリーは車に飾る。その車はMVにも登場する。そのように、自分から出てくる様々なアイデアは、結果的に全て1つのものになる。
その結果として自分の“世界”ができるんだ。だから、10個のアイデアがあるとしたら、もしかしたらそのうちの7個は、自分の世界観のフレームのなかに存在するものかもしれない」(※4)
彼のこうした実現力と発想力には脱帽するばかりだが、アイデアを実現するために気をつけていることがあるとも述べる。
「俺は単に自分のアイデアを信じているだけなんだ。あとは幸い、俺のクレイジーなアイデアを信じてくれている人が周りにいる。ただ、俺に対して『失敗するからやめろ』って言ってくるヤツは、自分の周りから排除するようにしてる。
自分の人生が上手くいっていなくて、自分が優位に感じたいから批判する人たちは、他人に対してネガティブなことを言う。俺は全員に成功してほしいし、本当に信じていればどんなことだって可能だと思うんだ」(※5)
とにかく他人からのネガティブなエネルギーを遠ざけ、自分のアイデアを信じるとたびたびコメントしているタイラーだが、彼は今まで何度も自分のことを信じなかった人たちに“証明”している。
彼が2011年に「いつもグラミー賞を取りたい」とツイートした際には、「お前じゃグラミー賞は取れないよ」というリプライを受け取っていた。彼はそのリプライを9年間保存し、2020年に受賞した際にそのリプライを引っ張り出し、そのユーザーに以下のように返信していた。
「俺は9年前、いつか受賞したときにお前に伝えるためだけにこの投稿を“いいね”して忘れないようにしていたんだ。そうさ、俺はこんな小さいことでも気にする人だ。良い一日を過ごしてくれ」(※6)
失敗を恐れずに、自分が信じたアイデアを実行していくタイラー・ザ・クリエイター。彼のような唯一無二のアーティストから学べることは多い。
(※1、筆者訳)https://twitter.com/tylerthecreator/status/1419298277720092674?s=20
(※2、筆者訳)https://youtu.be/4yeV1uGLrgY
(※3、筆者訳)https://djbooth.net/features/2020-05-20-tyler-the-creator-igor-one-year-later-vic-wainstein-interview
(※4、筆者訳)https://youtu.be/eAQUeUzcbNY
(※5、筆者訳)https://youtu.be/MZ3ldEy4x2U
(※6、筆者訳)https://twitter.com/tylerthecreator/status/1221688080043692033?s=20
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