オリヴィア・ロドリゴ、ザ・キッド・ラロイ、ゲイル……新世代の躍進 2021年グローバルチャート動向・音楽ニュースを振り返る

参照:https://charts.spotify.com/charts/view/regional-global-weekly/latest

 Spotifyの「トップ50(グローバル)」は、世界的に最もストリーミング再生された曲をランク付けしたチャート。本連載では、同チャートを1週間分集計した数値のデータを元に、グローバルな音楽シーンの潮流をお届けする。第14回となる今回は、2021年に1位を獲得した曲と、特に印象に残った音楽ニュースを紹介したい。

上半期はオリヴィア・ロドリゴがチャート上位を席巻

1月

 2021年の2週目はオリヴィア・ロドリゴのデビューシングル「drivers license」が1位にランクイン。10週連続で1位をキープし、当時17歳であったシンガーソングライターにとってのブレイクスルー曲となった。

 1月上旬にはドクター・ドレーが脳動脈瘤で緊急入院したと報じられていたが、その数日後に無事退院。2019年にリリースされたリル・ナズ・Xの大ヒットシングル「Old Town Road」が、14×プラチナを記録し、アメリカレコード協会(RIAA)によって最も売れた曲に認定された。(※1)

 また、ドレイクがSpotifyで500億再生を達成した初のアーティストとなる。全人類が平均で6.4回ドレイクの楽曲を再生した計算になり、大きなマイルストーンを達成した。(※2)

Olivia Rodrigo - drivers license (Official Video)
Lil Nas X - Old Town Road (Official Video) ft. Billy Ray Cyrus

2月

 オリヴィア・ロドリゴの「drivers license」は、2月中も1位をキープ。ザ・ウィークエンドが『スーパーボウル』のハーフタイムショーに出演し、その豪華なステージセットが話題になった。彼はステージセットのために、ポケットマネーから7億円ほどを捻出したと明かしていた。「Starboy」「The Hills」でパフォーマンスをスタートし、鏡張りの部屋で「Can’t Feel My Face」を披露した彼のステージは必見である。(※3)

 また、Spotify上で1億再生を達成したジュース・ワールドの曲が50曲を超えた。(※4)

3月

 1月初週から、10週にわたり1位に君臨していたオリヴィア・ロドリゴの「drivers license」が、3月25日付のチャートでついに2位にランクダウン。ジャスティン・ビーバーが「Peaches (feat. Daniel Caesar & Giveon)」で初登場1位に。

 第63回グラミー賞の授賞式が開催され、年間最優秀レコードにはビリー・アイリッシュの「everything i wanted」、年間最優秀アルバムにはテイラー・スウィフトの『Folklore』、年間最優秀楽曲にはH.E.R.の「I Can’t Breathe」、最優秀新人賞にはミーガン・ジー・スタリオンが選ばれた。

 また、リル・ベイビーがトラップ博物館によって「トラッパー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたことも話題になった。(※5)

Justin Bieber - Peaches ft. Daniel Caesar, Giveon
Billie Eilish - everything i wanted

4月

 4月15日にはリル・ナズ・Xの「MONTERO(Call Me By Your Name)」が1位を獲得。「ポールダンスで地獄に辿り着いたリル・ナズ・Xがサタンの上でラップダンスをする」という内容のMVが話題になった。リル・ナズ・Xは「MONTERO」について、このように語っている。

(自分がカムアウトすることにより)多くのクィアの人たちに機会を与えることができる思う。(中略)アジェンダを押し通していると言われるだろう。実際のところ、その通りだ。他人の人生に口を挟んだり、「こういう人間であるべきだ」と勝手に決めさせないために。(※6)

 4月9日には、ベテランラッパーであり、俳優としても知られているDMXが逝去。ハードな楽曲だけではなく、自身のメンタルヘルスに関する内容も赤裸々にマイクにのせ、多くのリスナーの心と共鳴したラッパーであった。

Lil Nas X - MONTERO (Call Me By Your Name) (Official Video)

5月

 5月20日付のチャートでは、オリヴィア・ロドリゴの「good 4 u」が1位を獲得。5月21日にはオリヴィア・ロドリゴのデビューアルバム『Sour』がリリースされ、5月27日付のチャートでは収録曲が多数チャートインした。

 また、アルバム『The Off-Season』をリリースしたJ.コールがプロバスケットボール選手としてアフリカリーグ(BAL)でデビューを果たした。彼のデビュー戦は3ポイント、3リバウンド、2アシスト、出場時間17分という結果となった。(※7)

Olivia Rodrigo - good 4 u (Official Video)

6月

 6月中もオリヴィア・ロドリゴの「good 4 u」が引き続き1位の座を保持。2021年は、「drivers license」で10週、「good 4 u」で7週にわたり1位をキープしたオリヴィア・ロドリゴの年であったと言えるだろう。

 6月24日付のチャートでは、『ユーロビジョン・ソング・コンテスト2021』で優勝を果たしたMåneskinの「Beggin’」が6位までランクアップ。6月25日にはタイラー・ザ・クリエイターがアルバム『Call Me If You Get Lost』をリリースし、同アルバムは第64回グラミー賞の最優秀ラップ・アルバムにノミネートされている。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる