早見沙織、2021年に掲げた活動テーマによって広がる音楽創作の幅 3rdアルバム『白と花束』制作の前日譚

早見沙織、2021年以降に広がった創作活動の幅

 早見沙織が、5月24日リリースの3rdアルバム『白と花束』より、リード曲「Abyss」を配信リリースした。同曲は作詞・作曲を早見沙織、編曲を渡辺拓也が担当。早見が2021年から掲げる活動テーマ「孤独や生きづらさを感じる人の心に寄り添い、光となる音楽を届ける」を体現する、重厚かつメッセージ性の強い楽曲になっている。

早見沙織「Abyss」Music Video

 同楽曲のほか、『白と花束』にはTomggg、いよわ、清 竜人、諭吉佳作/menといった多彩なクリエイター/アーティストが制作にした楽曲が並ぶ。2023年1月に行われた約3年ぶりとなる有観客ライブから、『白と花束』の制作に至る日々の振り返り、そして「Abyss」に込められた想いについて語ってもらった。(編集部)

(諭吉佳作/menは)「曲の中にすごく自由な精神がある」

早見沙織
早見沙織

ーー2023年は1月2日の『Hayami Saori Special Live 2023 Before Dawn-夜明けに君と』から華やかなスタートを切りました。約3年ぶりとなる有観客でのワンマンライブはどうでしたか。

早見沙織(以下、早見):3年ぶりだったので、会場に観に来てくださるお客様がいることで、こんなに良いエネルギーをもらえるのかと改めて感じました。今回は年明け最初のライブということもありましたし、“Before Dawn-夜明けに君と”というタイトルをつけて、会場や配信で観てくださった方々と共に“夜明け”を迎えられたらいいなという思いで作っていたんです。ライブを終えたあとは、しっかり「明けたぞ!」という気持ちでアルバム制作に入っていくこともできました。

ーー今回のライブはコロナ禍で延期となったEP『シスターシティーズ』のリリースツアー『早見沙織 5th Anniversary Tour “Your Cities”』や、そもそもでリリースツアーを開催できなかったEP『GARDEN』の楽曲をしっかりと届けよう、という意図も感じました。

早見:2021年に出したシングルすべてと、『早見沙織 5th Anniversary Tour “Your Cities”』でできなかったことをやろうというのは決めていました。『シスターシティーズ』の曲は基本的には1回も有観客で披露できていませんでしたし、『Your Cities』のツアーはセットリストを全部決めていたのにコロナ禍で実施できなかったので、その2枚のEPの楽曲は生で歌っておかないと! という気持ちは大きかったです。そういう意味ではある程度やるべき曲がほぼ決まっていたので、チームとしてはどれだけそこにプラスできるんだろうという戦いでもありました(笑)。

ーーご自身で選曲していた開演前プレイリストのラインナップも絶妙でした。坂本龍一さん、Balmorhea、Cluster & Eno、Bing&Ruth、Rhucleといったミニマル&チルな電子音楽を届けていましたし、Karma IslandとNOCTEMに関しては初めて知りました。

早見:今回は、1つの公演としての流れがはっきりしていたので、1曲目に繋いでいく楽曲をイメージしてプレイリストを作りました。あまり歌ものっぽくなくて、雨の音や雷の音などの自然の音を使ったものがいいと思って、そういう楽曲をチョイスしたあとに、隙間を埋めていくようにミニマル・アンビエント系の曲を並べていったんです。Spotifyでプレイリストも公開していますので、ライブ後も聴いていただいて、ライブの余韻に浸ってもらえたと思います。

ーーライブでは5月にリリースされるアルバム『白と花束』から「エメラルド」を先行して披露するなど、次への楽しみもしっかりと残されていました。僕もあの場で初めて知ったので、諭吉佳作/menさんの提供曲があるのかと喜んでガッツポーズをしたくらいです(笑)。

早見:ありがとうございます(笑)。諭吉さんはリスナーとしてずっと聴いていたので、ご一緒できて嬉しかったです。私が『ヒャダ×体育のワンルーム☆ミュージック』(NHK Eテレ)のナレーションを担当していて、そのゲストに諭吉さんが出ていたというご縁もあって(前身番組『前山田×体育のワンルーム☆ミュージック』の第一回に諭吉佳作/menがゲスト出演)。そこで細かい制作の過程を知ったり、彼女が持つ空気感がとても魅力的だと思いました。楽曲を聴いてもパフォーマンスを見ていても思うのですが、曲の中にすごく自由な精神があるというか。

ーー良い意味で形に囚われていない面白さがありますよね。

早見:何にも縛られていないような遊び心溢れた諭吉さんの曲があれば、このアルバムにとても良い輝きをもたらしてくれるんじゃないかなと思っていました。「自分自身も自由に歩いて行けるんだ」というしなやかな強さが欲しいとお願いして、念願が叶ったんです。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる