早見沙織、豪華な楽器隊を携えて届けたラグジュアリーなステージ 3年ぶりの有観客ライブを観て

早見沙織、3年ぶりの有観客ライブレポ

 2022年は『SPY×FAMILY』などのヒットアニメへの出演のほか、音楽活動においてもシングル1作、配信3曲をリリース。年末には『NHK紅白歌合戦』のVTRナレーションを務めるなど、例年以上にトピックが多かった声優・アーティストの早見沙織。そんな彼女が1月2日にTOKYO DOME CITY HALLで行った『Hayami Saori Special Live 2023 Before Dawn-夜明けに君と』は、約3年ぶりの有観客ライブであり、大躍進の2022年やコロナ禍で思うようにライブパフォーマンスができなかった数年間を総括し、さらに次のステージへと進む2023年を予感させる公演だった。

 この日は黒田晃年(Gt)、黒須克彦(Ba)、小笠原拓海(Dr)、角脇真(Key)という早見沙織のライブではお馴染みのバンドメンバーに加え、弦カルテットとコーラス2名という大型編成。2019年の『Concert Tour 2019 “JUNCTION”』でもバンド+弦+コーラスという編成を行なっていたが、その際は2名のヴァイオリニストを迎え入れたものだったので、そこにチェロ+ヴィオラが加わった、早見沙織史上最大といえるリッチな布陣がステージへと並ぶ。ライブは早速、そのなかからカルテットの力を如何なく発揮する「Tear of Will」からスタート。どちらかというと弦+鍵盤+歌の印象が強い同曲だが、小笠原によるドラムをはじめとしたバンドサウンドが加わることで、より楽曲が身体性を帯びて響く。

 続いて一気にトップギアに入った「透明シンガー」やダンサブルな「メトロナイト」と、序盤からこんなに飛ばして大丈夫かと心配になる楽曲を披露。客席の温度も上がってきたところでMCへと移る。2021年以降の音楽活動は「孤独や生きづらさを感じる人の心に寄り添い、光となる音楽を届ける」というテーマを掲げてきた早見。MCパートで観客の顔を見渡したことで、そうした思いを一人ひとりへ届ける意志がさらに明確になった……かどうかは定かではないが、ここからは先ほどの心配は杞憂とばかり、さらに歌へぐっと体重が乗ったパフォーマンスへ。「瀬戸際」「遊泳」では持ち前の歌唱力を存分に発揮し、グルーヴィーな曲と歌で観客の身体を揺らしたかと思えば、「mist」ではウィスパーボイスとファルセットの美麗さでしっかりと聴かせた。

早見沙織ライブ写真

 その後の「Guide」は前半のハイライトといっていいだろう。イントロ〜Bメロまではストリングスをメインに落ち着いたトーンで進み、サビでは一気にエネルギーが優しく力強く爆発。今回の編成の良さをすべて引き出したといえるほどに圧巻だった。

 年末年始の話題から、『NHK紅白歌合戦』を終えた勢いで描いた早見“画伯”のイラストについて触れるなど和やかなMCを終えたあとは、アコースティックセットで「ザラメ」「glimmer」を披露。大所帯の編成もシンプルなバンド編成もそうだが、アコースティックセットも早見のライブにおいては何度もパフォーマンスされており、彼女の歌を魅力的にみせる“武器”のひとつだ。

 ここで早見は一旦ステージを後にし、ここからバンドによるセッションパートへ。じっくりと良質な音楽を聴かせてくれたのち、色鮮やかな衣装にチェンジした早見が登場し、“早見沙織流のシティポップ”といえる「garden」や、キュートな声が印象的な「Akasaka5」、クラップで会場がひとつになった「PLACE」、ラップ調に言葉が次々紡がれていく「yoso」を披露。まるでここがビルボードやブルーノートかと錯覚するほどにラグジュアリーなパフォーマンスが次々と繰り広げられていく。

早見沙織ライブ写真

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