浜崎あゆみ、“バラエティ番組降臨”に反響 デビュー25周年に証明した衰えぬカリスマ性
『みんなが聴いた平成ヒット曲』第12回 浜崎あゆみ「Boys & Girls」
歌手デビュー25周年を迎えた浜崎あゆみの「バラエティ番組降臨」が続いている。
3月29日には『上田と女が吠える夜 春の特大2時間SP』(日本テレビ系)に出演し、普段着ている洋服を保管しているところについて「車で行かないと行けない」「洋服用の建物がある」と語ったり、「私は朝マックのポテトが好きです」「息子はハッピーセットが好き」と休日は子どもらとマクドナルドへ行くことを明かしたりするなど、セレブさと庶民的なところの両面を見せた。
4月5日、12日には『かまいガチ』(テレビ朝日系)に登場。2週にわたって番組内で25周年を祝われた浜崎は、企画序盤、MCをつとめる山内健司(かまいたち)と「初めての共同作業」として自身のロゴマーク「A」の「―」の部分に筆を入れ、出来上がったマークを眺めて「今までで一番素敵」とコメント。その様子を見ていた濱家隆一(かまいたち)は「ロゴをイジっているところを初めて見た」と驚いた。以降も、かまいたちが『キングオブコント2017』を制したネタ「サーフショップ」に挑戦し、山内のウェットスーツを無理やり脱がす役どころを担って笑いを誘うなど、意外な姿を多々見せた。
#かまいガチ
今夜23時21分〜
※通常より6分押し放送ついに今夜開催!
「浜崎あゆみ25周年パーティー」浜崎さんの全力バラエティにスタジオ大盛り上がり!🔥
かまいガチの歴史に残る回です👊
今夜!ぜひぜひご覧ください!!#かまいたち#浜崎あゆみ #インディアンス田渕#紅しょうが pic.twitter.com/Q5qpVKVHgw— かまいガチ【テレビ朝日公式】 (@kamaigachi) April 5, 2023
両番組で特に興味深かったのは、芸能人のあゆファンたちの反応だ。『上田と女が吠える夜』では、「Boys & Girls」(1999年)がBGMとして流れるなか浜崎が姿を見せると、ももいろクローバーZの佐々木彩夏が「もう収録を終わりたいくらい。十分です」と泣いて喜ぶ一幕があった。また、IMALUも「今日は一言も喋れないかも」と緊張を口にしていた。
3月29日(水)よる9時からの#上田と女が吠える夜 は!
春の特大2時間SP🌸
/#浜崎あゆみ が
6年ぶり日テレバラエティー登場!
\あゆと共に生きてきた女たちと
あゆを語り尽くす💖#若槻千夏 #益若つばさ #佐々木彩夏 #IMALU #久代萌美 #エルフ荒川#紅しょうが #ゆっきゅん pic.twitter.com/LNE4wZrHii— 上田と女が吠える夜【公式】 (@hoeruyoru_ntv) March 15, 2023
『かまいガチ』では、「余興」として浜崎にネタを見せようとしたお笑いコンビ・紅しょうがの熊元プロレスが、うまくネタフリができなかったり、ネタが飛んでしまったりするなどガチガチに緊張。相方の稲田美紀がそんな熊元にイライラして「私が(ネタフリを)やります」と名乗り出るなど、予想外の出来事が続いた。
両番組での共演者のリアルな反応から、浜崎が持つレジェンド性、カリスマ性をあらためて感じることができた。
「Boys & Girls」で歌われた心の奥底にある苦しみ
浜崎がデビューした1998年は、平成のJ-POPを語る上で欠かすことができない1年だった。浜崎ほか、宇多田ヒカル、椎名林檎、MISIA、aikoらが同年にデビュー。さらに前年にリリースされたGLAY『REVIEW-BEST OF GLAY』を皮切りとしてCDアルバムのベスト盤ブームが巻き起こり、B’zの『B'z The Best "Pleasure"』『B'z The Best "Treasure"』、松任谷由実の『Neue Musik YUMI MATSUTOYA COMPLETE BEST VOL.1』、サザンオールスターズの『海のYeah!!』などがいずれも大ヒット。CD売上は6074億円を記録し、「CDがもっとも売れた年」として知られている(※1)。
J-POPのターニングポイントの時期に“産声”をあげた「平成の歌姫」。そんな彼女の最大のヒット作は4曲収録の10thシングル『A』(1999年)だが、浜崎のヒットシングル曲というと、前作にあたる9thシングル「Boys & Girls」を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。浜崎はこの曲で日本レコード大賞の優秀作品賞を初受賞している。
『上田と女が吠える夜』では、浜崎が大勢の聴き手を引きつけた理由として「孤独と絶望を綴った歌詞」「自分で未来を切り拓く前向きな女性像」が紹介されていた。たしかに「Boys & Girls」も、〈輝きだした 私達ならいつか明日をつかむだろう〉の歌詞が表すようにその瞬間を生きる人たちにエールをおくる一方、〈“シアワセになりたい”って/もう何度目になるんだろう〉〈胸が苦しくて/少し戸惑ってた〉と心の奥底に溜め込んでいる苦しみも描かれていた。いろいろ絡み合う感情が、アッパーな曲調にのせ、スピーディーかつハイトーンなボーカルで歌われていった。まるで笑いながら泣いているような感覚……とでも言おうか。多彩なグラデーションを持った曲の“表情”が、その時代に生きる一人ひとりのどうしようもなさや不安定さにつながっているようだった。
そういった当時の人たちの感情をより深掘りしていったのが、2000年にリリースされた「vogue」「Far away」「SEASONS」の“絶望三部作”である。それらの曲では、自分の複雑な生い立ちを絡めることで、居場所を見失っている人たちの共感性を重ねていった。そのリスナーは、気持ちの弱さを抱える人たちからいわゆるヤンキー層まで、「異例」と言って良いほど幅広い支持をあつめていった。
世代、立場、境遇など問わず、いろんな人たちの気持ちの核心に迫る歌詞の力こそが浜崎の曲の強みであり、現在までカリスマ視されている理由ではないか。2000年リリースの「M」の最後の一節〈理由なく始まりは訪れ 終わりはいつだって理由をもつ…〉は特に印象的で、「恋愛とはなんなのか」という人間にとって永遠のテーマに対する一つの答えのようでもあった。