浜崎あゆみ、“バラエティ番組降臨”に反響 デビュー25周年に証明した衰えぬカリスマ性

次々と歌詞が押し寄せてくるスピーディーな曲調

 曲のスピード感とダイナミックさも素晴らしい。浜崎が書く歌詞にドンピシャでハマらなかったとしても、その曲調を好きになることもできる(実は筆者もそちらのタイプである)。浜崎の曲はまるで、次々と歌詞が押し寄せてくる感じがする。それは現代の感覚で言えばSNSのタイムラインを見ているようなめまぐるしさだ。その点も、2000年代以降の時代性にマッチしていたように思える。

 余談だが、たとえばカラオケの場で「evolution」(2001年)をチョイスして、その曲のスピードについていけなくなって途中で脱落する人を見たことがあるのは筆者だけではないはず。スピードについていけたとしても、浜崎の真骨頂である音域の広さの前にその“挑戦”が跳ね返されることも。ただ難易度が高い分、最後まで歌い切れたときの爽快感はハンパない。部屋中に達成感が広がる。

 言いたいことがたくさんありすぎて、また吐き出したい感情が多すぎて、それくらいめまぐるしいスピードのなかに歌詞を詰め込まないと伝えられないような楽曲感覚。それが“浜崎あゆみワールド”を生み出している。その唯一無二性も、浜崎が支持される要因だと感じられる。

浜崎あゆみ / evolution

 浜崎は2022年11月にリリースしたデジタルシングル「MASK」でこのような歌詞を書いた。

〈あれから僕らはいくつもの痛み乗り越えた/フリをしてただ傷跡を新しい傷で塞いだ?〉

 25年前と現在では、浜崎の環境は大きく変わった。そして彼女をずっと追いかけてきたリスナーにも変化があっただろう。しかし、かつて感じた孤独や絶望は忘れられるものではない。もしかすると、いずれまたそれらに襲われるかもしれない。だからこそ、浜崎の書く歌詞には今もなお生々しさが漂っている。

浜崎あゆみ / MASK

※1:https://www.riaj.or.jp/g/data/annual/ms_m.html

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