SixTONES、スピッツ、斉藤和義、凛として時雨、鈴木雅之……4月12日リリースの新譜5作をレビュー

凛として時雨『last aurorally』

 唯一無二という言葉があるが、現行の日本のロックシーンにおける凛として時雨の特異な存在感を踏まえると、この言葉こそが3人の存在を正しく形容する上で最も適切な表現であるように思える。今年メジャーデビュー15周年を迎えた凛として時雨は、これまで長きにわたりシーンに絶大な影響力をもたらしてきたが、結局は、彼らの正統なフォロワーバンドが現れなかった事実こそが、やはり時雨は唯一無二の存在であることを明確に物語っているように感じる。唯一無二たる理由、それはつまり、鉄壁の3ピースバンドから放たれる凍てつくような鋭い轟音であり、TK(Vo/Gt)と345(Vo/Ba)のハイトーンボイスによる壮絶なマイクリレーであるが、驚くべきことに、その2つの要素が今回の最新作においてさらにカオスティックな進化を遂げている。最も象徴的な新曲が、時雨が幾度となくタッグを組んできたアニメ『PSYCHO-PASS』シリーズの最新作『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』の主題歌として制作された「アレキシサイミアスペア」だ。時雨のロックを聴くことでしか得られない果てしない高揚感と狂騒感、そして切実な感傷、それら全てがかつてないほど最大限に爆発している。まるで、もう誰も追いつくことのできないカオスの極致へと至ってしまったような戦慄を覚える傑作だ。(松本)

凛として時雨 Album『last aurorally』 Trailer

鈴木雅之『SOUL NAVIGATION』

 アニソンへの進出、『FUJI ROCK FESTIVAL '22』出演などによって何度目かのブレイクを果たした鈴木雅之の4年ぶりのニューアルバムは、物心がついたときから彼の歌声を耳にしていたであろう20代~40代のアーティストたちとのセッションから生まれた楽曲が並ぶ。濃密な官能性をたたえたボーカルが耳に絡みつくミディアムチューン「flavor」(作詞・作曲:堂本剛)、流麗なストリングスと洗練された旋律が心地いい「道導」(作詞・作曲:Ayase)、マッチングアプリで知り合った男女を描いたファンクナンバー「君とデスマッチ」(作詞・作曲:マハラージャン)、ジェームス・ブラウン直系のサウンドとともにエロティックな世界を映し出した「スポットライト」(作詞:ジェントル久保田・浜野謙太 作曲:浜野謙太)。お箸の国のソウルミュージック、その最新型がここにある。(森)

【MV】鈴木雅之『CLUB KAGUYA ~ CARTOON + YELLOCK MIX ~』

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