スピッツ、椎名林檎、BUMP OF CHICKEN……カップリング曲にも名曲揃い 今、改めて聴きたいアーティストの“B面集”

 シングルCDに収録される2、3曲目。音楽番組やライブで披露される機会も多くはなく、時にライブ音源やリミックスにその位置を取って代わられる。それがカップリング曲、B面曲のイメージかもしれない。そんな表題曲の陰に隠れがちな楽曲をまとめて収録するカップリングベストやB面集と呼ばれるアルバムは熱心なファンのためのアイテムとして扱われることが多い一方で、アルバムによってはB面曲の知名度が上がり、時にファン以外にも届く楽曲になることもある。本稿ではそんな様々な意義を持つB面集を紹介していきたい。

強い求心力を持つ名曲たちが顔を揃える『花鳥風月』

 スピッツはカップリング曲に加え、未発表曲やカバー曲を収めたスペシャルアルバム『花鳥風月』(1999年)『色色衣』(2004年)『おるたな』(2012年)の3作をリリースしている。1作目『花鳥風月』は1999年当時のベストアルバムブームに対するアンチテーゼだったという。そんなスピッツらしい反骨精神が滲むリリース経緯からも、バンドの意思が強く反映された作品と言えるだろう。

スピッツ / 愛のしるし

 『花鳥風月』には9月5日放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)「大ヒット曲の隠れ名カップリング特集」でマカロニえんぴつのはっとりが紹介していた温和で純朴な「猫になりたい」や、ワンマンライブでは熱狂のピークを担うロックナンバー「俺のすべて」など強い求心力を持つ名曲たちが顔を揃える。2021年9月15日にはさらにレア曲を追加した『花鳥風月+』として新たにリリースされた。配信サイトでの展開によっては、新規のリスナーを広げていく可能性も秘めているだろう。本作にはレコーディングから30年近く経った曲にも圧倒的なオリジナリティと耐久性の高い哲学が刻まれている。

スピッツ『花鳥風月+』

 『色色衣』と『おるたな』はセルフプロデュースによる楽曲が多い。バンドの挑戦心や実験的な側面を打ち出す場所としてカップリング曲を位置づけてきたことがよく分かる2枚のように思う。オリジナルアルバムにもその試行錯誤は確実に還元されており、これらのスペシャルアルバムはスピッツの歴史と切り離すことのできない重要な作品となっている。

アーティストからのカバー人気も高い「すべりだい」

 椎名林檎は2008年にデビュー10周年記念としてカップリングベスト『私と放電』をリリース。アルバム未収録曲をまとめるというシンプルな制作方針だが、これからファンになるリスナーも気軽に辿り着ける作品に、隠れた名曲が集結している意義は大きい。表題曲と対照的なサウンドや洋楽のカバーなど、多角的に椎名林檎を知ることができる1枚だ。

 穏やかなでソフトなポップチューン「あおぞら」や、三浦大知や藤井風のカバーでも知られるメロディアスな「すべりだい」といった人気曲はどれも心中をそのまま吐き出したような素直な言葉遣いが多く見られる。ある種のけれん味とともに生き様や思考をショーアップする彼女のA面の雰囲気とは異なる、B面ならではの表情が随所に散りばめられている。

椎名林檎 – メロウ

 Disc1は亀田誠治プロデュースによるアバンギャルドな魅力でJ-POPリスナーを圧倒した活動初期の楽曲、Disc2はライブでのバンドメンバーや多彩なアレンジャーを迎えて制作した現在のモードに繋がる楽曲という分類が判然としており、連続して聴くことでデビューから10年間の変遷を音像でも実感できるはずだ。

椎名林檎『私と放電』



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