斉藤和義「歌うたいのバラッド」はなぜ歌い継がれる名曲なのか 『THE FIRST TAKE』の演奏が引き立てる“歌うことの奥深さ”

「歌うたいのバラッド」はなぜ歌い継がれる?

 今年6月にMANNISH BOYS(斉藤和義、中村達也によるユニット)のデビュー10周年を記念したツアーを成功させ、8月からはカーリングシトーンズ(斉藤和義、奥田民生、寺岡呼人、浜崎貴司、YO-KING、トータス松本のユニット)のツアーを敢行。ステージに立ち続け、深みと凄み、軽やかさを共存させたボーカルとギターを響かせ続けている斉藤和義。今年発表した「俺たちのサーカス」「明日大好きなロックンロールバンドがこの街にやってくるんだ – From THE FIRST TAKE」も話題を集め、日本を代表するシンガーソングライターとしての存在感を放っている。

 1993年に「僕の見たビートルズはTVの中」でデビューし、「歩いて帰ろう」(1994年)、「やわらかな日」(2002年)、「やぁ 無情」(2008年)、「ずっと好きだった」(2010年)、「やさしくなりたい」(2011年)など数多くの名曲を生み出してきた斉藤だが、キャリアのなかでももっとも強い共感と感動を集めているのは「歌うたいのバラッド」だろう。

 1997年に15枚目のシングルとしてリリースされた「歌うたいのバラッド」は、曲名が示す通り、シンガーソングライターを主人公にしたバラードナンバー。曲を書くこと、歌うことの本質を射抜くような歌詞を紡ぎながら、〈こんなに素敵な言葉がある 短いけど聞いておくれよ/「愛してる」〉という最後のフレーズにたどり着く。そう、大切な人に言いたいのは、「愛してる」という言葉だけ。本当に大事なのはそのことだけなのだと、この曲は教えてくれるのだ。

斉藤和義 – 歌うたいのバラッド(2008 Ver.)[Music Video]

 ソングライティングの本質と純粋で奥深いラブソングを結びつけた本楽曲だが、リリース時のオリコンランキングはなんと91位。とてもヒットしたとは言えない順位だが、その後、何度となくライブで演奏され、リスナーの口コミやラジオでのオンエアなどによって少しずつ音楽ファンの間で共有されてきた。この曲が“普遍的な名曲”として知られるようになったのは、シンプルに曲の力によるところが大きいのだと思う。

 櫻井和寿がボーカルを務めるBank Band、奥田民生、鈴木雅之、Crystal Kayなど多くのアーティストによってカバーされていることも、名曲の証。YouTubeで検索すると現在も無数のカバー動画が出てくるが、特にシンガーソングライター(を目指す人たち)にとっては一度は歌ってみたい憧れの楽曲なのだろう。

Bank Band「歌うたいのバラッド」 from ap bank fes ’11 Fund for Japan
Crystal Kay 「歌うたいのバラッド」Music Video

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