TK from 凛として時雨、10年間が濃縮された現在地 起伏に富んだ演奏で魅せた『egomaniac feedback tour 2021』ファイナル

TK from 凛として時雨、10年が濃縮された現在地

 ソロ活動10周年のTK from 凛として時雨による『egomaniac feedback tour 2021』と題した東名阪ツアーの最終日が、10月23日に東京国際フォーラム ホールAで行われた。

 『egomaniac feedback』は10月13日にリリースした初のベストアルバムのタイトル。それを携えてのツアーだが、新曲も含む27曲で10年の足跡を辿ったアルバムと対照的に、ライブは収録曲をメインにしながらレアなナンバーもあるセットリストで、濃厚にTKの現在地を示すものになっていた。

 幕開けはアニメ『東京喰種トーキョーグール:re』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマに起用された代表曲のひとつ「katharsis」。期待をそそるイントロが流れ、緊張感に溢れたハイトーンボーカルがホールに響き渡った瞬間からTKワールドに突入だ。センターに立つTKを囲むように並ぶメンバーは、ライブではお馴染みの面々。吉田一郎不可触世界(Ba)、BOBO(Dr)に、ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。/Key)、須原杏(Vn)、内田麒麟(Vc)を加えた編成は、起伏に富んだ曲にドラマチックな色を加え、ファルセットにウィスパー、シャウトにデスボイスまで巧みに使い分けるTKのボーカルと絡み合う。間奏になればTKは目まぐるしく手を動かしてダイナミックなギターソロを聴かせ、タイトなドラムとベースで見事な3ピースを組み立てる。ライブ用に再構築された演奏はビビッドなスケール感でホールに響き渡った。高まった熱のままに畳み掛けた「Abnormal trick」「flower」は、TKのボーカルとアコースティックギターの速弾きが緊張感を緩めずさらに熱を上げた。

 「こんばんは、TKです。いつの間にか10年経ちましたが今日もよろしくお願いします」と簡単に挨拶をしてから始めた「haze」は、コロナ禍で閉塞した空気に光を当ててくれるような〈暗闇は僕が切り裂いておく〉という歌詞が刺さった。ダンサブルな「Secret Sensation」で会場をダンスフロアに変え、「Signal」はTKのボーカルとバイオリンが絡み合うように進む抑制の効いた演奏がドラマチックなイメージを裏打ちした。

 このライブでのバイオリンとチェロは実にアグレッシブで雄弁だ。弦楽器らしい柔らかなメロディを奏でたかと思うと、ギターに負けないフレーズで曲を牽引する。他の楽器と互角にプレイする彼らの演奏は、TKの歌と相性がいいことにも気づいた。TKの楽曲に弦楽器を入れたものが多いのは、それを彼自身がよくわかっているからだろう。「Fu re te Fu re ru」もそんなことを思わせる曲だ。

 落ち着いたテンポの「memento」では、切々と歌われる孤独感を受け止めるようにピアノと弦楽器が柔らかく鳴り響き、このステージでTKが唯一スツールに腰掛け手にマイクを持って穏やかに歌った「罪の宝石」へと誘った。ライブ前半はこの曲に辿り着くための物語だったかと思うような、ミニマルだが濃密な数分だった。そして、まさに折り返し地点だと言わんばかりに再びギターを手にしたTKは起伏に富んだ「unravel」へと進み、ギターとドラムでカウントを合わせた「Fantastic Magic」でロックバンドらしいダイナミズムを生み出し、その流れのまま「Shandy」へ。これはシングル『Signal』のカップリングとして、凛として時雨の楽曲がセルフカバーされたもので、今回のベスト盤にも収録されているのだが、ライブではさらに新たなアレンジで聴かせてくれた。



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