中島美嘉、『魔道祖師 完結編』を彩る愛に満ちたOPテーマ “語りかけるような歌声”による極上のバラードに
デビューから20年以上に渡り、J-POPシーンを牽引し続けてきた中島美嘉。そのディスコグラフィに、また一つ名バラードが加わった。それが、アニメ『魔道祖師 完結編』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマ「Beyond」だ。
墨香銅臭によるWeb小説原作の大ヒットファンタジー『魔道祖師』は、邪祟と呼ばれる妖魔や邪鬼などが跋扈する世界で、邪祟を退治する力を持つ仙師の名門五大世家を巡る大河ドラマだ。それと同時に『魔道祖師』は、非業の死を遂げ、13年後に禁術によって復活した仙師・魏無羨と、彼を見守り続ける名友・藍忘機の関係性を描いたブロマンスでもある。「Beyond」は、そんな二人の関係性にスポットを当て、「運命愛」を綴る、中島美嘉の作詞作曲(Carlos K.との共同作曲)によるラブバラードだ。
そんな「Beyond」は、魏無羨と藍忘機の空白の13年間を示すように、時計の秒針の音から始まる。
自由奔放で明朗、規則を破ってばかりの魏無羨と、品行方正で寡黙な優等生の藍忘機。正反対な二人は出会った当初こそ反目し合うが、ともに苦難を乗り越えていくことで絆を深め合っていく。だが、その強大な力が周囲から恐れられた魏無羨は命を落とす。魏無羨を一度は死によって失った藍忘機は、蘇った魏無羨を今度こそは決して手放すまいと誓う。そんな藍忘機から魏無羨への思いを、「Beyond」の歌詞が描き出している。
寡黙で表情もあまり変わらない藍忘機だが、ストーリーをつぶさに観ていくと、その言動の端々から、魏無羨に対し非常に強い思いを持っていることがわかるはずだ。表面上は秘められたその感情が、「Beyond」の中では〈応えるために強くなりたくて/生き抜いてきたんだ〉〈君にさえ気づけばいい/この声で叫び続けた〉と情熱的な言葉で露わになっていく。
Bメロからサビにかけてのコーラスワークは中島本人のこだわりの箇所でもあり、透明感のある歌声がベールのように重なりながら明るい方へと誘うような美しさがある。〈消えていく君を/諦めないよ〉〈今また 重ねた/運命を離しはしない〉という歌詞も相まって、藍忘機の愛と意志の強さを示すようだ。
「何をもって愛情の深さをはかるのか」というのは難しい問いだが、長い時を経ても色褪せないこと、相手のためならば困難に向かっていける強さを持てることは、愛の強さを示す尺度の一つと言えるのではないだろうか。そういう意味で「Beyond」の約4分間には愛のメッセージがいっぱいに込められている。そして、それを重厚に届けるのが、中島の歌声だ。