百足&韻マン、若手ラッパー同士のコラボ曲がバイラル首位 人生観の滲むパンチラインが散りばめられた1曲に
「君のまま」は、まずは本人たちのライブやSNSを中心に発信されていったが、昨年12月、楽曲のデジタルリリースより先にMVが公開され、3月20日現在までに1000万回再生を突破し、まだまだ伸び続けている。MVは、リリックに出てくるキーワードから連想される雑踏の中や海辺で百足と韻マンがラップする、MVとしては王道のパターンだが、驚くのは2人の“華”である。小物を使った演出は若干あるものの、歩きながらラップしているシーンがほとんどで、それだけでMVが成立しているのだ。視覚的な情報がシンプルな分、リリックと楽曲の良さが余計に際立っていると同時に、聴き手が普段自覚しない“自分の存在感”を百足と韻マンの2人にトレースしやすくなっていると思う。
「君のまま」は、音数が少なくも繊細で緻密なトラック、キックを強調しない滑らかなビートに2人のラップが乗る1曲。曲調も柔らかくBPMも速くない。さらに言葉を詰め込んでおらず、トラックのリズムを大切にしていることがわかる。ともすれば、チルヒップポップか、メロウネスが前面に出た曲になりそうなのだが、百足と韻マンのスキルでラップ然とした印象になっているのはさすがだ。子音にインパクトを置きながら、母音のトーンもしっかり余韻として残すあたり、2人のスキルの多彩さが窺える。リリックは、一聴してラブソングと思わせる内容だが〈君とラップは良く似てて 時に自分の首も締める〉など、随所に独自の人生観を滲ませたフレーズが挟み込まれ、彼らの意志そのものが強烈に聴き手に刻まれる。彼らと同世代の20代前半のリスナーにとってはパンチラインのオンパレードだと思うが、聴き手によってパンチラインが変わると思わせるあたりには、言葉選びに対する天性の才能を感じさせる。才能とスキルでこれからどんな“LIFE”を見せていってくれるのか、楽しみだ。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2023-03-15
※2:https://hominis.media/category/musician/post3611/
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