小田和正×水野良樹(いきものがかり)、世代を超えた関係性 HIROBAが『クリスマスの約束』から受けた影響とは?

小田和正×水野良樹の関係性

今書きたいのは「ちょっといい曲じゃなくて、すごくいい曲」

――水野さんはHIROBAを始めるにあたって『クリスマスの約束』に大きな影響を受けたとおっしゃっていましたが、小田さんのどんなところを指針にしているんでしょうか。

水野:僕が強く意識しているのは、それぞれが自主性を持って参加できる場所にしたいということですね。水野がやりたいことを助けてやろうという感じで来てもらうよりはーーもちろん助けてくださっているんですけどーー一緒にイーブンで作れるような環境にしたいというのは強く意識しています。『クリスマスの約束』は、もちろん小田さんが中心にいるし、そこに僕らは甘えてるところがあるんだけど、でも小田さんはいつも対等に向き合ってくださって。僕らみたいな親子くらい歳が離れた後輩たちの言葉にもちゃんと耳を傾けてくれて、時にはちゃんと否定もしてくれる。それがすごく気持ちが良くて。あの「みんなで一緒に作る」というイズムを自分なりに表現したいというのは、HIROBAをやる時にすごく意識しているところです。

――小田さんとしては、HIROBAに対してどんな印象がありますか?

小田:「どういうことやるの、HIROBAは?」って聞いたことはないけれど、勝手な思いとしては、なんとなく文化系のイメージはありました。そこで何をやるんだろうなとか、本を書いたりいろいろやってるからそれぞれリンクするのかなとか、いろいろわからない、見えない部分も多いまま今日に至ってるという感じです。ただ、「YOU (with 小田和正)」を一緒に作ってから4年経ったっていうからびっくりしちゃって。

水野:4年前にHIROBAで曲を作ったときに、すごく印象に残ってることがあって。歌詞を書いてるときに、小田さんは「お前と俺の違いは一つあって、水野は人と人とはわかり合えないと思ってるんだろう。俺はわかり合えると思ってるんだ」って、さらっとおっしゃったんです。で、その時はまだ僕もそこに踏み込めないというか、「はい、そうですね」と言えない自分がいて。ただ、4年間HIROBAをやって、「この人は僕とは反りが合わないんじゃないか」とか「全然違うことを考えてるんじゃないか」っていう人とも一緒に曲を作ってみたりして、ちょっとわかり合えたと思うこともあって。

小田:いいね。水野は今、すごくいろんなことをやってるじゃない? すごいなって思うよね。

――たとえば小説家として本を出版するなど、水野さんの表現の幅の広がりや取り組みに対してはどんな風に見てらっしゃいますか?

小田:いろんなことやってるなっていう印象はすごくあるよね。いつやってるんだろう、いきものがかりはどうなんだろう、水野はどうなんだろう、みたいな。でも、(やったことを)放ったらかしにはしないだろうから、いつかどういうところへ辿り着いていくのかなっていうのは非常に興味がありますね。

水野:ありがとうございます。

小田:一人になって作業してるところは見たことないから、そこを覗いてみたいなって気がするよね。『クリスマスの約束』では、そういう場面はないからね。ちょっとコーヒーを飲んだり、立ち上がってブラブラしたり。そこに何かがあるんじゃないかな。「そうやっていっぱい書くんだ」って。とにかくいっぱい書くってのは脅威だからね、僕にしてみれば。すごいなって思う。だから『クリスマスの約束』でも水野には「大事な部分だけど、やらせればいいよ」っていろんなことを振ってきたんだけど、水野はそういうことも背負いたいタイプだし、大丈夫だよって言える存在だから。そういう人が仲間にいることはとても心強いよね。

――一緒にものを作っていくという体験を通して、水野さんや若い世代のミュージシャンに小田さんから何か手渡すことができたと感じてらっしゃるものがあるとすれば、それはどういったものでしょうか。

小田:いや、そんなものは、僕からはなかなか思いつかないし、あんまり思いつきたくもないかな。みんながとにかく音楽が好きで、自分たちが好きな音楽を視聴者の皆さんにちゃんと届けたいという、その積み重ねがあるだけで。その結果としてみんなの思い出が積み重なっていて、自分の活動とは別に一つ流れがあることがリンクして、さらにどこかへ辿り着いていく、みたいなね。(『クリスマスの約束』は)どうしてもスケジュールとかいろんなことがあって、同じ人たちでやるようになっちゃって。(周囲から)マンネリとか相変わらずみたいに言われるのは、僕は構わないけど、参加してくれてるアーティスト諸君がそれで不快な思いをしなければいいなと思うんだけどね。

水野:優しすぎますね。

小田:いやいや。みんな集まると楽しいんだ。クリエイティブだし、どこか野心もあるしね。

水野:小田さんは僕らにとって大先輩なんですけど、でも、常に一プレイヤーとしていてくださるんです。僕らより経験もあって、たくさん頑張ってきた人が、いまだに一プレイヤーとして戦っている。その姿を同じプレイヤーの目線で見させてもらえる。こんなに心強いことはないと思うんですよね。小田さんを見ていると「自分も頑張らなきゃな」と思う。それが今も続いているっていう感じがします。

小田:委員会バンドには特別な感情があるね。いわゆるバンドではないし、でもテレビのスタッフみたいにフロアディレクターとかプロデューサーがいたりするような組織でもないし。ただ、背負うものは結構あって。それをみんなで背負って、目標に向かって辿り着いていく。とっても不思議な、素敵な団体だよね。だから話しててもとても面白いし、いい感じですね。

水野:最後にお伺いしたいんですけど、今、どんな曲を書きたいですか?

小田:もうそんなに何曲も書く機会はないと思うから。「最後に一番いい曲」なんて贅沢は言わないから、「いい曲だな」って思うような曲を書きたいと思うね。ちょっといい曲じゃなくて、すごくいい曲。何回聴いても飽きない曲。何回聴いても飽きないってすごく大変なことだよ。もう一回再生したくなる曲を書きたいですね。

水野:ずっと書きたいと思えるものなんですか?

小田:休むと「ああ、できるかもしれない」って、「俺の好きな曲ってこうだったじゃん」って思う。「こんな曲を書いてみたいな」と思って書きはじめた頃は器量不足でどうなってるかわからないから辿り着かなかった。今なら辿り着けるかもしれないっていう気持ちもあるからね。

水野:そういうお話を伺うと、やっぱりスキマスイッチのお二人もいつも言いますけど「頑張ろう」って思うんです。小田さんの背中を見て、自分たちも頑張ったら、辿り着こうとしているものに近づくかもしれないと思う。その姿を小田さんの背中から教えてもらっているから、後輩たちにとってはすごく励みに思います。

小田:よく『クリスマスの約束』の打ち上げみたいなところで、「小田さんの年齢になるまで、あと30年あるんですよね」って言われて。「そうだよ」って言いながらも「30年、あっという間だぞ、お前」って。本当にあっという間だからね。

水野:小田さんと出会った頃、小田さんはまだ50代で、僕は23歳でした。

小田:そうだよな。

水野:でも、十数年経った今でも小田さんが曲を書き続けてくださっていて、自分もその後を追いかけられているのがすごく幸せです。

■リリース情報
2023年2月15日(水)発売
『HIROBA』
初回仕様限定盤[CD+BD]
ESCL-5728~9 ¥4,180(税込)
・三方背スリーブケース仕様(初回仕様のみ)

購入はこちら:https://erj.lnk.to/Hdz67a

収録内容
[Disc1:CD]
01.ただ いま (with 橋本愛)
02.透明稼業 (feat. 最果タヒ, 崎山蒼志 & 長谷川白紙)
03.哀歌 (feat. 皆川博子, 吉澤嘉代子 & 世武裕子)
04.光る野原 (feat. 彩瀬まる, 伊藤沙莉 & 横山裕章)
05.ふたたび (with 大塚 愛)
06.幸せのままで、死んでくれ
07.僕は君を問わない (with 高橋 優)
08.ステラ2021 (feat. 重松清, 柄本佑 & トオミヨウ)
09.I
10.南極に咲く花へ (feat. 宮内悠介, 坂本真綾 & 江口亮)
11.凪 (with 高橋優)
12.YOU (with 小田和正)
13.星屑のバトン

[Disc2:Blu-ray]
01.ただ いま (with 橋本愛) Music Video
02.ふたたび (with 大塚 愛) Music Video
03.Making of HIROBA SONGS

店舗別購入特典
HIROBA応援店…オリジナルしおり
Sony Music Shop…オリジナルアナザージャケット
HMV全店(HMV&BOOKS online含む/一部店舗を除く)…オリジナルA5クリアファイル
Amazon.co.jp…Amazon.co.jp限定イベント申込用デジタルシリアルコード+メガジャケ / メガジャケ
楽天ブックス…オリジナル缶バッジ
セブンネットショッピング…オリジナルミニスマホスタンドキーホルダー
※数に限りがありますので、なくなり次第終了となります。
※上記店舗以外での配布はございません。
※各オンラインショップにつきまして、カートが公開されるまでに時間がかかる場合がございます。
※Amazon.co.jp、楽天ブックス、その他一部オンラインショップでは「特典対象商品ページ」と「特典非対象商品ページ」がございます。予約の際は、希望される商品ページであることをご確認ください。
※Amazon、Amazon Music 及びこれらに関連するすべての商標は、Amazon.com, Inc. 又はその関連会社の商標です。

■ライブ情報
『HIROBA FES 2022×2023 ーFINALE! UTAI×BAー』
日程:2023年03月18日(土) 開場16:30 / 開演17:30
会場:LINE CUBE SHIBUYA
イベント詳細:https://hiroba.tokyo/fes22-23/

Amazon HIROBA 特集ページ:https://www.amazon.co.jp/hiroba
アルバム「HIROBA」キャンペーンページ:https://www.sonymusic.co.jp/event/103066
アルバム「HIROBA」全曲試聴トレーラー:https://youtu.be/ADtD86ZpKjc

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