FANTASTICS、殻を打ち破るための刺激的な挑戦 「Choo Choo TRAIN」に込めたリスペクトと刷新を明かす
今年、“FANTASTICSとFANの皆さんと一緒に大きな夢へ向かって旅するプロジェクト”『FAN FAN PROJECT』が始動したダンス&ボーカルグループ、FANTASTICS from EXILE TRIBE(以下、FANTASTICS)。その一環として、サウンドプロデュースに音楽プロデューサー 亀田誠治、アートディレクションにクリエイティブディレクター 佐藤可士和を迎えた“FAN FAN三部作”をスタートさせた彼らが、11月16日に第2弾シングル『Choo Choo TRAIN』をリリースした。同作には、ZOOからEXILEへと受け継がれた名曲を亀田誠治がリアレンジした「Choo Choo TRAIN」と、NHK Eテレで毎週土曜日に放送中のアニメ『魔入りました!入間くん』第3シリーズのオープニングテーマとして起用中のロックチューン「ギリギリRide it out」を収録。現在彼らは、新たな楽曲や新たな仲間との出会いを噛みしめながら、「FAN FAN PROJECT」第2弾となるホールツアー『FANTASTICS LIVE TOUR 2022 “FAN FAN STEP”』(11月2日〜12月28日)を行っている。今作の制作を通して得たものや、その先に見据える未来について、ボーカルの中島颯太、パフォーマーの世界、澤本夏輝、瀬口黎弥に語ってもらった。(斉藤碧)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
【オリジナル動画】FANTASTICS、最近知って驚いたこと
変幻自在なFANTASTICSにぴったりハマった「Choo Choo TRAIN」
ーー今夏に発表した第1弾楽曲「Summer Bike」を皮切りに、サウンドプロデュースに音楽プロデューサーの亀田誠治さん、アートディレクションにクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんを迎えた“FAN FAN三部作”がスタートしました。今年6月から8月にかけては「Summer Bike」をテーマソングに掲げた『FANTASTICS LIVE TOUR 2022 “FAN FAN HOP”』も開催されましたが、一歩目と言えるツアーを終えた今、FANTASTICSの現在地はどのあたりだと思いますか?(取材は10月中旬)
澤本夏輝(以下、澤本):僕らは今年、『FAN FAN PROJECT』というプロジェクトを始動したんですが、それと同時に“FAN FAN三部作”もスタートして、亀田誠治さんや佐藤可士和さんといったクリエイターのみなさんの力もお借りしながら楽曲を制作して全国ツアーを廻ってきました。その公演では、僕らの楽曲を届けるライブパート以外に、芝居やカバー曲を披露するパートもあったりして。そういった演出はこれまでのライブでもやってきたことですけど、さらにエンタテインメントの幅が広がったなと感じましたね。でも、ツアーを廻ったことで見えてきた課題もあるし、現在地としては、もうちょっとで殻が破れそうだなぁ……みたいな。もうちょっとで新しいFANTASTICSが見つけられそうだなと、僕は思っています。
ーーFANTASTICSが殻を破るためには、何が必要だと思いますか?
世界:殻を破るためには、周りの方の力も大きいなって思うんですよ。だからこそ、今の環境は恵まれていると思いますし、ファンのみなさんが温かく見守ってくれていることにもすごく感謝していて。その想いに応えるために日々ベストを尽くすことが、今僕らがやるべきことであり、やれることだなと思っています。ただ、殻を破るべきタイミングの時にちゃんと破れるようにしておくっていうのは、すごく大事だと思いますね。特にLDHは総合エンタテインメントが売りなので、映画やドラマに出て俳優として活動する人がいたり、パフォーマーだった人が歌うようになったり、ダンス1本や歌1本で頑張る人がいたり、同じグループでも1人ひとりがいろんな分野で活動するじゃないですか。その中で、グループとして殻を破らなきゃいけないタイミングが来た時に、ちゃんと一丸となって向かっていけるかどうか。これは僕らだけじゃなく、どのグループにも言えることですが、そのタイミングはきっと来ると思うので、日頃からメンバー同士でグループに対する共通認識を持っておくことが必要だなと思います。
ーー実際にこの4人だけを見てもかなり異なる分野で活躍されていますが、その根底には、前回の取材で澤本さんがおっしゃった「今年と来年がFANTASTICSにとって勝負の年」(※1)という共通認識があるんでしょうか。
中島颯太(以下、中島):そうですね。それぞれが精力的に個人活動をするようになったことで、FANTASTICSへの還元の仕方を意識するようになったなって思うんですよ。メンバー全員が、今まで以上に「FANTASTICSの強みは何だろう?」と考えるようになったし、個人で発信する時もグループの魅力を届けよう、広めようっていう気持ちが強くなったなって。その心境の変化は、個人活動をしながらもツアー『FAN FAN HOP』を一緒に作り上げてきたからこそ生まれたものだと思いますし、次の『FAN FAN STEP』に向けた追い風になっているなと思います。
ーーでは、そんなツアーのテーマソングでもある「Choo Choo TRAIN」についてお聞きしていきます。まずは、EXILEの代表曲ともいえるこの曲を、第2弾楽曲として発表することになった経緯から教えていただけますか?
瀬口黎弥(以下、瀬口):以前リリースした『FANTASTICS FROM EXILE』(Jr.EXILE4組がEXILEの楽曲をカバーした企画シングル)では違う楽曲をカバーさせていただいたんですが、じつは僕らは音楽番組などで「Choo Choo TRAIN」をパフォーマンスさせてもらう機会のほうが多くて。EXILEさんへのリスペクトの気持ちはもちろん、世界さんと(佐藤)大樹くんがEXILEの一員ということもあり、特別な想いを込めながらこの曲を披露してきたんです。そういう理由で「Choo Choo TRAIN」を正式にカバーしたいという想いもずっとあって。そんなメンバーの願いが届いた結果、今回、亀田誠治さんプロデュースの新たなアレンジでリリースさせていただくことになりました。
ーーEXILEの一員として長年踊ってきた世界さんは、「Choo Choo TRAIN」のどんなところに魅力を感じていますか?
世界:EXILEとして「Choo Choo TRAIN」をパフォーマンスしていて思うのは、メンバーからもファンの方からも、愛されている曲なんだろうなってことですね。ATSUSHIさんやTAKAHIROさん、SHOKICHIさん、NESMITHさんが本当に大事に歌っている歌だってことも、ツアー中に何度も感じますし。客席の様子を見ても、お子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで一緒に盛り上がれる曲で、何万人もの人がこの曲でひとつになる素晴らしい光景を、僕は何度も見てきました。しかも「Choo Choo TRAIN」って、いろんな見せ方ができるんですよね。EXILE THE SECONDのライブでは、ジャズアレンジで披露されたりとか。だから以前から、変幻自在なFANTASTICSのパフォーマンスにすごく合っている曲だなと思っていて。颯太と(八木)勇征の歌声もすごく曲に合っているので、自然な流れでリリースが決まりました。
ーー〈Fun Fun We hit the step step〉という歌い出しの歌詞も、FANTASTICSにピッタリですよね。
中島:この曲が“FAN FAN三部作”の第2弾に選ばれたのは、まさにそこの歌詞が決め手でしたね。〈Fun Fun〉から冠番組『FUN!FUN!FANTASTICS』を連想する方もいると思うし、〈step〉という歌詞が入っていたので、『FAN FAN STEP』のテーマソングは「Choo Choo TRAIN」が合うんじゃないかという話になりました。全体的な歌詞も、未知の世界に飛び込んでいく姿を描いているので、今の僕らにピッタリな楽曲だと思いました。ただ、オリジナルの「Choo Choo TRAIN」は、ZOOさんやEXILEさんの力によって、曲を受け取った人の夢を後押ししてきたと思うんですけど、僕らはこの曲と共に、この曲を聴いてくださった方と「一緒に夢に向かって進んでいくんだ!」という意気込みで歌わせていただいています。
ーー亀田さんアレンジの「Choo Choo TRAIN」を受け取った時は、どんな印象を受けましたか?
中島:亀田さんご自身も、こういう曲調は新しい挑戦だとおっしゃっていたんですが、楽器の生感がすごくカッコよくて、まるで違う「Choo Choo TRAIN」が誕生したなって思いましたね。サウンドチェックの時に楽器だけのトラックも聴かせてもらったんですけど、お洒落なアレンジが盛りだくさんで、「こんな表現もあるんだ!」っていう発見がすごく楽しくて。そのままのテンションでレコーディングに臨めましたし、今後生バンドと一緒にライブをする際には、このアレンジが活きてくるのかなって思いました。
ーーご自身も作曲をする中島さんとしては、かなり刺激的な現場だったんでしょうね。
中島:そうですね。歌録りについては、亀田さんから「こういう風に歌って」と言われることはなかったんですけど、最後の音作りの段階では、亀田さんのほうから「この音って、もうちょっと下げたほうがいいかな?」と相談してくださったり、僕が「こういうのはどうですか?」と提案した時に「そっちのほうがいいね」って受け入れてくださったりして。作曲を勉強している僕としては、亀田さんがそういう対応をしてくださったことが嬉しくて、今後への励みにもなりました。
新しい振り付けとの融合も見どころに
ーーラッパーの顔も持つ瀬口さんは、亀田さんを始め、さまざまなクリエイターと関わる中で、自分のクリエイティビティが刺激されることはありますか?
瀬口:ありますね。今回に限らず、僕はいろんなトラックメイカーさんと会う機会が多いんですけど、彼らと話していると、すごく細部までこだわって曲を作っていて驚かされるんですよ。みんな、オタク気質なんで(笑)。そこから学ぶことが多いですし、僕も周りからインスパイアされてリリックを書いたりしています。「Choo Choo TRAIN」に関しては、亀田さんの制作の現場に立ち会えたことも良い刺激になりましたね。あれはパフォーマーにとって、貴重な経験だったと思います。
ーーどの段階で立ち会ったんですか?
澤本:亀田さんが新アレンジのベースを打ち込みで作られて、ここからバンドのみなさんと一緒に「Choo Choo TRAIN」を生演奏で録るぞっていうタイミングで、現場にお邪魔させていただきました。亀田さんのアレンジへの想いを伺ったり、制作の途中段階を見学させてもらったりしながら、亀田さんやバンドのみなさんがトラックを形にしてくださって。そこにボーカルの声が入って、パフォーマーが踊って、やっとFANTASTICSの「Choo Choo TRAIN」になるんだなって、改めて実感しましたね。だからこそ、実際に披露する際にもそのプロセスを思い浮かべながら踊れますし、いつもとはまた違う感覚でパフォーマンスできているなと思います。
ーー「Summer Bike」の時よりも、亀田さんとの距離が近づいた感じはありますか?
澤本:ベースのレコーディングの時も、気軽に話しかけてくださって、楽しく見学させてもらいました。そういえば僕、ついに“亀ダンス”を見たんですよ!中島、世界、瀬口:???
ーー「Summer Bike」のインタビューの時に、「亀田さんはレコーディングで良い演奏を聴くと“亀ダンス”を踊るらしい」という話をしまして(※2)。
澤本:その話が印象的だったから、こっそり見ておこうと思ってたんです。そしたら、足元が動いてて! しっかりめのボックスダンスではないんですけど、たしかにリズムに乗っていらっしゃったので、「これだ!」って嬉しくなりました(笑)。颯太は見た?
中島:僕もサウンドチェックの時に見かけました。
瀬口:結構目撃されてる(笑)。
中島:最後に爆音で「Choo Choo TRAIN」を聴いた時に、僕らもですけど、亀田さんもノリノリで盛り上がっていたので、恐らくあれが“亀ダンス”だったんじゃないかな?
澤本:おお〜!
世界:それだけ良い歌が歌えてたってことだね。でも、それで満足して終わりではなくて、ここから「Choo Choo TRAIN」をもっと自分たちの色に染めていけたらと思いますね。ライブを重ねながら、みんなで育てていきたい。そして、10年後とかに亀田さんにリアレンジしてもらって、その時々の“FANTASTICSらしい「Choo Choo TRAIN」”をお見せできたら最高だなって思います。
中島:亀田さん、よろしくお願いします(笑)!
ーー“FANTASTICSらしい「Choo Choo TRAIN」”といえば、ダンスもオリジナルの振付とFANTASTICS独自の振付が融合しているそうですね。それは振付担当の世界さんのこだわり?世界:これまで受け継いできた、ZOOさんやEXILEを尊重するために、サビはそのまま同じ振付を踊っています。EXILEではメロもZOOさんと同じように踊っているんですけど、今回はFANTASTICSらしい振りになるように、メロだけ全部作り直しました。ただ、今時のダンスに染まりすぎるのも「Choo Choo TRAIN」らしくないかなと思ったので、ZOOさん世代に流行したステップも入れましたね。「Choo Choo TRAIN」の始まりはZOOさんなので、今回もそこから始めたくて、あえてAメロの入りにボビー・ブラウンを。その一方で、構成では遊んだり、間奏はステップも入れつつ、FANTASTICSっぽい綺麗な振りも入れてみたりして。亀田さんが作ってくださったトラックにも今っぽい要素が散りばめられていて、それが「Choo Choo TRAIN」をより色鮮やかにしてくれているので、ダンスでもそういう印象を与えられたらいいなと、新旧のミックス感を意識して振付しました。
瀬口:MVにはキッズダンサーのみんなも出演していて、一緒に踊るシーンがあるので、いろんな意味で歴史を感じるパフォーマンスになっていますね。