A4。や⌘ハイノミら、注目ルーキー集うクルー Gamble Loom=GaL VOCALOIDシーン切り開く可能性の芽
ここ数年、邦楽シーンを賑わすクリエイターを様々な形で輩出してきたVOCALOIDカルチャー。“砂の惑星”と形容された時代から稀代のアーティストを多数世に送り出した再興の時代を経て、様々なメディアミックスの追い風を受けながら、現在シーンは新たなフェーズへと突入し始めている。同時に先日開催された『The VOCALOID Collection ~2022 Autumn~』の盛況ぶりから、目先の華やかさやわかりやすいメディアミックスのみに囚われることのない、元祖とも呼ぶべきボカロシーンの隆盛を感じ取ったリスナーも多かったことだろう。イベントのメインコンテンツである投稿楽曲ランキングにおいて、総合&ルーキーランキング1位を獲得した楽曲が、共通してインディーな歌声合成ツール・UTAUの使用曲であった点も、ニコニコ動画を軸としたVOCALOIDカルチャーの源流を想起させることの象徴のようにも思える。
初音ミク登場時から、連綿と現代へ地続きになっているボカロカルチャーの良さや魅力が再確認される一方で、次世代のシーンを担う新しい稀有な才能たちもまた、今まさに次々と頭角を現し始めている。中でも特に精力的な活動で目を引くのが、VOCALOIDプロデューサーをはじめとした13名のクルーによって構成されるクリエイターチーム・Gamble Loom、通称・GaLの存在だろう。「ジャンルも、作風も、年齢もバラバラ。だがノリ感は一緒」と銘打たれたコンセプト通り、チームには個性的かつバラエティ豊かな面々が揃う。その多彩なラインナップこそが彼らの武器であり、将来的にボカロシーン全体を巻き込んだ大きなムーブメントを起こしうる可能性の芽でもあるように感じられる。
本チームの首謀者として名を連ねるボカロPとして、まず匿名ゲルマの存在がある。アイドルユニット・神宿の小山ひなソロ曲として提供した「を愛に」をはじめとして、若年層に響くキュートさと闇を兼ね備えた主題を得意とするプロデューサーだ。
またもう一人の首謀者である大漠波新も、「TOKYO CITY」「アマリリス」の2曲で2期連続のボカコレルーキーTOP50入り。目を引くネオンカラーのビジュアルも印象に残る、今後注目のボカロ界のニューカマーの一人だろう。
そんな大漠波新を筆頭として今年の『ボカコレ』、特にルーキーランキングにおけるGaLの面々の目覚ましい活躍は、シーンを注視する人々にとってはすでに広く知られるところでもある。今最も注目度の高い人物でもある、「天使の翼。」で堂々の1位を獲得したA4。も本チーム所属のクルーの一人だ。彼を追うように「ざらざら」「フィクシティ」の2曲で2期連続ボカコレルーキーTOP10入りを果たし、密度の濃い電子音と耳に残る独創的なメロディラインを武器とする⌘ハイノミ。「雷・々・来」「創造」と着実にルーキーランキングの順位を上げ、80‘sムードの漂うポップレトロ映像とシティポップサウンドが特徴的なRED。
TOP10にランクインした上記3名の後ろにも、TOP50内には「HYPERMARKET」「▷コンティニュー」など耳馴染みよいカジュアルポップな楽曲を手掛けるユニット・キツネリや、疾走感と開放感のあるギターロックサウンドを得意とし「ハイパーインフェクション」「ゴーストタウン・ゴースト」等の楽曲でVOCAROCKリスナーからも支持を受けるmiruが控えている。