斉藤朱夏、岡咲美保、鈴木杏奈……夏が過ぎても聴きたい、女性声優の力強い歌声
8月も終わりを迎え、徐々に過ごしやすい季節へ移っていく今日この頃。本稿では、夏が完全に過ぎ去る前に聴きたい、女性声優の最新作をピックアップした。
まず挙げたいのが、アーティストデビュー3周年、そして8月16日が誕生日であることを記念してリリースされた斉藤朱夏のニューシングル『イッパイアッテナ』。声優/アーティストとして多忙を極める斉藤の現状を表現した表題曲は、キャッチーなメロディと伸びのあるボーカルが駆け抜けていくポップロックチューン。韻を踏みながら「とにかく伝えたい/言いたいことがある」ことを強調するリリックは痛快だが、裏を返せば、世の中「伝えたいことがちゃんと伝わらない」のだと気づかされる。ハイテンションな楽曲に寄り添う斉藤のボーカルも、ただまくし立てるだけでなく、一言一句、言葉を伝え切ることに専念しているようにも感じられた。
カップリングの「ノーサレンダー」は、一歩踏み込んだ「イッパイアッテナ」からは少し落ち着きを取り戻した、等身大の斉藤朱夏を表現した楽曲に。今回のシングル収録曲は、デビュー時から斉藤の楽曲を手がけてきたハヤシケイ(LIVE LAB.)がすべて作詞作曲を担当しており、そんなハヤシが描く斉藤の現在が「ノーサレンダー」にも色濃く反映されている。〈安全地帯に興味ない/ダメなことばっかやってみたい/はみ出すぐらいがいいんじゃない〉など、要所要所に現状維持など望まない、常に前進していく斉藤の姿が想像できる。もう1曲のカップリング「だから会いにいく」は現在開催中のツアーをイメージして制作されたというフォークナンバー(※1)。記念シングルでありながら、区切りや節目を感じさせない斉藤の歌声の熱は、夏が終わっても冷めることはなさそうだ。