サザンオールスターズ 関口和之、フレンドリーな空気とウクレレ愛溢れる1枚 高木ブー、荻野目洋子、竹中直人らと奏でる集大成

 リード曲「パパの手」(作詞/作曲:関口和之)は、高木ブーと娘たちの愛すべき関係性を描いたミディアムバラードだ。最初に聴こえてくるのは、クラシカルな手触りと素朴な雰囲気を含んだストリングスとピアノ。さらに〈心に吹く風の音 耳を澄ませた夜は/ざわめく胸の奥によみがえる思い出〉というラインが広がり、ノスタルジックな旋律ともに胸をキュッと締め付けられるような思いでいっぱいになる。父と娘の愛しい関係性、そのなかに流れる美しい感情を詩的に綴った歌詞ーーそれを象徴しているのが〈いつかパパの手を引いておくれよ〉というフレーズだーーは、世代やジェンダーを越え、幅広い層のリスナーの共感を呼び起こしそうだ。一つひとつの言葉を娘に手渡すような高木ブーの歌声、郷愁を誘うウクレレの演奏も素晴らしい。

関口和之 & 1933ウクレレオールスターズ feat. 高木ブー「パパの手」 (Music Video)

 「空の下、星の上」は、ハワイの夜を想起させるオーガニックな楽曲。古き良きフォークソング、ハワイ音楽のエッセンスを感じさせるメロディ、ウクレレ、クロマティックハーモニカなどの音色をふんだんに取り入れたアレンジとともに、自然の美しさ、素晴らしさをゆったりと映し出している。豊かな音楽を生み出してきたハワイという土地に対する愛着が感じられる名曲だ。

 また、サザンオールスターズの1998年の名曲「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」のウクレレカバーも大きな聴きどころ。波の音が聴こえてくるようなアレンジと音色、歌心に溢れたウクレレや口笛を含め、原曲の雰囲気をしっかり保ったまま、新たな魅力を引き出している。さらに竹中直人、KONISHIKI、キヨサク(MONGOL800)などを迎えた既存曲を厳選して収録。アーティスト・関口和之がたくさんの仲間たちの生み出してきた楽曲をゆったりと堪能できる、集大成と呼ぶべきアルバムと言えるだろう。

関口和之 & 1933ウクレレオールスターズ 「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」 (Official Visualizer)

 現在、関口の企画・プロデュースによる『ハワイの風吹くウクレレ展「ウクレレの島」』(会場:そごう横浜店8階 催会場)を展示中。また8月16日にはそごう横浜店9階・新都市ホールにてスペシャルライブ『1933ウクレレオールスターズ スペシャルライブ「盆ボヤージュ!YOKOHAMA」』が開催される。ウクレレの穏やかで奥深い響き、関口が描き出す優しさに溢れた歌はここから、さらに多くの音楽ファンを魅了することになりそうだ。

関口和之 SPECIAL ALBUM『FREE-UKES』Special Site

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる