秋元順子、じっくり聞かせる温かくも力強い歌声 平和への祈り、感謝を伝えたバースデーコンサート

秋元順子、バースデーコンサートレポ

 「リベルタンゴ」の情熱的な演奏でスタートした後半は、「今も愛され続けている。遅咲きだった私の宝物となった曲」と紹介し、「愛のままで…」を披露。同曲は初出場を果たした『第59回NHK紅白歌合戦』(2008年)で歌唱した楽曲で、当時61歳6カ月での『紅白』初出場は、紅組史上歴代最高齢記録と話題を集めた。

 温かくも力強い歌声。壮大さを持ったメロディライン。儚いがゆえの愛の尊さを歌った歌詞。その圧倒的な世界観に、観客は目を閉じ、うっとりと美しい歌声に聴き入った。

 「来年(7月)で丸17年、こんなに長くいるとは思わなかった」と、これまでを振り返った秋元。彼女は“遅咲き”と語った通り、58歳の時「マディソン郡の恋」でデビュー。彼女を世に知らしめた「愛のままで…」が発表されたのは、それから3年後のこと。「これでヒットしなければもう辞めてもいいだろうと思った矢先、ディレクターから“もう1曲歌ってみませんか?”と誘われた。それが『愛のままで…』でした」と、ヒット曲誕生の経緯を語る。「デビューできただけでも奇跡なのに、それ以上の奇跡が起きたと思いました。作詞家や作曲家の先生、支えてくれるスタッフ、応援してくださる皆さんや家族、みんなの思いが一つにならなければ、あの大ヒットは生まれなかった。皆さんの大きな力のおかげで、今の私があります」と感謝の気持ちを表した。

 本編ラストには「昨年11月にお亡くなりになった喜多條忠先生と出会わなければ、歌うことができなかった曲」と説明し、追悼の意を込めて昨年リリースした「いちばん素敵な港町」と最新楽曲「なぎさ橋から」という喜多條忠が作詞を手がけた2曲を披露した。「いちばん素敵な港町」は、この日だけの特別なアレンジで。ドラマチックなサウンドと哀愁漂う歌声が会場に広がった「なぎさ橋から」では、ムーディーなサウンドとラテンのリズム、そして秋元の切ない歌声から、愛する相手への思いを断ち切るような悲恋の物語が映し出された。

 「お元気で、またお会いできる日を楽しみにしています」。大いなる愛が込められた楽曲の数々、思いとメッセージが込められた歌声、そしてウィットに富んだトーク。ショーアップされたコンサートを締めくくるアンコールの最後は、ジャズスタンダードナンバー「素敵なあなた」で、会場は熱気溢れる手拍子に包まれた。

■アーティスト情報

『Bar Junkoへようこそ!』好評配信中
https://youtu.be/U3kvflIjqOY
「なぎさ橋から」リンクファイア 
https://lnk.to/nagisabashikara

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