秋元順子、じっくり聞かせる温かくも力強い歌声 平和への祈り、感謝を伝えたバースデーコンサート

秋元順子、バースデーコンサートレポ

 6月21日に誕生日を迎えた歌手・秋元順子が6月29日、ティアラこうとう大ホールにて『秋元順子バースデーコンサート』を開催。ジャズスタンダードを中心にカバー曲を歌い、芳醇な香りが漂うダイナミックさ溢れる歌声を聴かせた前半。後半は「愛のままで…」をはじめ、「ティ・アモ~風が吹いて~」「一枚の写真」、今年2月にリリースした「なぎさ橋から」など自身のヒット曲をムーディーに歌唱。インストゥルメンタル含む全18曲で、集まったファン1000人を魅了、75歳のバースデーをお祝いした。

 「またこうしてコンサートができるようになり、皆様とこの一時を過ごせますこと、お礼申し上げます」。バックを務めるのは、中村力哉(Pf)、長谷川清司(Dr)、和田弘志(Ba)、鈴木直樹(Sax/Clarinet)、桑山哲也(Accordion)というそうそうたるメンバー。「彼らの素晴らしいサウンドに私の歌声が一致する。これが本当のサウンドイッチ(笑)」としっとりとしたムードを、バッサリと断ち切るダジャレは秋元の真骨頂。「今日も“ダジャレー婦人”を連れて参りましたので」とユーモアを交え、笑いを誘う。

 『シェルブールの雨傘』をはじめ、映画『ひまわり』のテーマ曲など1960~70年代の映画にまつわるスタンダードナンバーも披露された。1970年に公開された『ひまわり』は、第二次世界大戦中の男女の悲恋を描いた作品でソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの主演で知られる。またロケ地がウクライナであったことから、現在再び注目を集めている話題の映画でもある。秋元も公開当時すぐ観に行ったと話し、「当時は深く考えず観ていましたが、後にあの美しいひまわり畑の下に多くの兵士が埋まっていると知り衝撃を受けました」とエピソードを語った。

 冒頭ピアノと歌だけでしっとりと始まり、徐々に楽器が重ねられていったサウンド。ゆったりとスウィングするリズムが実に心地良く、間奏ではサックスが切ないメロディを奏でる。秋元の歌声はどこか平和への想いも感じさせ、最後に祈りを捧げるようにたっぷりと声を溜めながら歌い上げると、会場は大きな拍手に包まれた。

 ベトナム戦争時の反戦歌としても知られる「美しい昔」も披露された。弾丸を雨に例えられた歌詞について解説し、「1日も早く平和が訪れますよう祈りを込めて歌います」と、今の世界に対するメッセージを伝えた秋元。怒りと悲しみに打ち震えるような、情念の込められた歌声を聴き、激しくも切ない思いが胸に広がった。

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