ファンモン、マハラージャンら『Love music』出演注目アクト 人気急上昇中のOrganic Callとは?

『Love music』出演注目アクト

きゃない - バニラ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 この日のラインナップだと、最年少となる きゃない もまた、今もっとも注目すべき男性ソロアーティストだ。というのも、きゃないは若者を中心に絶大なる支持を集めている。アーティストとして大きく飛躍したのは、2021年。自身がTikTokに投稿した「イヌ」の路上ライブ動画がきっかけだ。そこからうなぎのぼりにリスナーが増え、2022年3月に発表された「バニラ」は、ストリーミングのバイラルチャートにランクインを果たす。なぜ、きゃないの音楽は、こんなにも支持を集めるのか。その答えは、楽曲を聴いたらきっと納得できるはず。少ししゃがれた感じのあるボーカルが特徴で、歌声そのものに宿る色気が際立っているのだ。切れ味鋭いボーカルをもって、泣きメロ的な起伏あるメロディを情感たっぷりに歌いこなすのが、きゃないの圧倒的な持ち味。2022年5月に発表された「紫陽花」も、切なさと激しさに満ちた楽曲の世界観が大きな話題を呼んだ。「Love music」のアクトでも、多くのリスナーの感情を揺さぶることだろう。

Organic Call「ブルーアワー」

 最後に紹介したいのが、Organic Call。今回のラインナップだと、唯一のバンドの出演となる。Organic Callの魅力は音源とライブで大きく異なる、という部分にある。例えば、彼らの代表曲である「朝焼けに染まった街へ」のイントロに注目したい。透明感のある壮大なギターフレーズが印象的で、イントロで描く景色の作り込みが絶妙なのだ。しかし、美しいままで終わらないのがOrganic Callの魅力。イントロで作り出された色合いをひとたび変えてみせるのが、平田真也のボーカルなのだ。イントロはどちらかという爽やかさが際立っているとすれば、平田のボーカルは熱さが際立っている。2つの要素が混ざり合うことで、楽曲の世界がより鮮やかで、立体的に響くことになる。爽やかなのに、実態はゴリゴリのロックバンド、というのはOrganic Callを語るうえで重要なトピックなのだ。

 そして、Organic Callのライブに触れると、そのゴリゴリの部分がよりダイレクトに響く。とにかく強く感じるのが、パッションの高さなのだ。音源とライブで大きく異なる魅力と冒頭で書いたのは、そういう背景があるからだ。というのも、Organic Callは年間100本以上のライブをこなしており、2020年以降、その表現力は着実に厚みを増している。それを示すかのように、2021年11月には渋谷 O-WEST、2022年2月には渋谷WWWのライブをソールドアウトさせ、大熱狂の中で幕を閉じた。ライブ中に放つ力強いメッセージが印象的で、エモーショナルな感情を沸き立ててくれるのだ。ポジティブな意味で、音源とライブでこんなに観え方が変わるバンドもそうはいないと思う。

 『めざまし8』(フジテレビ系)2022年4月度エンディングソングや『Love music』2022年6月度オープニングにも抜擢されている最新曲「ブルーアワー」でも、そんなOrganic Callの魅力が研ぎ覚まされている。幻想的なサウンドと平田の歌い出しで始まる同曲は、Organic Call屈指の爽快感のあるナンバーとなっている。バンド内外の音を巧みに使っており、ストリングスを挿入したり、サビ後にはシンガロングできそうな壮大なコーラスのパートが印象的に響く。美しくて、爽やかな気分にさせてくれるサウンドは、今までのOrganic Callとは一味違う緩急が内在しているのが大きな特徴で、バンドの新たな代表曲になりそうな予感だ。おそらくライブで「ブルーアワー」を披露する際は、躍動感のあるバンドアンサンブルと感情むき出しのボーカルによって、きっとその表現がガラリと変わることになるはずだ。……ということを踏まえたうえで、今回の出演者の中でも、テレビというパフォーマンスの中でどう「化ける」のかが見ものなアーティストと言える。

 ひとつの間口で様々な出会いが生まれるのが、多数のアーティストが出演する音楽番組の良いところである。カラーや出自の違うアーティストが集った「Love music」もまた、そんな可能性を秘めたオンエアになるのではないかと、密かに期待しているのである。

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